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Table of Contents
序章 うたに脈あり : 民謡の通文化的研究に向けて / 細川 周平 1 民謡、この面妖なもの 2 もうひとつのあらすじ 第I部 民謡を考える : 概念の形成史 第1章 黎明期の民謡収集・研究とヘルダーの「民」の概念 / 阪井 葉子 1 ヘルダーの民謡論と「民」の概念 「無学で感覚的な民」 : 古い歌謡へのまなざし 「野生の民」 : はるかな土地へのまなざし 社会的な距離からみた民 2 批判者ニコライ 3 ロマン主義化された「民」の概念 : アルニム、ブレンターノとグリム兄弟 4 「民」概念の変容と第二次大戦後のヘルダー評価 第2章 インドにおける「フォーク」概念の変遷と特徴 / 井上 貴子 1 インドの言語政策と「フォーク」概念 2 サンスクリット語の音楽理論書の記述 3 英領期における「フォーク」概念の導入 4 独立後の「フォーク」概念と対応する現地語 ヒンディー語の場合、タミル語の場合 5 独立後の「フォーク」の定義と芸能の分類 6 「フォーク」概念の地域性と政治性 第3章 憂鬱の系譜 : 黒人コミュニティ向けの定期刊行物にみる「ブルース」の変遷 / 大和田 俊之 1 憂鬱の研究史 2 憂鬱の病理学 3 憂鬱の音楽学 4 憂鬱のモダニティ 第4章 ローマックス父子の活動 : 「民謡」から「歌唱様式」へ / 柿沼 敏江 1 初期の民謡研究における「民謡」概念 2 カウボーイ・ソングと黒人の歌 3 ニューディール時代と『我らが歌の国』 4 歌唱様式へ 5 「オーセンティシティ」再考に向けて 第5章 柳田民謡論の可能性 : 歌の発生とその伝承の「場」をめぐって / 武田 俊輔 1 メディア論としての柳田民謡論 2 1920~30年代における「民謡」とメディアの位相 3 「流行唄」と「民謡」と : 民謡の「新しさ」と表現の自発性 4 「民謡」生成の「場」 : 発生のメカニズムとオーディエンス論 5 メディアの重層性と「場」への考察 第6章 兼常清佐の民謡論を読む / 藤田 隆則 1 日本音楽研究者としての兼常清佐 2 兼常の民謡研究 兼常の生涯、第二期、第四期、民謡研究の最終地点、博士論文の概要 3 民謡旋律のモデル化 民謡の旋律、基本の三音、基本の三音からの下行と上行 無造作かつ冗長?、基本の三音から展開するパターン 曲としての形式、第二句目類別の含意、基本の三音の射程 4 シラブル間緩急処理 言語への自己規制、言葉と歌の調和 言葉の意味がわからなくなる原因、シラブル間緩急処理 具体的観察と対照の方法 5 兼常の民謡観 言語の一種としての民謡、名もない草花としての民謡 第7章 『日本民謡大観』前夜 : 町田嘉章の初期の民謡調査 / 島添 貴美子 1 町田嘉章と民謡 2 町田の民謡調査 民謡の「採集」、採集手帳にみる現地調査 3 『日本民謡集成』にみる資料の整理と分析 『集成』の目的、柳田民謡分類案の修正、名称の付け替え 面としての仕事歌の分布 第8章 統合する「民謡」、抵抗する「民謡」 : 南北朝鮮における「民謡」概念の相違をめぐって / 林 慶花 1 民族を結ぶ「民謡」という幻想 2 「民謡」概念の導入 3 新しい「民謡」創出をめぐる南北朝鮮の歩み 4 抵抗の記憶を蘇らせる : 1980年代の韓国における民衆歌謡運動 第Ⅱ部 民謡を伝える : メディアの役割 第9章 ホールでうたう : 大正期における演唱空間の拡大と民謡の位置 / 長尾 洋子 1 はじめての全国民謡大会 2 ホールへの視座 3 寄席から劇場へ : 安来節 4 神田の青年会館、錦輝館、和強楽堂 追分節の東京進出 後藤桃水による「準備工作」 : 追分節から民謡の普及へ 5 ホールの効用 第10章 沖縄音楽レコードにおける〈媒介者〉の機能 : 1930年代・日本コロムビア制作のSP盤を対象として / 高橋 美樹 1 近代沖縄音楽の録音と〈媒介者〉 2 レコード会社との媒介 沖縄音楽レコード制作の経緯、録音された沖縄音楽の主なジャンル 3 歌手・演奏家との媒介 4 日本コロムビアのレコード制作 1930年代~40年代における制作活動、レコード制作システム 5 媒介者としての喜舎場永珣 6 沖縄音楽レコードの歴史的意義 第11章 かっぽれ百態 / 竹内 有一 1 「かっぽれ」への視座 2 「かっぽれ」の原拠は何か 和歌山民謡との関連性、近世の俗謡(はやり歌)との関連性 3 「かっぽれ」の完成まで 大道芸で「暢気社会を驚かせてやらう」、大道芸から大芝居へ 九代目團十郎の「かっぽれ」 : 歌舞伎台本からわかること レコード吹き込み : 梅坊主の十八番から伝承芸へ 4 流転する「かっぽれ」 陸軍による編曲と吹奏楽、国葬の「かっぽれ」 : 選曲は正しかった!? さらなる国境へ、五線譜出版 もうひとつの「かっぽれ」 : シーボルトのBoo-su-ni kappore 5 「かっぽれ」の精神 : 「フラメンコかっぽれ」に継承されたもの 第12章 ハワイの盆踊り歌 : 日系ディアスポラ文化としての民謡の形成 / 早稲田 みな子 1 ハワイの盆踊りの歴史 2 ハワイ「福島音頭」の変容 ホノルルの「福島音頭」=「相馬盆唄」=シティー・スタイル エヴァとマウイの「福島音頭」=プランテーション・スタイル=「福島盆踊り唄」(?) 3 ハワイ「岩国音頭」の変容 日本の「岩国音頭」のレパートリー ハワイの「岩国音頭」のレパートリー ハワイの「岩国音頭」に残る古い特徴 4 ホームとつながりつつ変化するディアスポラ文化 第13章 ハワイ日系人の「ホレホレ節」 : ハリー・ウラタの取り組みと影響 / 中原 ゆかり 1 「ホレホレ節」の復活とハリー・ウラタ 2 「ホレホレ節」との出会い 3 旋律への興味と保存への意欲 4 正調「ホレホレ節」へ 5 うたわれる「ホレホレ節」 6 「ホレホレ節」復活の意味 第14章 歌の実践にみられる「田舎」の創造 : キューバのプント・グァヒーロをめぐって / 倉田 量介 1 キューバの民謡 2 「農民音楽」とは 種類、楽器、演奏の目的、録音メディアおよび放送メディア 3 「農民音楽」の実践者 4 現地の民族学者による「農民音楽」の解釈をめぐる考察 5 「農民音楽」を取り巻く今日の環境 第15章 ベネズエラ民謡「ホローポ」の創造 : 知識人と民衆知 / 石橋 純 1 「民謡」以前 : ファンダンゴへのまなざし 2 「ベネズエラ民謡」ホローポの誕生 3 ホローポの民衆知 楽器編成、和声循環の型と即興演奏、ノリの裏表とその転換 4 「本物」のホローポ発見と大衆音楽化 大衆音楽ジャンルとしての「民謡」の成立、民謡ブームの寵児たち 都市教養層とホローポ 5 民衆文化をめぐる価値転換 新しい歌と都市弦楽、ノリの客体化 6 民衆文化と都会人 第16章 「ダニー・ボーイ」は戦争に行った : 歌から立ちあがってくる物語 / 森 博史 1 曲名不詳のメロディから「ロンドンデリー・エア」へ 「曲名不詳」のメロディ アイルランド系文化人と「ロンドンデリー・エア」 イギリス音楽界における「ロンドンデリー・エア」 曲の出自に対する疑問と探求 2 「ダニー・ボーイ」とその作詞者ウェザリー 「ダニー・ボーイ」という詩作品、歌詞に見られるふたつの要素 失われた第三スタンザ?、バラッドの継承者 3 合衆国における「ダニー・ボーイ」 歌手のシューマン=ハインク 自由公債販促キャンペーン(Liberty Bond Campaign) 「兵士の母」(Soldier's Mother) 4 映画『ダニー・ボーイ』と戦争がつくりあげる物語 第Ⅲ部 民謡をつくる : 創作と編曲 第17章 19世紀ブダペストの「民謡」 / 横井 雅子 1 “まちがって民謡とみなされていた”歌 2 当時の“民謡”をめぐって : 19世紀における民謡集を手がかりに 3 多様な都市住民のための娯楽と“民謡” ブダペストの市民たち、新たに市民が欲した“民謡” 4 人々が“民謡”に求めたもの 第18章 バルトーク『子供のために』をめぐって / 伊東 信宏 1 『子供のために』の位置 2 『子供のために』の成立と版 3 以前の編曲との比較 4 第Ⅱ巻第34番「葬送」 5 その後の民謡編曲作品 第19章 どうして沖縄ふうなんだろう : 英系米民謡の旋律変形 / 三井 徹 1 沖縄的音階版「プリティ・ホリー」の譜面 2 沖縄的音階版の間接音源 3 1927年のB. F. シェルトン版 4 1937年のE. C. ボール版 5 シェルトン版とボール版の比較 第20章 〈民謡〉から流行歌へ : タイのラムウォン歌を中心に / 松村 洋 1 タイ歌謡 王都の歌・地方の歌、プレーン・タイ・サーコン 2 ラムウォンの誕生 ラムトーンからラムウォンへ ピブーンソンクラーム政権のワッタナタム政策、ラムウォンの近代性 3 流行歌とラムウォン 広報局洋楽団、ルークトゥン歌謡に流れ込んだラムウォン 4 近代化と伝統歌謡 第21章 ジャズ民謡の系譜 : 忘れられた雑種音楽 / 細川 周平 1 いつもの、それとも新奇な組み合わせ? 2 鳥取春陽 : 道頓堀でジャズる 3 服部良一と門下生 : スウィング編曲の完成 4 杉井幸一 : ジャズもタンゴも乗り越えて 5 ジャズ民謡をめぐって 6 戦後の流れ : 海外ジャズ界との接触 7 民族性と陳腐性 8 間歇的・発展的継承 9 ジャズと民謡の収斂と離散 第22章 三橋美智也とうたごえ運動 : 昭和30年代における「民謡」の地位 / 輪島 裕介 1 民謡は戦後に隆盛した? 2 三橋美智也の民謡調流行歌 民謡的歌唱法・「望郷」モチーフ・「勤労学生」イメージ 3 左派・進歩派による流行歌批判と肯定的民謡観 「俗悪文化」としての「日本調」歌謡、左派・進歩派の「民謡」概念 4 三橋美智也の民謡観 5 「民謡」の拡散 ジャズ/ポピュラーのレパートリーとしての「民謡」 三橋美智也「達者でナ」(1960年) 「民謡の時代」としての昭和30年代 第23章 三輪眞弘「東の唄」と「ありえたかもしれない民謡」の虚実 / 岡田 暁生 1 三輪眞弘と「フィクション」 2 柴田理論とアルゴリズム 3 「東の唄」と「日本民謡」の換骨奪胎 4 「ありえたかもしれない」から「ある」へ あとがき / 細川 周平 事項索引 人名索引 執筆者紹介
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- Material Type
- 図書
- ISBN
- 978-4-623-06150-1
- Title Transcription
- ミンヨウ カラ ミタ セカイ オンガク : ウタ ノ チミャク オ サグル
- Author/Editor
- 細川周平 編著
- Author Heading
- 細川, 周平, 1955- ホソカワ, シュウヘイ, 1955- ( 00110687 )Authorities
- Publication, Distribution, etc.
- Publication Date
- 2012.3
- Publication Date (W3CDTF)
- 2012
- Extent
- 417, 8p