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博士論文
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国立国会図書館デジタルコレクション
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アーカイブズ・アクセス制度に関する日本と中国の比較研究
- Persistent ID (NDL)
- info:ndljp/pid/11929667
- Material type
- 博士論文
- Author
- 李, 華瑩ほか
- Publisher
- -
- Publication date
- 2021-10-01
- Material Format
- Digital
- Capacity, size, etc.
- -
- Name of awarding university/degree
- 学習院大学,博士(アーカイブズ学),Doctor of Philosophy in Archival Science
Notes on use at the National Diet Library
Notes on use
Note (General):
- 本論文は、5章からなり、それに加えて、研究の背景等を述べた序章、全体を総括・展望した終章を置いている。要旨は、以下に述べるとおりである。序章では、「アーカイブズ・アクセス」を「組織内部の職員と組織外の市民などの利用者が、アーカイブズの資料やプログラム等の存在を知ることができ、閲覧、複写、ダウンロード...
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Digital
- Material Type
- 博士論文
- Title Transcription
- アーカイブズ アクセス セイド ニカンスル ニホン ト チュウゴク ノ ヒカク ケンキュウ
- Author/Editor
- 李, 華瑩Li, Huaying
- Author Heading
- Publication Date
- 2021-10-01
- Publication Date (W3CDTF)
- 2021-10-01
- Alternative Title
- アーカイブズ アクセス セイド ニカンスル ニホン ト チュウゴク ノ ヒカク ケンキュウ
- Degree grantor/type
- 学習院大学
- Date Granted
- 2021-10-01
- Date Granted (W3CDTF)
- 2021-10-01
- Dissertation Number
- 甲第301号
- Degree Type
- 博士(アーカイブズ学)Doctor of Philosophy in Archival Science
- Conferring No. (Dissertation)
- 甲第301号
- Text Language Code
- jpn
- Target Audience
- 一般
- Note (General)
- 本論文は、5章からなり、それに加えて、研究の背景等を述べた序章、全体を総括・展望した終章を置いている。要旨は、以下に述べるとおりである。序章では、「アーカイブズ・アクセス」を「組織内部の職員と組織外の市民などの利用者が、アーカイブズの資料やプログラム等の存在を知ることができ、閲覧、複写、ダウンロード、著作物への転載が自由にできること」と規定したうえで、本論を展開する前に、アーカイブズ・アクセスの出発点として、まず、日本における公文書管理制度と中国の档案管理制度の内容とそれぞれの理念を紹介した。日本では、2007年に続発した公文書等管理の不祥事をきっかけに、「公文書管理法」を制定することとなった。こうしたことを背景に、公文書が民主主義の根幹を支えるものとして位置づけられ、現在及び将来の国民に対する説明責務が全うされるために、政府全体の統一的なルールが導入された。一方、中国においては、1949年に中華人民共和国の建国から半世紀以上にわたって、中国の档案管理の制度は、「档案の閉鎖・作成保護」から、「档案の公開・利用の許容」を経て、「档案の公開・利用の拡大・変容」に至るという経過を辿った。とりわけ、2007年に入ると、国務院は、政府の行政公文書の透明度を向上させるために、「政府情報公開条例」を制定した。その後、档案管理の情報化も強く要請されてきたため、2020年に、デジタルアーカイブズに目を向けて、「档案の情報化建設」を中心として、中国档案法を全般的に改正することになった。これらのことを背景に、本論では、アーカイブズ・アクセスという眼目をめぐって、日本と中国におけるアーカイブズ・アクセス制度に関する具体的な内容への分析を通じて、それぞれの異同および特徴を明らかにしたうえで、今後、アーカイブズ・アクセスをいかに促進していくのかを検討した。第一章「日本と中国におけるアーカイブズ・アクセスに関する主要な用語の比較検討」では、日本のアーカイブズ学及び中国の档案学においては、日本には「漢語」・「新造語」・「外来語」があり、日本と中国の間で言葉の出所や法令の違いがあることから、用語について比較して検討した。「文書」・「公文書」・「档案」などの古くから使われている用語、「記録」・「電子記録」・「電磁的記録」・「電子文件」・「数字档案」などの情報技術の発展にともない使われるようになった用語、「アーカイブズ」・「デジタルアーカイブズ」・「デジタルアーカイブ」・「アクセス」といった日本で使われている外来語について、比較分析した。検討の結果は、以下のとおりである。すなわち、①「档案」については、「特定歴史公文書等」とは異なり、また「特定歴史公文書等」という概念の範囲より「档案」の方が広い。②英文による「アーカイブズ」範囲より「档案」の方が広い。③日本語における文書や記録は、中国において文件に相当する場合が多い。④日本語の公文書は中国語の機関文件材料である。⑤「デジタルアーカイブズ」は「数字档案」、「デジタルアーカイブ」は「数字档案館」に相当する。第二章「日本と中国におけるアーカイブズ・アクセスに関する法規定の特徴」では、主に日本の「公文書管理法」と中国の「档案法」を比較解説した。まず、日本と中国との法体系はともに大陸法系に属するため、共通しているところが数多くあるが、中国の法形式や法令には独自の優劣関係があるということを説明した。そのうえで、日本の公文書管理法制定の経緯、概要及びこの法律におけるアーカイブズ・アクセスに関する内容を解説した。さらに、中国の档案法及び実施弁法におけるアーカイブズ・アクセスに関する内容を紹介し、中国「档案法改正草案(送審稿)」から「档案法改正案」の成立までの成り行きを遡り、中国「档案法改正案」の概要及びアーカイブズ・アクセスに関する内容を解説した。日本の公文書管理法は、国民主権の理念にのっとり、国民への説明責任が全うされるために、現用文書から非現用文書までの公文書のライフサイクルに沿い、行政機関等における現用文書の管理と国立公文書館等における非現用文書の管理について統一的なルールをできるだけ網羅し、アーカイブズ・アクセスに関する具体的な内容を細かく規定することになったが、文書の利用可能性(アクセシビリティ)を確保し、国民の共有財産、知的資源である公文書の利活用を促進するため、国民に対して、利用機会の更なる充実、利便性の更なる向上を図り、公文書館施設の完備及びアーキビストの養成などに取り組むべきであるとされる。それに対して、改正後の中国档案法は、档案の情報化建設をめぐり多くの規定を新設する一方、档案の公開・利用をめぐり、档案利用権を明記し、档案館が移管された档案の受取を拒否できないことを義務付け、「30年原則」を「25年原則」に変更し、档案に関する目録の公開方式を明記し、不服申立の権利及び档案主管部門による不服の申し立てへの取り扱いなどを規定することとなった。今後、档案法改正案の内容を踏まえ、関連法令や実施弁法を制定・改正し、アーカイブズ・アクセスに関する法規、規章及びその他の規範性文件などの法令間の衝突を解消し、かつ、「公開を原則とし、非公開を例外とする」という基本理念を貫いたうえでアーカイブズ・アクセス制度を実施し、利便性の更なる向上を図ることが重要な作業になる。第三章「日本における公文書管理と中国における档案管理の機構・実務等の行政基本制度」では、日本の公文書館及び中国の档案館における公文書等(档案)管理の基本制度を検討した。国の政治体制によって、行政機関の存在様式のあり様が異なる。そこから導かれるのは、日本の特徴は国立公文書館等と地方自治体の公文書館でそれぞれ管理システムが並列管理型となっていること、一方中国の特徴は最高档案管理機構「国家档案局」が頂点となる中央集権型のピラミッド型であることである。また、中国档案管理実務中の「双軌制」と「双套制」を詳細に説明したうえで、現在の中国において流行している新たなモデルとしての「単軌制」のフィージビリティを検討した。アクセス・利用の現状においては、将来の文書記録のライフサイクルプロセスでは、記録媒体として使用される紙がますます消えている可能性が高いであろう。日本の公文書等の管理であれ、中国の档案管理であれ、非現用の段階に入ってアーカイブズになった公文書等や档案がどのような形で存在しているかということは、今後の重要な課題といえるだろう。第四章「ICAの『アーカイブズのアクセス原則』に基づく日本と中国のアーカイブズ・アクセス制度の比較検討」では、ICAの「アーカイブズのアクセス原則」に基づき、この「原則」及び「原則を実行するためアドバイスを提供する技術報告書」の関連内容を分類・整理したうえで、利用者の権利、アクセスの業務処理におけるアーキビスト(中国では档案工作者という)の職務、利用者を対象とするアーキビストの職務という三つの面をめぐり、比較検討した。比較検討をしたところ、第一に、利用者の権利について、両国における関連法令の中で市民がアーカイブズにアクセスできる権利及び不服申し立ての権利を規定しているが、中国では、個人の利用申請を受け付けていない場合がある。第二に、アクセスの業務処理におけるアーキビストの職務について、最も特徴的なことは、中国において、アーキビストが公開にかかわる事務手続きの煩雑さを理由に公開の手続きを断ると、昇級やボーナスなどに直接に影響を及ぼすことである。もう一点は、アーキビストがアーカイブズ・アクセスの意思決定に参与することに関しては、日本では有識者会議として「公文書管理委員会」をもち、またアーキビストは利用審査を行うが、中国の档案工作者についてはそのようなシステムや手続きが存在しないことである。第三に、利用者を対象とするアーキビストの職務について、日本においては、いくつか地方の公文書館等の条例や制度の中で、館が保有する情報を最大限に公開し、かつ個人情報やプライバシー等の最大限保護を行なうという条項が規定されている。それに対して、中国における档案公開に関する各規定の中には、「最大限に公開される」という原則が掲げられていない。档案工作者が建国以降に作成され、総合档案館、特に中央档案館に保存されている档案については、例えば「30年原則」より、秘密保持の規定が優先される。もう一点は、アーカイブズ施設でのサービス料金の徴収に関して、現在は日本も中国も、閲覧料金を徴収していないことである。ただし、中国においては、各種類档案館の施設利用と档案利用の費用徴収が2013年に免除され、人事档案の保管費、査閲費、証明書発行費、転送費等のサービス料金の徴収が2018年に中止されることになった。第五章「ISDIAHに基づく日本と中国におけるアクセスの実例の記述及び考察」では、ISDIAHに基づき、日本国立公文書館、京都府立京都学・歴彩館、中国の第一歴史档案館及び上海市档案館との四つのアーカイブズ機関を対象とする記述をし、アクセス領域及び複製サービス領域を選定し、利用資格、オンランアクセス、複製サービス、取り寄せ、資料利用の利便性、開館時間及びバリアフリーという7つの点をめぐって比較し各館の特徴を捉えた。記述及び考察をしたところ、公文書アクセスの運用実態について以下の点が明らかになった。①利用資格について、日本の二つアーカイブズ機関に入る時、利用資格を問わない。故宮博物院の西華門、または仙霞路326号にある上海市档案局(館)に入るとき、紹介状が必要である。②オンラインアクセスについて、第一歴史档案館を除き、国立公文書館、京都府立京都学・歴彩館及び上海市档案館のWebサイトで一部行政文書や歴史公文書等のデジタル画像の全文を閲覧することできる。ただ、上海市档案館Webサイトで提供されるデジタル画像にはウォーターマークがあるので、閲覧の際、可読性に難を感じることがある。国立公文書館のデジタル画像は、閲覧とともに、印刷やダウンロードが可能である。③複製サービスについて、上海市档案館は一部複製サービスを提供しない理由を説明していなかった。④取り寄せについて、取り寄せにかかる時間が一番短いのは、当日取り寄せできる上海市档案館である。⑤資料利用の利便性について、中国の第一歴史档案館と上海市档案館より、横断的な検索と閲覧ができる資源共有システムがオンラインで構築されている国立公文書館、及び公文書等だけでなく、図書や雑誌等資料、東寺百合文書をはじめとする古文書類、「陽明文庫」のデジタル資料、およびそのほか京都関係資料が利用できる京都府立京都学・歴彩館、という二つのアーカイブズ機関の方の利便性が高い。⑥開館時間について、最長と最短は日本の歴彩館と国立公文書館である。⑦国立公文書館と歴彩館はそれぞれのバリアフリー対応施設がある。それに対して、中国の第一歴史档案館及び上海市档案館において、バリアフリー対応施設がほとんどない。第六章「終章」では、本論の内容をまとめたうえで今後の課題を述べた。アーカイブズ機関で保存されている資料を通じて、歴史の記録としてのアーカイブズを積極的に利用させることができるということは、アーカイブズ機関及びアーキビストの重要な業務になったが、アーカイブズ・アクセスについて、特に注目されるのは、2019年末以降の新型コロナウイルスの世界規模の感染拡大を受けて、デジタルアーカイブズの構築によるアクセスの確保がより重要になることである。こうしたことを背景に、今後、アーカイブズ・アクセスを推進するにあたって、日本の電子公文書及び中国の「単軌制」を推進し、日本と中国においてデジタルアーカイブズの管理システムを全般的に構築することが重要な作業になることは、言を俟たないところである。一方、アーカイブズ・アクセスの構築の一環として認証アーキビストの育成を推進すること、認証アーキビストを育成したうえで専門職員の公文書(档案)の作成機関へ配置してアーキビストがアクセスに関する意思決定の過程に参与することを推進すること、ICAの「アーカイブズのアクセス原則」を基準として日本のアーキビストの職務基準書を見直したり中国では日本の「アーキビストの職務基準書」のような規則を設けたりすること、日本の公文書管理法に罰則を設けたり中国の档案法に文件のライフサイクル全体を対象として規定を設けたりすることができるかということが、今後の重要な課題であるといえるだろう。以上、本研究では、日本と中国におけるアーカイブズ・アクセス制度をめぐり、関連用語、法規定、管理制度及び実務実態などを比較し、欧米の経験だけでなく、日本の経験を参考に中国の档案管理を実施することも重要であることを示し、今後の発展方向を明らかにした。application/pdf
- Persistent ID (NDL)
- info:ndljp/pid/11929667
- Collection
- Collection (Materials For Handicapped People:1)
- Collection (particular)
- 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
- Acquisition Basis
- 博士論文(自動収集)
- Date Accepted (W3CDTF)
- 2021-12-07T08:33:55+09:00
- Date Created (W3CDTF)
- 2021-11-05
- Format (IMT)
- application/pdf
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