過去の貨幣価値の調べ方
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科学技術・経済情報室 作成
「昔の100円は現在の貨幣価値に換算するといくらか」といった、過去の貨幣の価値を現在の貨幣の価値に換算することは難しく、正確な値を出すことはできません。ただし、各種の物価指数を利用して、おおよその値を算出することは可能です。ここではおもに明治以降の貨幣価値について、概算方法や各物価指数が掲載されている資料およびインターネット情報源を紹介します。
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1. 過去の貨幣価値を概算する
過去の貨幣価値を概算する方法や各物価指数を解説したインターネット情報源には、以下のようなものがあります。
昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?(「教えて!にちぎん」(日本銀行))
過去の貨幣価値を調べるときの基礎的な考え方や、企業物価指数、消費者物価指数を用いた概算方法について解説しています。企業物価指数および消費者物価指数の調べ方は、2. 物価指数をご覧ください。江戸時代の一両の現在価値はどのくらいですか?(「お金の歴史に関するFAQ」(貨幣博物館))
江戸時代の貨幣を現在の貨幣価値に置きかえるとどれくらいか、米価や大工の賃金を用いて概算する方法について、取り上げています。
2. 物価指数
過去の貨幣価値を概算するための代表的な指数には、企業物価指数(卸売物価指数)と消費者物価指数があります。
2-1. 企業物価指数(卸売物価指数)
「企業物価指数」は明治時代から現在まで継続して日本銀行が作成しています。明治30(1897)年に「東京卸売物価指数」として公表が始まり、昭和29(1954)年に「卸売物価指数」、平成14(2002)年に「企業物価指数」と改称されました。企業物価指数は、日本銀行ホームページ内物価関連統計のページで公表されています。
戦前・戦後の物価水準を一貫して比較できるようにするため、昭和9(1934)年から昭和11(1936)年までの平均を基準値として換算した指数が戦前基準の企業物価指数です。戦前基準の企業物価指数が記載された資料やインターネット情報源には以下のようなものがあります。
時系列統計データ検索サイト(日本銀行)
日本銀行が公表している統計の長期時系列データを検索およびダウンロードできるサイトです。戦前基準物価指数については、統計別検索> 物価> 企業物価指数に進み、「戦前基準指数」の項目を選択すると、任意の品目と期間に関するデータを抽出することができます。
『物価指数年報』(日本銀行 年刊)*
過去20年の戦前基準指数が掲載されています。2017年版をもって刊行を終了しました。
『日本長期統計総覧. 第4巻. 新版』(日本統計協会 2006 【YU7-H4814】)*
- 掲載表
- 22-9 戦前基準国内企業物価指数
- 内容年
- 昭和6(1931)年から平成17(2005)年まで
- 掲載ページ
- pp.492-495
日本の長期統計系列(総務省統計局)の「第22章 物価」のページにも同様の統計表が掲載されています。なお、現在見られるのはWARP(国立国会図書館インターネット情報資料収集保存事業)で収集した過去のページです。
『完結昭和国勢総覧. 第2巻』(東洋経済新報社 1991 【DT31-E7】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 掲載表
- 13-1 総合卸売物価戦前基準指数(総平均、月別)
- 内容年
- 大正15(1926)年から昭和63(1988)年まで
- 掲載ページ
- p.443
『日本長期統計総覧. 第4巻』(日本統計協会 1988 【DT31-E1】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 掲載表
- 17-1 戦前基準総合卸売物価指数−総平均
- 内容年
- 明治33(1900)年から昭和60(1985)年まで
- 掲載ページ
- pp.330-333
『明治以降卸売物価指数統計』(日本銀行 1987 【DT792-E1】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 掲載表
- 総合卸売物価戦前基準指数 (1)月別総平均指数
- 内容年
- 明治20(1887)年から昭和61(1986)年まで
- 掲載ページ
- pp.24-25
復刻版として『明治以降卸売物価指数統計 上巻 復刻版』(日本銀行編 1999 【DT792-G9】)『明治以降卸売物価指数統計 下巻 復刻版』(日本銀行編 1999 【DT792-G9】)があります。
2-2. 消費者物価指数
昭和21(1946)年8月に内閣統計局が公表を開始し、開始当初は昭和24(1949)年、昭和27(1952)年、昭和32(1957)年、昭和36(1961)年に、それ以降は5年ごとに基準時を改正しています。基準時をまたぎ、2段階以上で換算する必要がある場合があります。一部の資料では、「持ち家の帰属家賃を除く」指数であれば、昭和22(1947)年以降の指数の一覧が掲載されており、昭和22(1947)年以降の指数を一貫して比較することができます。
消費者物価指数に関するQ&A(総務省統計局)
消費者物価指数について、基本情報、利用方法、企業物価指数との違いなどの「よくある質問」が掲載されています。
消費者物価指数が掲載された資料、インターネット情報源には以下のようなものがあります。
消費者物価指数(CPI)(総務省統計局)
時系列データのページに昭和45(1970)年から現在までの指数が掲載されています。「持家の帰属家賃を除く総合指数」については昭和21(1946)年8月分から掲載されています。『消費者物価指数年報』(総務省統計局 年刊)として冊子体が刊行されており、同様の統計データが掲載されています。
『日本長期統計総覧. 第4巻. 新版』(日本統計協会 2006 【YU7-H4814】)*
- 掲載表
- 22-13 消費者物価指数(全国、中分類別)
- 内容年
- 昭和30(1955)年から平成17(2005)年まで
- 掲載ページ
- pp.501-515
- 掲載表
- 22-18 戦前基準5大費目指数−東京都区部
- 内容年
- 昭和22(1947)年から平成17(2005)年まで
- 掲載ページ
- p.541
総務省統計局ホームページ内日本の長期統計系列の「第22章 物価」のページにも同様の統計表が掲載されていました。現在はWARP(国立国会図書館インターネット情報資料収集保存事業)で見ることができます。
『完結昭和国勢総覧. 第2巻』(東洋経済新報社 1991 【DT31-E7】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 掲載表
- 13-19 消費者物価指数(全国、月別)
- 内容年
- 昭和21(1946)年8月から昭和63(1988)年まで
- 掲載ページ
- p.476
『日本長期統計総覧. 第4巻』(日本統計協会 1988 【DT31-E1】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 掲載表
- 17-9 戦前基準消費者物価指数−東京都区部
- 内容年
- 昭和22(1947)年から昭和60(1985)年まで
- 掲載ページ
- p.351
- 掲載表
- 17-10 消費者物価指数(全国、総合)
- 内容年
- 昭和21(1946)年8月から昭和60(1985)年まで
- 掲載ページ
- pp.352-353
3.その他
個別の商品価格や初任給などをもとに現在の貨幣価値と過去の貨幣価値を比較する際など、過去の商品やサービスの価格を調べる場合は、価格の調べ方をご覧ください。
また、過去の外国の通貨とその当時の日本の通貨の為替レートを調べる場合は、為替レートの調べ方をご覧ください。