戦前の日本特許の調べ方

戦前の日本特許を調べる方法を紹介します。【 】内は当館請求記号です。

1. 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)外部サイトは、独立行政法人 工業所有権情報・研修館外部サイトが運営する特許情報提供サービスです。明治以降に発行された、日本の特許・実用新案・意匠・商標の公報などを公開しています。「簡易検索外部サイト」、「特許・実用新案番号照会/OPD外部サイト」および「特許・実用新案検索外部サイト」から、戦前の特許を検索できます。

2. 戦前の特許索引

当館で所蔵している戦前の特許索引には、以下の資料があります。
これらの資料から特許番号を特定し、J-PlatPatの簡易検索外部サイトから、「特明〇〇(〇〇は特許番号1-6桁までの数字 例:特明1)」などと検索することで、特許原文献を閲覧できます。

  • 『特許分類別総目録. 明治18年8月-昭和31年12月』(特許庁 編 技報堂 1958 【507.23-To414t3】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信限定
    明治18(1885)年から昭和31(1956)年までの特許(77万8508件)の登録番号と公告番号を、種目(1万4993種目)別・番号順に記載した資料です。
    ※発明の名称や発明者の氏名などは記載されていません。資料の見方については、凡例(pp.7-8(27-28コマ目))もご参照ください。
    調べたい特許の種目から、特許番号と公告番号を調べることができます。
    年別特許番号表(p.5(26コマ目))には、各年に付与された特許の最終番号の一覧が掲載されています。特許番号は特許の取得順に付されるため、調べたい特許の年代がある程度限定されている場合は、この表をもとに、調査対象とする特許番号を絞り込むことができます。
  • 『帝国発明家名鑑』(日刊工業新聞出版部 昭12 【722-63】)(国立国会図書館デジタルコレクション:インターネット公開
    明治18(1885)年から昭和9(1934)年までの、著名な発明家の発明とその概要、一部の発明者についてはその略歴を分類順に掲載した資料です。
    「特許篇」と「実用新案篇」から成り、各篇の冒頭にいろは順による氏名索引や分類別番号索引があります。
    発明者の氏名や分類などから、主な特許または実用新案の情報を調べることができます。
  • 『専売特許発明全書』(石川利之編 明治27 【9-280】)(国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開): /
    特許第1号(明治18(1885)年)から特許第2184号(明治27(1894)年3月末)までの特許について、発明の概要と発明者の情報を特許番号順に掲載した資料です。目次から、特許番号に対応する発明の名称を一覧できます。
  • 『日本化学総覧. : 科学技術文献速報 国内化学編』(日本科学技術情報センター 編 日本科学技術情報センター 1951-1974 【Z17-448】(国立国会図書館デジタルコレクション:館内限定
    明治10(1877)年以降の日本における化学文献と特許をほとんどもれなく採録した抄録誌です。該当する年代または年における、化学文献と特許の抄録が項目別に掲載されています。
    戦前の日本特許を探す場合は、まず、総索引1877-1940((1):事物索引(和文)(2):事物索引(欧文)(3):著者名索引)、1941-1955((4):事物索引(和文)(5):事物索引(欧文)(6):著者名索引・特許索引)から該当する特許の抄録が掲載されている抄録誌を探すことが有用です。

3. 検索例:池田菊苗のグルタミン酸ソーダに関する特許を探す

戦前の日本の特許の検索例として、池田菊苗のグルタミン酸ソーダを主成分とした調味料に関する特許を、J-PlatPatの「特許・実用新案番号照会/OPD外部サイト」および「特許・実用新案検索外部サイト」から検索する方法を紹介します。なお、戦前の特許原文献はJ-PlatPatでテキスト化されていないため、簡易検索でキーワードから検索することはできません。

3.1. J-PlatPatの「特許・実用新案番号照会/OPD」から検索する

(1)特許索引で特許番号を調べる

J-PlatPatの「特許・実用新案番号照会/OPD」から特許を検索する際には、その特許の特許番号を調べる必要があります。
特許番号が不明な場合は、特許索引で探します。いくつか方法があるため、以下で例を紹介します。

主題(分類)から探す場合の例

『特許分類別総目録. 明治18年8月-昭和31年12月』を使用します。
この資料の分類では「調味料」は以下のような体系となっています。右側カッコ内は掲載されている特許の件数です。

  • 第34類 飲食品、栄養剤
    • 34K0 調味料、香辛料、着色料(28件)
    • 34K1 調味料(88件)
      • 34K11 アミノ酸調味料(95件)
        • 34K111 薬品により分解するもの(112件)
        • 34K112 酵素により分解するもの(45件)

年代が限定できない場合は、上記の合計368件の特許番号すべてについて、J-PlatPatの「特許・実用新案番号照会」から検索することになります。
今回の池田菊苗の特許の場合は、「34K111 薬品により分解するもの」の「14805」が特許番号となります。

人名から探す場合の例

『日本化学総覧. : 科学技術文献速報 国内化学編』総索引(3)(1877-1940の著者名索引)を使用します。
アルファベット順に掲載されている人名から、「池田菊苗」の項を参照すると、抄録情報の中に「グルタミン酸塩調味料12,464.」という記載が見つかります。
※ページ数の前の「」の印は、特許の抄録であることを示すものです。
この情報をもとに、第1集第2巻の464ページを参照すると、特許「グルタミン酸塩を主要成分とせる調味料製造法」の抄録が掲載されており、特許番号が「No.14805」であることが分かります。

(2)J-Platpatで検索する

  1. 特許・実用新案番号照会/OPD外部サイト」にて、「番号種別:特許番号(B)・特許発明明細書番号(C)」を選択し、「14805」と入力し、照会ボタンを押します。
  2. 「特明14805」のリンクをクリックすると、特許原文献(特許発明明細書)である、「第一四八〇五號 第七十七類 「グルタミン」酸鹽ヲ主要成分トセル調味料製造法」が閲覧できます。

3.2. J-PlatPatの「特許・実用新案検索」から検索する

(1)特許が該当する分類を調べる

J-PlatPatの「特許・実用新案検索」から特許を検索する際には、その特許が該当する分類を調べ、その分類で検索する必要があります。
分類が分からない場合は、「特許・実用新案分類照会(PMGS)外部サイト」のページから以下のようにFI(File Index、日本国特許庁独自の技術分類記号)を調べます。

  1. 「キーワード検索」のタブを選択し、「検索対象」は「FI/ファセット」、「表示画面」は「FIハンドブック」とします。
  2. 「キーワード」で「FI/ファセット単位」を選択し、「グルタミン酸」と入力して検索します。
  3. 検索結果のうち、「FI/ファセット」が「A23L27/22」、「説明」に「・・・グルタミン酸を含有するもの[2016.01]」とあるものが調味料のカテゴリのFIです。

(2)分類記号を用いて検索する

分類記号を用いて、「特許・実用新案検索外部サイト」にて検索を行います。

  1. 「文献種別」の「詳細設定」を開き、「特許発明明細書(C)」にチェックを入れます。
  2. 「検索項目」で「FI」を選択し、キーワード欄に「A23L27/22」と入力した上で、検索します。
  3. 検索結果を1件ずつクリックし、該当する特許であるか確認します。

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