Note (General)本論文は,今まで利用価値が低く見向きもされなかった素材や、廃棄処理されていた素材、リサイクルに多大なコストが掛かる素材、客先より再利用方法を依頼される素材等を樹脂にコンパウンドして有効活用する為、前処理方法やブレンド方法、押出機の選定、コンパウンド方法を研究し、再生可能な資源として利用し、循環型社会の実現のために問題点を洗い出し、解決する事を目的とする。本論文は7章および緒論と結論より構成され,以下に各章の概要を示す. 第1章では本研究に至る背景および従来の研究の現状と問題点を指摘し,本研究の必要性を示した. 第2章では従来捨てられていた卵殻に注目し、樹脂に卵殻をコンパウンドした際、卵殻の内容物が樹脂にどのような影響を与えるかを研究し、タンパク質が樹脂の物性低下に影響を及ぼすことを示した。 第3章では2章で樹脂にコンパウンドした際、樹脂から臭いがすることが問題となった。対策として樹脂と添加剤での消臭効果の研究と、成形条件を変えることで臭いの低減が出来るかを研究し、低温成形で生産できることを示した。 第4章では第3章での卵殻と添加剤の組み合わせ、もしくは成形方法で臭いの低減を目指したが、本章では卵殻自体に処方を施して消臭が出来るか、物性がどのように変化するかを実験した。卵殻を焼成して内容物のX線解析を行い、焼成による効果を検証し臭いの判定を行った。焼成卵殻と樹脂の組み合わせで、物性的にも安定した複合材料が出来ることを示した。 第5章では導電性繊維フィラーをコンパウンドしたPES 樹脂の表面抵抗値と物性というタイトルで、導電性素材としてあまり使われていないステンレスフィラーを使用して、スーパーエンプラに導電性を付与する実験をおこない、ステンレスフィラーによって良好な導電性を得られる事を示した。 第6章では導電性素材としてカーボン繊維を使用した。押出機はスクリューが一本の単軸押出機と高混練のスクリューが二本の二軸押出機がある。カーボン繊維を樹脂にコンパウンドするには、通常は二軸押出機を用いて生産される。コンパウンド中の炭素繊維の折れを防止するために、押出機の途中から溶融樹脂の中に炭素繊維を添加するサイドフィード法が主として用いられているが、本実験では単軸押出機と二軸押出機のタイプによる炭素繊維の繊維破断の影響と物性の関係を、計算と実験とで比較することにより、相関を明らかにし、従来繊維コンパウンドには使われていない単軸押出機の有効性を示した。 第7章では5章、6章で研究したステンレスフィラーとカーボン繊維での“ハイブリッドコンパウンド”で作成した材料での電気的特性と材料強度に及ぼす影響を明らかにすることで、さらなる低充填量化や安定した導電性を寄与することを目的とした成形品での電気的特性と物性特性の相関を明らかにし、ハイブリッドコンパウンドの有効性を示した。 第8章では車両や飛行機に多く使われ出したカーボンフィラーであるが、製品の生産後捨てられる部分も多い。その捨てられていたカーボンフィラーを再利用する為のコンパウンド方法を研究した。繊維自体の不純物を取り除き、特殊な押出機で押し出した炭素繊維コンパウンド材料の物性の変化を、計算と実験で観察することにより、相関を明らかにし、リサイクルカーボンフィラーを使用する有効性を示した。 第9章では,各章で得られた知見をまとめ,押出機を用いた高機能コンパウンド材料創成に関する総括を行った。
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Date Accepted (W3CDTF)2020-07-06T20:31:19+09:00
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