高分子化学について調べる
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科学技術・経済情報室 作成
ここでは、高分子化学について、よく参照される科学的事実を体系立てて掲載している事典類やデータ集などの資料と、その探し方を紹介します。
このほか、化学全般や化学工業などを扱った事典類やハンドブックなどに高分子化学に関する情報が掲載されている場合があります。このような資料の紹介や検索方法については、リサーチ・ナビ「化学一般について調べる(辞典・便覧類)」をご覧ください。
『資料名』(書誌情報)の後ろに*が付いている資料は、国立国会図書館サーチの書誌詳細画面に目次があります。
【 】内は当館請求記号です。
1. 高分子化学一般
1.1. 事典類
- 『よくわかる最新高分子化学の基本と仕組み : 現代社会に不可欠な高分子を知る』(秀和システム 2021.4 【PA431-M38】)*
高分子化合物の構造、性質、合成法などを、基礎から解説した資料です。各項目は見開き2ページで図を用いて解説されています。 - 『トコトンやさしい高分子の本』(日刊工業新聞社 2017.3 【PA431-L87】)*
高分子に関する約65件の項目について、見開き2ページで図を使いながらわかりやすく解説した資料です。高分子の概要、合成方法、性質、製品への加工など幅広いテーマが扱われています。 - 『ポリマー辞典 = Dictionary of polymer technology : コンサイス版』(増補10版 大成社 2015.7 【PA2-L38】)
ポリマーに関する約6,500件の用語を解説した辞典です。また、ポリマーを主成分とする商品の名称を五十音順にまとめているほか、比重や引張強さ、熱伝導度といったポリマーの物性データをまとめた表が掲載されています。 - 『高分子辞典』(第3版 朝倉書店 2005.6 【PA2-H51】)
高分子に関連する約5,200件の項目を解説した資料です。また、付録としてポリマー物性値の検索法などがまとめられています。巻末に和文索引と欧文索引があります。 - 『高分子分析ハンドブック』(朝倉書店 2008.9 【YU7-J790】)*
高分子全般および高分子の分析法について解説した資料です。巻末にスペクトル索引と事項索引があります。付属のCD-ROMには本文中に掲載された図表のカラー版や補足などを収録しています。
2020年に新装版(朝倉書店 2020.12 【PA2-M16】)が出版されています(CD-ROMはありません)。 - 『高分子材料大百科』(日刊工業新聞社 1999.7 【PA431-G64】)*
高分子材料全般を解説した資料です。学生から技術者まで、幅広い読者が学びやすくなるように編集されています。高分子の合成反応や性質、ゴム、合成繊維、生分解性プラスチックなどの具体的な材料の特徴、試験法などを解説しています。巻末に略語索引、欧文索引、和文索引があります。 - 『日本の高分子科学技術史』(高分子学会 1998.9 【PA431-G66】)
- 『日本の高分子科学技術史』(補訂版 高分子学会 2005.11 【PA431-H85】)
- 『日本の高分子科学技術史 第2巻』(高分子学会 2016.3 【PA431-L84】)
日本における高分子化学の歴史について解説した資料です。「人物史」、「研究史」、「制度史」「年表」の章で構成されています(第2巻には「人物史」の章はありません)。「制度史」では高分子学会関係資料が掲載されています。「年表」は高分子学会ホームページにも掲載されています。各巻末に索引があります。 - "Encyclopedia of polymer applications"(CRC Press, Taylor & Francis Group [2019] 【PA431-B235】)
高分子化学の応用に関する研究について解説した、全3巻から成る資料です。分野(農業、自動車、化粧品など)ごとに章があります。各巻末に全巻分の索引があります。 - "Encyclopedia of polymer science and technology"(Fourth edition Wiley [2014] 【PA2-B70】)
高分子化学全般について、網羅的に解説した全15冊の事典です。第15巻に総目次、著者一覧、総索引があります。 - "Physical properties of polymers handbook"(2nd ed. Springer c2007 【PA431-B23】)
高分子材料の性質(熱力学的性質、機械的特性など、主に物理化学的性質)を解説した資料です。巻末にアルファベット順のキーワード索引があります。
1.2. データ集
- "Handbook of polymers"(3rd edition ChemTec Publishing 2022 【PA2-D16】)
プラスチック、化学産業で使用される主要なポリマー材料のほか、エレクトロニクス、製薬、医療、航空宇宙分野で使用される特殊ポリマー、バイオポリマーなどを対象に、それぞれの特性を紹介しています。具体的にはCAS番号などの一般的事項、開発の経緯、構造、密度、屈折率など物理的特性、弾性率など機械的特性、毒性、処理方法などの特性が述べられています。 - "Polymer data handbook"(2nd ed. Oxford University Press 2009 【PA431-B45】)*
約200種類の高分子化合物の合成、構造、物性などに関する情報をまとめた資料です。名称のアルファベット順に物性データなどを掲載しています。巻末にキーワード索引があります。 - "Polymers : a property database"(2nd ed. CRC Press c2009 【PA2-B37】)
高分子化合物に関する物性値(密度や熱容量など)や化学構造などをまとめた資料です。巻末に名称索引があります。 - "Polymeric materials encyclopedia"(CRC Press c1996 【PA2-A134】)
高分子化合物に関する詳細な情報をまとめた全12冊の事典です。第1巻から第11巻には、高分子名のアルファベット順に物性データが掲載されています。第12巻には第1巻から第11巻までの補足情報、著者名索引、項目索引が掲載されています。
2. プラスチック(合成高分子)
合成高分子の代表的なものとしてプラスチックが挙げられます。プラスチックについて、よく参照される事項を体系立てて掲載している事典類を紹介します。
- 『プラスチック成形材料商取引便覧:特性データベース』(化学工業日報社 年刊)(目次例: 2022)
プラスチック成形材料の、基礎的性質、熱的性質、機械的性質、電気的性質、成形性、標準成形条件、主な特長・用途などをまとめた資料です。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、特殊樹脂を、樹脂別、メーカー別、グレード別に分類しています。巻末には、商品名索引、グレード別索引があります。また、製造・販売業者名鑑、プラスチック業界の再編状況図なども掲載されています。 - 『プラスチック成形材料データbook』(プラスチック・ニュース社 隔年刊 【Z43-2496】)*
プラスチックの物性データをまとめた資料です。 2020年版は、「樹脂別の基本物性」、「特性ごとのプラスチック材料 要求物性から選ぶ適性材料」の章から構成されています。 前者では、約50種類の樹脂別にデータを掲載しています。データ項目は、メーカー名・商品名・グレード、密度、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さ、硬度ロックウェル、荷重たわみ温度、メルトマスフローレート、成形収縮率、燃焼性、誘電率、耐トラッキング性などです。後者では、物性値の範囲や対候性などから材料を検索できます。 - 『よくわかる最新プラスチックの仕組みとはたらき : 最新技術と持続可能社会への対応を学ぶ』(第4版 秀和システム 2022.9 【PA441-M126】)
プラスチックの種類や特性、用途などを、化学の知識がなくても読めるように解説した資料です。巻末に索引があります。なお、出版者のホームページで目次を閲覧できます。 - 『プラスチック読本』(第22版 プラスチックス・エージ 2019.4 【PA441-M15】)*
プラスチックの基礎、材料各論、成型加工法、分析、試験法などについてまとめた資料です。
3. 国立国会図書館サーチで検索するには
その他の資料は、国立国会図書館サーチで検索できます。タイトルや編者・出版者名に含まれるキーワードから探してください。
科学技術振興機構が提供するJ-GLOBALにて別名や同義語を調べ、キーワードを広げることも有用です。
国立国会図書館サーチの検索結果を所蔵場所「科学技術・経済情報室」で絞り込むと、科学技術・経済情報室で開架している参考図書類を検索できます。
ここでは、国立国会図書館分類表(NDLC)による分類や国立国会図書館件名標目表(NDLSH)による件名から検索する代表的な方法を紹介します。
分類
以下のような分類記号に、キーワードを掛け合わせて検索します。
- 化学・化学工業(辞典・便覧類) PA2
※高分子化学に関する記述を含む場合があります。 - 高分子化学・高分子化学工業 PA431
- プラスチックス PA441
件名
高分子化学について検索するための代表的な普通件名には、「高分子化学」、「高分子化合物」、「高分子材料」、「重合体」、「重合」、「プラスチック」、「材料」、「接着剤」などが挙げられます。また、「辞書」や「便覧」といった資料の形式を絞り込む件名と組み合わせることもできます。
また、Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)の分類記号検索において「NDLC」を選択し、「PA431」、「PA441」などの上記で紹介するNDLCで検索すると、高分子化学に関するほかの普通件名を探すことができます。
4. インターネット情報源
- Reaxys(当館契約データベース:館内限定)
化学物質の物性データや生成方法、化学反応のデータを収録しています。代表的なものから専門的なものまで、さまざまな高分子化合物に関する豊富な情報を調べることができるデータベースです。キーワード、化合物名、CAS番号などのほか、実際に化合物の構造式を入力し検索することも可能です。 - Springer Materials(当館契約データベース:館内限定)
"Landolt-Börnstein"などのデータを収録した物性情報データベースです。物質名や構造式などから、物性値や状態図などを調べることができます。 - 高分子学会
高分子化学に関する研究に取り組んでいる学会です。「高分子科学技術史」のページに、日本の高分子化学の技術史を掲載しています。また、「高分子命名法」のページでは、高分子の命名法を紹介しています。 - Materials Data Repository
物質・材料研究機構が提供するデータリポジトリです。X線吸収微細構造(XAFS)スペクトルなどのデータや、物質・材料研究に関する文献を閲覧、ダウンロードできます。 - MatNavi NIMS 物質・材料データベース
物質・材料研究機構が提供する物質・材料関連のデータベースをまとめています。高分子データベース (PoLyInfo)などでさまざまな高分子化学分野のデータを調べることができます。利用のためには会員登録が必要です。 - PlaBase
ユーザ登録をすれば利用できるプラスチック成形材料データベースです。
キーワード、メーカー名、樹脂名、商品名、燃焼性、ISO材質表示、物性値などを掛け合わせて検索ができます。該当する商品のメーカー名、基礎的性質、熱的性質、成形性、フィラー含有率などが確認できます。 - CAMPUS
各国のメーカーによる素材情報提供データベースです。メーカー別、グレード別の数値が記載されています。データシートは英語、日本語など10か国の言語に対応しています。