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【書評】
「どこまでも,優しく,詳しく,頼りになる運動負荷試験の決定版」
著者の上嶋先生が上梓されたこの本が改訂を重ねられて20年以上読まれ続けていることにまず驚きを感じます.これは本の価値,すなわち現場で役に立つことと同時に,時間を超えて必要な情報が盛られていることに尽きます.また読みやすさ,さらにはQ & A方式をとっていることにも大きな意義があります.現場でたたき上げてこられた上嶋先生ならではのノウハウが詰まっています.検査の項目を紐解くと実に親切丁寧な説明とコメントが入っているのに驚かされます.検査に慣れ親しんだわれわれが読んでも面白い読みものとして深く読み進んでしまいます.座右に一冊置きたい名著である理由はそこにあるのでしょう.ぜひ手にとって日常臨床に活用していただければと考えます.
負荷試験の極意は,診断,病気のステージをつけることはもちろん,平常安静時と異なり,負荷をかけることによる状態変化,耐容能,そして安全範囲を知ることにあります.また,直接心臓や肺に接近することなく循環器系の生理の詳細を暴くことの妙があります.ほかの循環系無侵襲検査でいえば,進歩の著しいCT,MRI,RI,PETなど,形態や,機能,さらには代謝を画像化する手段もありますが,初期投資を含めて,場所,時間,さらには運営コストがかかる欠点があります.また,その利点を最大限認めつつも造影剤負荷などまったく無侵襲とはいえません.その点,low risk,low cost,high returnである運動負荷試験や,心肺負荷試験は,患者さらには病院側にもきわめて有効な手段です.逆に負荷試験は形態や代謝の診断は苦手なところです.診断の初歩はやはり最初に篩をかけてさらに必要な検査法に移行していくのが常套手段です.そのことをわきまえてラダー初期のfirst lineとして全身,あるいは心臓をみる運動負荷試験をとらえていくのは理にかなっています.重要な位置づけの試験です.
また,運動負荷と同時に心臓と呼吸の両者を統一的,多面的にとらえる心肺負荷試験は実に理にかなっているものです.Wassermannのオリジナルの図にみるごとく外呼吸から内呼吸への代謝連関そのものを総合的にみることは心不全の成り立ちにも関わることであり,そこに直接検査の意義をみるものです.その解析因子は多いものの,これを理解すれば循環系の意義から考えて予後予測にまで踏み込んでいけます.この点でもこの本は優しく,また懇切丁寧な解説があります.さらに8章に繋げられるリハビリテーションの生理的意義を確認する意味においてもこの試験の意義はきわめて大きいものになります.
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-21039-8
- タイトルよみ
- ウンドウ フカ シケン シンゾウ リハビリテーション キュー アンド エー ヒャクゴジュウ
- 著者・編者
- 上嶋健治 著
- 版
- 改訂第3版
- 著者標目
- 著者 : 上嶋, 健治, 1955- ウエシマ, ケンジ, 1955- ( 00896812 )典拠
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2025.4
- 出版年(W3CDTF)
- 2025