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【書評1】
がん治療は日々進歩を遂げ,生存率も向上してきている.結果として骨転移発生の可能性が高いがん腫では,その発生数が増加し治療全体へ与える影響が大きくなってくることが推測される.そのため早期からの骨転移治療への介入の重要性が認識されるようになってきており,多職種の連携が必要な骨転移治療においては,診療指針を示すガイドラインの役割はとても大きいと感じる.また,患者にとっても日常生活動作と生活の質(QOL)を取り戻すというアプローチを通して,より質の高いがん治療を受ける機会につながると思われる.本書は2015年3月にはじめて初版が発刊し,その後骨修飾薬の効果,整形外科的介入やリハビリテーションなどの医学的エビデンスの蓄積を経て7年ぶりの改訂となっている.しかし,まだまだ十分とはいえないエビデンスをまとめて本書を改訂された柴田浩行委員長をはじめとするワーキンググループの先生方および関係者の方々に心より敬意を表したい.
本書は総説で骨転移の病態,診断,治療とケア,そして高齢者,サルコペニア,フレイル患者の骨転移治療について解説しており,知識の整理ができて非常にわかりやすい.また9のbackground questionと22のclinical question(CQ)について推奨と解説が提示してある.さらに,いまだ十分なエビデンスが醸成されていない臨床疑問についてはfuture research question(FRQ)として回答が記載されている.その内容は主に画像診断,手術,放射線治療,骨修飾薬の効果と有害事象,疼痛管理,リハビリテーションについて述べられている.初版と比較して,手術に関しては四肢長管骨骨転移に対する腫瘍切除と人工関節置換術の有効性,四肢長管骨病的骨折に対する骨セメントの有用性,FRQとして転移巣以外の骨関節手術の有効性について追加されており,普段専門的に骨転移診療を行っていない整形外科医にとっても治療方針の選択のための重要な情報となっている.骨修飾薬については長期経過を含む多くの研究がまとめられており,肺がん,乳がん,前立腺がん骨転移に対する有効性が強調されている.またゾレドロン酸の投与間隔を比較した試験では乳がん,前立腺がん,多発性骨髄腫などの患者に対して,骨関連事象予防のため,投与間隔を4週から最大12週まで延長することが許容されている.骨転移患者へのリハビリテーション医療の実施には,リハビリテーション医療に習熟した専門職によるか,その監督下が望ましいとされており,初版と比較してやや厳しい推奨となっている.このような種々の介入は骨転移患者のQOLの改善を目標としているが,CQ16の「骨転移患者の歩行能力維持のための介入は有用か?」という質問に対して,推奨度が弱いながらも「歩行機能やパフォーマンスステータス(PS)維持は,患者のQOL維持に重要であるだけでなく,生命予後を改善する可能性もあるため,歩行能力を維持するための介入を行うことを提案する」とされている.解説に記載されている研究はいずれも後方視的観察研究であり,エビデンスレベルは低いが,いずれも介入後に歩行機能が保たれると,生命予後が改善したという結果を示している.このように生命予後改善の可能性が明記されたことは,すべての骨転移診療に携わる医療者にとって,積極的に治療介入を行う必要性があることをあらためて認識することになったと感じている.
骨転移に対しては腫瘍専門医以外の一般整形外科医も治療に関与すべきと考えているが,中には専門医の意見を聞く必要のある症例が含まれる.本書は医療者が治療方針を決めるだけでなく,相談すべき症例の見極めや,患者自身が治療選択をするうえでの一助になると思われ,骨転移にかかわる方々にとって有益な一冊であるといえる.
臨床雑誌整形外科74巻8号(2023年7月号)より転載
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- Material Type
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-23191-1
- Title
- Title Transcription
- コツテンイ シンリョウ ガイドライン
- Author/Editor
- 日本臨床腫瘍学会 編集
- Edition
- 改訂第2版
- Author Heading
- 編者 : 日本臨床腫瘍学会 ニホン リンショウ シュヨウ ガッカイ ( 00961115 )Authorities
- Publication, Distribution, etc.
- Publication Date
- 2022.12
- Publication Date (W3CDTF)
- 2022