博士論文
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松本亨の虚像と実像―国際文化学的アイデンティティ分析の試み―
- Persistent ID (NDL)
- info:ndljp/pid/8948741
- Material type
- 博士論文
- Author
- 武市, 一成ほか
- Publisher
- -
- Publication date
- 2013-12-19
- Material Format
- Digital
- Capacity, size, etc.
- -
- Name of awarding university/degree
- 法政大学,博士(国際文化)
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Note (General):
- 序章 1 ,1.本論における「文化」の定義 ,2.国際文化学の定義と本論における方法論的視座, 3.松本亨という人物を考察する今日的意義,4.本論の構成と解説 ,注 , 第1章 松本亨とキリスト教, 第1節 文化衝突の「場」としての「家族」,星野葆光と救世軍 「母」という名の「異文化」...
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Digital
- Material Type
- 博士論文
- Author/Editor
- 武市, 一成TAKEICHI, Issei
- Publication Date
- 2013-12-19
- Publication Date (W3CDTF)
- 2013-12-19
- Alternative Title
- Toru Matsumoto: Image and Reality ―An Intercultural Attempt to Analyze Identity―
- Contributor
- 国際文化研究科 国際文化学専攻
- Degree grantor/type
- 法政大学
- Date Granted
- 2013-09-15
- Date Granted (W3CDTF)
- 2013-09-15
- Dissertation Number
- 甲第322号
- Degree Type
- 博士(国際文化)
- Conferring No. (Dissertation)
- 32675甲第322号
- Text Language Code
- jpn
- Note (General)
- 序章 1 ,1.本論における「文化」の定義 ,2.国際文化学の定義と本論における方法論的視座, 3.松本亨という人物を考察する今日的意義,4.本論の構成と解説 ,注 , 第1章 松本亨とキリスト教, 第1節 文化衝突の「場」としての「家族」,星野葆光と救世軍 「母」という名の「異文化」, 第2節 『おゝ雪よ!マイスノウ』-或る文学作品に表れる葛藤と憧憬 ,罪と孤独 ,血と浄化 ,「聖女」としての「雪子」,第 3 節 日米学生会議-国際主義と国家主義の相克 日米学生会議創設当時の国際状況と会議成立の背景 ,第 1 回日米学生会議 ,第 2 回日米学生会議 ,国際主義と国家主義の相克 , 注 , 第2章 超教派主義と「多様性の中での一致」 第1節 学生キリスト教運動(SCM)と松本亨,学生キリスト教運動(SCM)の歴史と背景 ,外国人留学生友好関係委員会(CFRFS)と北米日本人基督教学生同盟(JSCA),松本亨と北米日本人基督教学生同盟 逆風の中の北米日本人基督教学生同盟 第 2 節 日米交換船と松本亨 交換船の国際人道法的根拠 調査と査問:戦争捕虜としての松本亨 収容所内の人間関係 帰国拒否の意味 第 3 節 ルーマン・J・シェーファー―或るリベラリストと松本亨シェーファーの人と思想 邂 逅 開戦から終戦まで再び日本へ「不確定要素」 教会との溝 注 第3章 アメリカの良心を写す鏡 第1節「ビクトリーガーデン事件」 ビクトリーガーデンの社会文化史的意味ビクトリーガーデンと国家統一概念の喚起第 2 節 A Brother Is A Strangerという名の鏡 大石エマという女性 家父長制と結婚 A Brother Is A Stranger成立の背景 タイトルと広報活動の裏側 「女神」としてのエマとアメリカの「正義」 書評に見る A Brother Is A Stranger をめぐる社会的力学 確執再燃 松本亨一家と言う名の「像」 第3節A Brother Is A Strangerと占領政策の関係 権威主義の対極としての A Brother Is A Stranger A Brother Is A Strangerを巡る政治的力学 注 第4章 松本亨と戦後民主主義 第1節 映画『日本の人々』に見るプロテスタント教会の対日意識 『日本の人々』の構成 近代的自我とキリスト教 民主化のモデルとしての「鈴木家」 第2節 「逆コース」の中で ある対談 キリスト教会と反共 第3節 「理想教育」への道-危機と挫折 コロンビア大学教育大学院と普遍主義 キリスト者松本亨の思想 「明治学院における自由主義的宗教プログラムに関する一提案」 信仰の危機と挫折 注 第 5 章 「英語教育者」松本亨 第1節 松本亨の英語体験 「教養主義」と「実用主義」 明治学院における英語体験 第 2 節 松本亨と放送英語 太平洋戦争期以前の「放送英語」 「英語会話」の登場 第 3 節 松本亨『ラジオ英語会話』の社会文化的解釈 平川唯一と「カムカム英語」 「自己変革」及び「社会変革」の契機としての英語学習 拡大する「英語学習共同体」 「生きた英語」と「英会話」 注 終章 松本亨の虚像と実像 1. 松本亨を考察する座標 2. 「伝統」と「普遍」の相克 3. 松本亨は「英会話教師」であったか 4. 松本亨-「受容」と「黙殺」 注 史料文献一覧 253 " 本論は、今日日本で専ら英語教育者としてその名を知られる松本亨(1913‐1979)を国際文化学の枠組みで論ずる試みである。一般に学術研究において人物を扱う場合、その仕事は大抵歴史学に委ねられる場合が多い。バイオグラフィーとして認知されている領域がそれである。この場合のバイオグラフィーとは、日記、自伝的書物、書簡等の第一次史料にもとづいて、その人物の歩んだ人生を継時的に再構築し、歴史的な意味づけを行う作業であると要約できる。本論も、学的基礎として、松本亨本人のみならず、彼と直接間接関わりを持った多くの人物によって残された、多種多様な一次史料に立脚したものであり、歴史学的手法がその基礎にある。「実証性」を伴わない議論は、客観性を欠くのであり、およそ学術研究たり得ない以上、このことは当然である。しかしながら、本論が、国際文化学博士号の取得要件として、国際文化研究科に提出されるものであってみれば、それは単に歴史学的考察を越えた、国際文化学としての特徴を有するものでなくてはならないと考える。松本亨という人物を、特に国際文化学的手法を用いて論ずる理由は幾つかあるが、まず、冒頭でそのことについて述べておきたい。 最初に、松本亨は、日本放送協会『ラジオ英語会話』の講師などを通じて、英語教育者として大成し、多くの学習者に影響を与えたが、その分野において、自らの方法論を体系的に理論化することはなく、専ら「技術」としての英語運用能力習得の分野で多くの信奉者を得た人物である。従って、明治期に英語の文法を体系的に理論化して纏め、要職にあって公的にも大きな影響力を発揮し、今日辞書学、英学史、英語教育史等の分野で論じられることの多い斎藤秀三郎や、明治後期から大正期にかけて、日本の英語教育界の指導的立場にあった英文学者岡倉由三郎などと同列に松本亨が論じられることはほとんどなく、またその必要もない。無論、斎藤秀三郎や岡倉由三郎とて、「実用」と無縁ではないが、松本亨が、理論化、辞書編纂、英文学研究等と無縁の人物であったことは確かである。従って、松本亨という人物の英語教育者としての側面を、斎藤秀三郎や岡倉由三郎と同じ地平で考察しようとしても、そもそも、課題設定自体がずれているのである。英語教育者としての松本亨は、占領後期から高度経済成長期の日本にあって、実用的なレベルにおいて大きな影響力を発揮したのであり、まさにその地平から彼の存在や功績の社会文化的意味が考察されるのでなくてはならない。日本における英語教育を歴史的に考察する分野は、主に英語教育史や英学史であるが、前者にあっては、国民国家としての枠組みを前提に人物が論じられる場合が多く、また後者にあっては、「英学」という呼称が示すように、明治期に活動した教育者や文学者が主な研究対象であり、松本亨のような人物を取り扱う試みは、2 その緒に就いたばかりである。 第二に、松本亨は、政治的に枢要な位置から国家の政策に直接的に大きな影響を及ぼす立場にあった人物ではない。従って、外交史の文脈で松本を扱うのは原理的に困難である。また、松本は、1936 年から 1949 年までアメリカに滞在したが、移民としてアメリカに居住したわけではなく、また、そのような意識を持っていた形跡もない。よって、従来の移民史の枠組みで論ずることも難しい。また、松本亨はキリスト者であったが、日本の教会組織の中枢で指導的影響力を行使したわけではなく、キリスト教宣教史の文脈のみで論ずることも困難である。要するに、松本亨という人物は、世間一般に言う、「偉人」「要人」「傑物」の類では全くない。しかし、日米交渉史の観点からは、生涯を通じて、極めて多様な領域で足跡を残した人物であり、それゆえ、彼のような人物を考察する場合、学際的な視点が不可欠である。 第三に、本論は松本亨を通じて日米関係を述べるものではありえず、日米関係を背景に松本亨を論ずる試みである。そうでなければ、松本亨をわざわざ取り扱う意味がないからである。これは、松本亨という個人のアイデンティティに関わる問題である。松本が、元来文学的な傾向が強く、極めて自己表出的な人物であったことは明白であり、それゆえ、松本亨を「英語教育者」と呼ぶことさえ慎重を要する。これは恐らく最も重要なことであるが、世評とは裏腹に、松本は、「英語教育者」としての自らの立ち位置に、本来の自分をみていなかった可能性さえあると考えられる。従って、実用英語放送に関わり、実用英語学習書を書くことは、松本亨の重要な「仕事」ではあっても、彼の「本質」であったとは俄かに断じ難い。無論、これを持って、英語教育者としての松本亨の社会的意義や重要性がいささかも減ずるわけではない。そもそも、アイデンティティなる概念は、個人にある種の統一的意識を要求するものであるが、個人の自己認識と社会的アイデンティティが同一であると考える根拠はどこにも存在せず、松本亨という人物を考える場合、この点は特に重要である。このような、個人の自己同定に関わる複雑な様相を考察する場合にも、国際文化学の視点は有用である。 これらの理由から、本論を展開するに当たっては、歴史学的史料を基礎としながらも、松本亨という個人も含めた文化の問題を幅広く考察する学際的視点が必要であり、国際文化学が、方法論的にも有効であると考える。その必然性は、以下国際文化学とは何であるかを論じて行く過程において、自から明らかにされるものと考える。 学際分野としての国際文化学の発展可能性は大きい。しかし、学際分野であるがゆえに、その枠組みや方法論については、現今茫漠たるを免れない部分がある。国際文化学を紹介する意図で書かれた文献は、既にいくつか存在しているが、例えば、複数の関連論文を集めた『国際文化学への招待-衝突する文化、共生する文化』(1999)においても、フランス思想史の寺田元一は、国際文化学の基本視座について「執筆者たちの間にもこの点では必ずしもきちんとした合意があるわけではない」と認めており、インターカルチュラリティという言葉にしても、英語として認知されたものではないとしている 1 。一方、「国際文化学」という日本語についても、インターカルチュラリティの訳語ではなく、global culture、inter-cultural studies という言い方はあっても、‘international culture’とは言わず、そのようなものも実体としては存在しておらず、「国際文化」という言葉自体が日本の造語であるとする見かたもある 2 。さらに誤解を招くのは、「国際文化学」における「国際」という言葉である。「国際」とは、インターナショナル(international)のことであり、字義通りに解釈するならば、国際文化学は、近代国民国家(nation state)の間の文化関係を調査研究する分野とみなすことができる。しかし、実際のところ、国際文化学の研究対象は、国家的領域、民族的領域、特定言語領域、特定宗教圏、さらにはラテンアメリカゾーン等の文明圏など、極めて多岐にわたり、特定国家内部におけるエスニックマイノリティ(少数民族)の問題を取り上げる場合すらある 3 。したがって、本論を展開するにあたり、国際文化学の学説的発展の歴史を振り返り、その方法論を確認しておくことは極めて重要である。 "開始ページ : 1終了ページ : 263
- Persistent ID (NDL)
- info:ndljp/pid/8948741
- Collection
- Collection (Materials For Handicapped People:1)
- Collection (particular)
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- Acquisition Basis
- 博士論文(自動収集)
- Available (W3CDTF)
- 2015-03-03
- Date Accepted (W3CDTF)
- 2015-02-03T05:25:05+09:00
- Format (IMT)
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