タイトル(掲載誌)平成6(1994)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1994 Research Project Summary
一般注記金沢大学医学部・附属病院
1.細胞表層Fas抗原は細胞へapoptosisのシグナルを伝達する膜蛋白分子であるが,悪性グリオーマにおいてもその発現が報告されている。悪性グリオーマにおけるモノクローナル抗体である抗Fas抗体を用いたapoptosis誘導療法の可能性につき検討した。2.(1)C6ラットグリオーマ培養細胞の免疫組織学的検討においては,細胞膜にFas抗原の発現を認めた。(2)C6ラットグリオーマ培養細胞に抗Fas抗体(cloneCH11)100ng/mlを作用させたところ,72時間で75-95%の細胞がapoptosisをきたした。電顕とin situ nick endlabelling法での詳細な検討でも典型的なapoptosis像が観察された。(3)ラットC6脳内移植モデルを作成し,抗Fas抗体(cloneCH11)1000ng/mlを定位的に局所投与した。腫瘍内に細胞死を認めた。(4)ラット脳内(Wister Rat,6週齢)に抗Fas抗体(cloneCH11)を1000ng/ml注入し,3日目および7日目の組織を検討したが,ラットは全例生存し,特に神経学的異常はきたさず,組織学的にも大きな変化は認められなかった。(5)抗Fas抗体,抗Bcl-2抗体を使用し,ヒト剖検脳,ラット正常脳に対して免疫組織学的検討を行った。Fas抗原はラット腫瘍浸潤部のneuronやヒト照射脳のneuronの細胞膜に発現し,これらの細胞質にはBcl-2蛋白の発現も見られた。3.抗Fas抗体はC6グリオーマ細胞にapoptosisを誘導する。抗Fas抗体の脳内局所投与においてはneuronは細胞死を免れ,致死的合併症は認められなかった。bcl-2のapoptosis抑制効果の関与が考えられた。悪性グリオーマにおけるapoptosis誘導療法の可能性が広がった。
研究課題/領域番号:06771068, 研究期間(年度):1994
出典:研究課題「悪性神経膠腫におけるapoptosis誘発とBcl-2の基礎的研究」課題番号06771068(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06771068/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=60082&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=40211362
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06771068/
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