一般注記平成13年度~平成15年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2))研究成果報告書
研究種目:基盤研究(B) 研究種目コード:310
研究課題番号:13450006
審査分野:一般 区分コード:03
本研究は、単層および多層カーボンナノチューブ(MWNT)における本質的な伝導様式の差異を詳細に調べ、その原因の解明と「朝永・ラッティンジャー(TL)液体モデル」の適用の可否について検討を行うことを目的としている。本年度は本研究の最終年度であるので、多層CNTの層数制御に対する総仕上げの意味で研究を行った。これまで行ってきた通電加工法について、加工雰囲気・破壊の進行・電気伝導特性変化がどのように相関するのかを再検討した。常温・大気中では破壊がランダムに進行し、最外層から同心円状に破壊が進行するモデルが成り立ち難いということが明らかになった。さらに、高温領域での伝導度の温度変化に現れるベキ乗則と低温領域での微分コンダクタンスのバイアス依存性に現れるベキ乗則は、加工前は両方共にベキが0.4程度でほぼ一致しており、いわゆるTL的な伝導が起こっているのに対し、通電加工後は伝導度の減少とともに両方のベキが増大し、値に差が出てくることがわかった。そしてさらに通電加工を進めると、バリアブルレンジホッピング(VRH)的な伝導へと変化することがわかった。これは大気中での通電により発熱した状態で酸素との反応による破壊が進行し、その際に生じた欠陥が電気伝導を支配していることを意味しており、層数の厳密な制御には適さない条件であると結論づけた。一方で、高真空中(10^<-6>Torr程度)および液体窒素中にて通電破壊を行った場合は、層の破壊が一箇所で比較的秩序をもって進行し、最外層から同心円状に破壊が進行することがわかった。
別刷論文(p.5-41, 55- )削除
一次資料へのリンクURLhttps://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900040189/13450006.pdf
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)