Alternative TitleAnalysis of Physical Factor on Destruction by Indenter Penetration and Its Dependency on Indenter Shape for Soft Materials
Note (General)本論文は、小さな力でも大きな変形が起こりやすい性質を持つ物体である柔軟体について、適切な取り扱いのための物理学的分析、特に貫入に伴う破壊に関する因子の分析を数値シミュレーションによって行い、その破壊現象を評価する次に挙げる研究を実施した。 第1章において、研究背景と本論文の目的および構成について記述した。 第2章において、貫入による破壊を確認するため、圧子押込みによる柔軟体の変形について理論を調べ、低密度の発泡体に対して押込試験を行った。押込試験においては2種類のポリスチレン発泡体(JIS A9521 XPS3bAⅡ、XPS1bC)に対して、直径の異なる球圧子により押込みを行い、その貫入量と圧子に加わる荷重を計測した。押込試験結果より、柔軟体の押込みに対する様相をその貫入量と荷重の関係に対して弾性、圧壊、過渡、破断の4つの領域に分類した。 第3章において、一般に貫入後の破面観察により多くの情報が得られることから、貫入による破断形態を確認した。押込試験後の試験片を切断しその断面を観察することにより、発泡体XPS3bAⅡで円錐台形状の破断が確認できた。また、発泡体XPS1bCにおいては、円錐台形状の破断と円柱状の破断の2種類の破断の混在が観測できた。この2種類の破断における貫入量と荷重の関係の対応を調べた結果、破断領域において円錐台形状の破断に対しては荷重の増加、円柱状の破断に対しては概ね一定の荷重という対応が確認でき、この対応関係を基に円錐破断モデルを作成した。この円錐破断モデルは、発泡体のプラトー応力などにより荷重の増加率が決まるため、試験結果に対して逆解析を行うことで発泡体のプラトー応力を求めることができる。この手法により、発泡体XPS3bAⅡについては安定した値が得られたのに対して、発泡体XPS1bCについては不安定な値となったことから、この手法は発泡体内部で円錐台形状の破断のみが発生している場合に有効と考え、円錐破断モデルによるプラトー応力の計算手法とその適用範囲を提案した。 第4章において、発泡体XPS1bCに発生する破断領域における一定荷重について有限要素解析による数値シミュレーションから、その破壊に関する因子の分析を行った。発泡体の貫入においては、引張とせん断による破壊が含まれていると考え、主ひずみとせん断ひずみを破壊条件とした解析を行うことで、低密度の発泡体に対する押込みによる貫入破断の分析を行った。その結果、せん断ひずみのみを基準とした条件により貫入破断を表現することができ、さらにせん断ひずみにより発泡体の見かけ上の強化や脆化が起こることを示した。これにより、せん断ひずみを低密度発泡体の破壊因子とすることの妥当性を示した。 第5章において、より基本的な物性を持つ弾性体への圧子貫入について、せん断ひずみによる破断を考慮した有限要素解析による数値シミュレーションを行うことで、柔軟体の破壊現象に対する圧子形状の依存性を確認した。圧子モデルの形状として針状のものを想定し、その先端について円錐形状と刃物のように先端が線状に広がった形状を作成し、せん断ひずみを破壊条件とした弾性体モデルへ貫入させた。その結果、円錐形状では表面から円状の破壊が発生しそれを押し広げる形の破壊が発生し、先端が線状に広がった形状の圧子では表面に線状のき裂が発生しそれを切り広げる形の破壊が発生し、破壊現象に対する明確な依存性が見られた。これにより、表面の破壊形態を基準として針形状の評価が可能になることを示した。
Collection (particular)国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
Date Accepted (W3CDTF)2020-10-06T21:18:06+09:00
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