Alternative Titleカタヲジュウシシタツウシンネットワークトポロジーセッケイシュホウノケンキュウ
A Study of Type Oriented Network Topology Design Method
Note (General)通信ネットワークの設計において,ネットワークトポロジー設計は,通信コストや通信性能を確保するという観点から重要な項目である.その設計手法には大きく分けて,従来からの人手による経験的なアプローチと,コンピュータによる自動設計があるが,特に実世界での物理的な通信ネットワークトポロジー設計においては,多くの場合に人手による伝統的な設計手法が用いられて来た.特に,現実世界でのWAN等の物理トポロジー設計は,Star,Bus,Ring 等の典型的なトポロジー型を積極的に利用したものとなっている.コンピュータによる自動設計については,Kleinroch 以降,通信ネットワークトポロジー設計を最適化問題とし定式化するアプローチとして,計算機ネットワークの応用分野の拡大により様々な展開が見られる.しかし,その多くは実世界で多用されるStar,Bus,Ring などのトポロジー型を考慮しない.このため,論理ネットワーク設計には有効であるが,広域物理ネットワークのトポロジー設計で重視されるトポロジーの型への指向性が弱い.これもあり,実世界での物理的な通信ネットワークのトポロジー設計においては,多くの場合に人手による伝統的な設計手法が用いられて来た.伝統的設計法では,まず通信フロー行列をもとに,典型的なトポロジー型もしくはその組み合わせによる有望な構成案を探しだし, それを通信速度,冗長性,コストなどの現実世界の要求を満たすように加工・変形することにより,様々な環境に適応させるという方法をとっている. 現代の通信ネットワークにおいても構造的な型ベースのトポロジー設計は重要である.そこで本研究では,この伝統的手法の自動化を目標とし,性能(平均遅延時間)を充足する多様な型を階層化したトポロジー(型階層トポロジー)を自動生成する方法を提案する.ネットワーク設計者には生成された型階層トポロジーがその属性(費用,平均遅延,ノード次数,平均リンク容量,平均リンク長)と共に提示され,ネットワーク設計者は適切な案を選択できる.具体的には,まず,型階層生成の母体となる局所星状木型のネットワークトポロジー生成手法を提案する.局所星状木とは局所的なStar クラスタが連結された全域木であり,物理ネットワーク設計に適したトポロジーである.ここでは,Kleinrochが定式化した最適化問題を型が木という制約条件下で解き,与えられたノード間距離行列と通信フロー行列のもとで,目標遅延時間を満足するコストが小さい木型ネットワークを生成する.本手法の特色は解候補集合の生成方法にあり,ノード間の完全グラフのリンクに,リンク距離とフロー強度を反映した重み付きリンクコストを与え,重み付けパラメータを変えてKruskal 法で最小全域木を求めることにより,リンク容量最小のStar から総リンク長最小のMST までの多様な局所星状木をパラメトリックに生成する.論文ではこの性質の数学的基礎の解明もおこなった.最終目的である多様な型階層トポロジーの生成は,まず,上記手法をボトムアップに繰り返しこのStar 型階層トポロジーを得る.その後,特定階層のStar を他の型(Bus, Ring)に書き換えることで多様な型階層トポロジーを生成する.さらに,目標平均遅延時間を実現するリンク容量を求めたのち,人による最終案の選択を支援するための属性を計算して提示する.現実世界では業種や業態に合わせて通信特性とリンク費用関数特性の組み合わせで分類される異なるトポロジーのタイプが見られる.例えば,平均遅延時間制約が強い金融系などの場合はStar 型を中心としたトポロジーが重用され,性能に比してリンク費用がより重視される場合にはBus やRing 型が重用される.そこで,提案したトポロジー生成方式の入力である通信行列特性とリンク費用関数特性を変更させたものを組み合わせて通信ネットワーク構築の際の環境条件を模擬し,トポロジー生成を試みた.得られたトポロジーの型は,現実世界で環境に応じて重用される型と整合しており,提案方式の有用性を示す結果であると考える.
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Collection (particular)国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
Date Accepted (W3CDTF)2017-01-01T19:17:28+09:00
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