人工知能に関する法制度について調べる
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議会官庁資料室 作成
1. 人工知能と法(国立国会図書館サーチで検索するには)
人工知能と法に関する資料は、国立国会図書館サーチで、請求記号「A491-*」や「AZ-491-*」、キーワード「人工知能」「AI」「生成AI」等と入力して検索することができます。
2. 人工知能と法的課題
AI技術の発展には法的リスクも伴うことが予想されています。例えば、次のような法律に関係する課題が出てくることが懸念されています。
- 著作権(権利帰属主体、著作物性、権利侵害の成否などが問題となる)
- 商標法、不正競争防止法(すでに権利取得している知的財産の類似物をAIが生成する可能性があり問題となる)
- 個人情報保護法(生成AIに入力する情報の機密性などが問題となる)
こうした法的課題や、人工知能の歴史や仕組み、活用例などについて幅広く解説されている資料を紹介します。
- 宍戸常寿ほか編著『AIと社会と法』有斐閣, 2020.【A121-M49】
契約、医療、雇用など実社会におけるAIの活用課題について、座談会形式での議論をまとめた資料。知的財産以外の分野にもページを割いており、法実務について海外の事例も交えて議論しています。 - 増田雅史, 輪千浩平 編著, 上村哲史ほか『ゼロからわかる生成AI法律入門』朝日新聞出版, 2023.【A491-M12】
生成AI利用の際にどの法律との関係で問題が生じるか、AIの種類や利用場面別の留意点、EUと米国の規制動向などが解説されています。 - 福岡真之介編著『AIの法律』商事法務, 2020.【A491-M6】
AIの基礎知識から、関連する法律の概要、法的問題、倫理的な問題等が幅広く紹介されています。AI関連の法律については、知的財産権法を中心として、民事的・刑事的責任について解説する<基本編>と、実際にAIを社会で活用する際に課題となるような個人情報保護や雇用等の問題について解説する<応用編>とに分かれています。 - 古川直裕ほか『Q&A AIの法務と倫理』中央経済社, 2021.【AZ-491-M27】
倫理、開発契約、独占禁止法などの分野ごとにQ&A形式でAI法務の留意点を解説した資料です。AI関連用語の定義、開発プロセス、AI技術の説明といった基礎知識の解説も掲載されています。 - 特集「AIと民法」『法律時報』94(9), 2022.8, pp.8-60.【Z2-31】
契約、医療などの分野におけるAIと法律問題についての論文が掲載されています。 - Law & Technology編集部編集『知的財産紛争の最前線 : 裁判所との意見交換・最新論説 No.9 (Law & Technology別冊)』民事法研究会, 2023.【AZ-463-M194】
生成AIの具体例(ChatGPT、Midjourney、Jukebox等)を挙げ、その生成プロセスや知的財産に関する論点を検討しています。 - 中央経済社編『ChatGPTの法律 : ざっくりわかる!』中央経済社, 2023.【AZ-491-M68】
米国のOpenAIが開発した自動応答チャット生成系AI であるChatGPTに焦点を当てた資料です。仕組みや利用態様、関係法律の概要や具体的な法的リスク、社内や教育現場での利用にあたっての留意点などが解説されています。
3. 日本の動向を調べる
- 情報処理推進機構AI白書編集委員会編『AI白書』角川アスキー総合研究所, 2017-【Z74-K639】
AIの基本技術や課題、国内企業における開発、利用動向、制度政策動向などを見ることができます。OECD、G7、G20といった主要機関の検討経過や、海外の国家戦略も掲載されています。
各省庁が公開している委員会や分科会等の情報から、日本の動向を調べることができます。
内閣府
知的財産戦略本部
「AI時代の知的財産権検討会」の資料などを見ることができます。知的財産推進計画2024
メタバースやAIなどの技術が発展する中で、知的財産を保護・活用するための施策が検討されています。科学技術・イノベーション推進事務局「AI戦略」
平成30年以降の「人間中心のAI社会原則会議」の資料や、2019年以降のAI戦略を見ることができます。
総務省
情報通信法学研究会
平成28年度以降の研究会資料を見ることができます。情報通信関連の法令に関する資料や、令和元年に設立されたAI分科会の資料などが掲載されています。情報通信白書
AIを含む情報通信分野の課題や、総務省の政策などがまとめられています。ホームページからPDF版、HTML版を全文読むことができます。
(紙資料)総務省編『情報通信白書』日経印刷, 2001-【Z71-K656】総務省トップページ>広報・報道>報道資料一覧
AI関連の報告書などを見ることができます。例えば、下記のような資料が掲載されています。広島AIプロセス閣僚級会合の開催結果
令和5年9月7日に総務省が開催した「広島AIプロセス閣僚級会合」において採択された「G7広島AIプロセス G7デジタル・技術閣僚声明」(英語版、日本語版)を読むことができます。G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合の開催結果
2023年4月29・30日に総務省・デジタル庁・経済産業省が開催した「G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合」(G7広島サミットの関係閣僚会合の一つ)において採択された閣僚宣言及び附属書を読むことができます。
文化庁
AIと著作権について
令和6年3月に文化審議会著作権分科会法制度小委員会がとりまとめた、AIと著作権に関する考え方や、それに関連する文書が公開されています。また、著作権セミナー「AIと著作権」の、講演映像のアーカイブと講演資料が掲載されています。文化審議会著作権分科会法制度小委員会
令和2年度第1回(2020年7月29日)開催委員会以降の資料を見ることができます。
AIと著作権に関する資料などが公開されています。
経済産業省
コンテンツ制作のための生成AIガイドブック
コンテンツ制作におけるAIの活用と、それに伴う知的財産権保護に関するガイドブックです。「リアルデータの共有・利活用」
AIの開発や利用に関する契約の留意点や法的課題が解説されている「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」などの資料を見ることができます。
4. 海外の動向を調べる
各国の議会のウェブサイト等で、海外の動向を調べることができます。
- (日本語)総務省 世界通信情報事情
国を選択し、「より詳細な監督機関・法律・政策等の情報」(HTML版、PDF版)からAI関連の政策を見ることができます。 - (英語)Regulation of artificial intelligence around the world
米国議会図書館による報告書。AI関連の法律を採択・提案した国が記載されています。
EU
欧州議会が2024年3月13日に採択し、2026年から施行予定の「Artificial intelligence act」に関する情報を見ることができる資料を紹介します。
- European Parliament 「Press Room」で、プレスリリース「Artificial Intelligence Act: MEPs adopt landmark law」を見ることができます。
- (本文) European Parliament 「Artificial intelligence act」
- (概要) EU AI Act: first regulation on artificial intelligence(概要)
- 欧州連合日本政府代表部「EU AI規則の概要」(2024年6月)
法案の審議経過や適用範囲、施行スケジュールなどがまとめられています。 - European Commission AI Watch
国名を選択して国ごとに政策を見ることができます。
OECD
- 経済協力開発機構編著、齋藤長行訳 『OECD人工知能〈AI〉白書 : 先端テクノロジーによる経済・社会的影響』明石書店, 2021.【M121-M379】
刑事司法、セキュリティ分野等におけるAIの活用事例が解説されています。国家政策、開発計画や国家戦略、AI関連事業に取り組む機関など、日本を含め26か国分の情報が簡潔にまとめられています。G7、国際標準化機構といった国際機関や、民間のステークホルダーの取組みも掲載されています。 - OECD AI Policy Observatory
国を選択してOECD各国のAI政策を見ることができます。
英国
- GOV.UK Artificial intelligence
国家戦略などを見ることができます。また、右上の検索窓に「AI」などのキーワードを入れて検索することができます。 - GOV.UK Policy papers and consultation
左上の検索窓に「AI」と入れてキーワード検索をすると、英国政府のAIに関する政策文書を見ることができます。
米国
- U.S. Department of State Artificial Intelligence (AI)
AIに関する政策を見ることができます。 - AI.Gov
政府機関によるAIの活用事例など、米国の政策を見ることができます。 - U.S. Copyright Office Copyright and Artificial Intelligence
AIと著作権に関する聴取会の録画や告知などが公開されています。
カナダ
- Government of Canada Digital government innovation
政府の指針やAI活用ガイドなどを見ることができます。
中華人民共和国
- 中華人民共和国中央人民政府 政策解読(政策分析)
右上の検索窓から「人工智能」(人工知能の中国語)などのキーワードで法令などを検索することができます。