並列タイトル等ねむろしおんねとうさんいせき
一般国道44号根室市温根沼改良工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書
一般注記温根沼3遺跡は、根室市街から南西へ約9㎞、温根沼地区の海岸段丘上(標高23m前後)から無名沢の源流部(標高16m前後)にかけて広がる。
遺構はⅢ層で土坑8基(ⅢP-1~8)、焼土1か所(ⅢF-1)、礫集中5か所を検出した。これらの時期は判然としないが、周囲の遺物出土状況からみて、64ライン以東のものは擦文文化期後期またはオホーツク文化期の可能性がある。
Ⅴ層では、土坑墓1基(ⅤP-1)、焼土6か所(ⅤF-1~6)、土器集中4か所、礫集中4か所を検出した。いずれも縄文時代早期のものである。土坑墓(ⅤP-1)は平面形が長径約1.3mの楕円形で、坑底の西北隅から小型の土器1個体が出土した。斜面下の平坦部で検出した焼土4か所(ⅤF-1~4)は、約2mの間隔をあけて一列に並んでおり、その周囲では黒曜石の剝片石器が比較的多く出土した。土器集中1・4は東釧路Ⅲ式、2は同Ⅱ式、3は東釧路Ⅱ式・同Ⅲ式の破片のまとまりである。礫集中1は、拳よりやや大きな礫・礫片約1,500個が5×6mの範囲にまとまっており、一部ではそれらが隙間なく密集していた。礫・礫片の大部分は被熱している。
遺物は土器約6,300点、石器等約5,600点を数える。土器の大半はⅤ層から出土した縄文時代早期の東釧路Ⅱ式・同Ⅲ式である。Ⅴ層の石器では、石鏃、スクレイパー、彫刻刀形石器、砥石が目に付く他、石刃鏃が2点出土している。Ⅲ層の遺物は少ないが、続縄文時代や擦文文化期後期の土器、貼付文の施されたオホーツク式土器、鉄鍋片等がある。
DOI10.24484/sitereports.36148
一次資料へのリンクURLhttp://sitereports.nabunken.go.jp/files/attach/35/35740/36148_1_根室市温根沼3遺跡.pdf
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)