日本-官庁資料の探し方

日本では、官庁出版物は官庁の各部署が自らの経費で印刷して無償配布したり、民間出版者等が官庁との契約により有償頒布したりするものが多く、その全貌を把握できる網羅的な出版目録は存在していません。また、官庁の活動から発生する情報を記録した資料は、必ずしも多部数を印刷して頒布する出版物の体裁を取るとは限らず、むしろ「行政文書」に類するものも多く含まれます。

ここでは、このような特徴を有する日本の官庁資料について、さまざまな情報源からの探し方をご案内します。【 】内は当館請求記号、インターネットの最終アクセス日は2023年12月22日です。

1. 各図書館のオンライン蔵書目録(OPAC)を検索する

調査したい資料の書誌事項が判明している場合は、各図書館のオンライン蔵書目録(OPAC)を検索します。

  • 国立国会図書館サーチ(国立国会図書館)
    当館が所蔵する官庁資料を検索できます。昭和23(1948)年の開館以来、納本制度に基づいて収集した出版物のほか、当館の源流である帝国図書館や帝国議会の貴族院・衆議院両院の図書館が官庁からの寄贈によって収集した資料などがあります。
    また当館のほか、全国の公共図書館(都道府県立・政令指定都市立図書館)の所蔵資料を検索することができます。「すべての連携先を検索する」にチェックを入れると、次にご紹介するCiNii Booksの所蔵情報も横断検索されます。

中央官庁には、当館の支部図書館が設置されています。これらの支部図書館は、所属機関の職員の業務遂行の支援を目的としていますが、調査研究を目的とする外部利用者の利用を認める場合があり、一部はOPACをインターネット公開しています。詳細は、「国立国会図書館行政・司法各部門支部図書館及び分館一覧」からリンクしている各支部図書館のウェブサイトをご覧ください。

このほかにも、官庁資料の主題と密接に関係する分野の専門図書館がOPACをインターネットで公開している場合があります。『専門情報機関総覧』(専門図書館協議会 2015 【UL2-L6】)、専門図書館協議会のウェブサイトLeave the NDL website. 等を利用し、関係する図書館を調べてOPACの有無をご確認ください。

2. 記事から探す

閣議決定審議会の答申などは、その全文が関連分野の図書や業界誌、学会誌等の雑誌に記事として掲載されていることがあります。記事を検索するツールには、国立国会図書館サーチで検索できる当館作成の雑誌記事索引のほか、以下のものがあります。

  • NDLサーチを利用した目次検索
    NDLサーチの目次検索機能を使って、当館所蔵の図書・雑誌類の中から当館の担当職員が選別した参考図書・論文集・資料集などの目次を検索できます。上記のリンク先からTESTSEARCHと記入されている窓を探し、TESTSEARCHを任意の検索用語に入れ替えて検索して下さい。

  • 国立国会図書館デジタルコレクション
    デジタル資料を収録するデータベースですが、当館所蔵資料からデジタル化された資料は目次を検索することができるため、記事の検索ツールとして利用することができます。標準検索設定ではオフになっている「図書館送信資料」「国立国会図書館内限定」にチェックを入れて検索してください。なお、資料本文のデジタルデータは、「国立国会図書館内限定」のものは当館(東京本館・関西館・国際子ども図書館)の館内で、「図書館送信資料」のものは当館のほか図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館の館内で閲覧できます。

  • CiNii ArticlesLeave the NDL website. (国立情報学研究所)
    当館の雑誌記事索引採録誌に加えて、学協会刊行物、大学研究紀要などの学術論文情報を検索対象とするデータベースです。

雑誌のほかにも、記者発表などで公表された資料は詳細な内容が新聞に報じられている可能性があります。新聞の調査方法はリサーチ・ナビ「新聞」をご覧ください。

3.公文書から探す

公文書管理法(公文書等の管理に関する法律Leave the NDL website. (平成21年法律第66号))の規定により、国の行政機関の職員が職務上作成・取得して組織的に共有している資料は、官報、白書などの市販の図書・雑誌を除いて「行政文書」と定義されます。行政文書は同法の定めに従って管理されるとともに、情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律Leave the NDL website. (平成11年法律第42号))の規定による開示請求の対象となり、また歴史資料として重要な「特定歴史公文書等」は保存期間満了後に国立公文書館等に移管されて長期的な保存、利用が行われることになります。

官庁で作成される非売品の資料はおおむね公文書管理法の規定する行政文書の定義に該当します。図書館の蔵書として見当たらない資料であっても、現用の公文書として行政機関が組織的に保有していたり、公文書館等に保存されていたりする場合があります。

4.インターネット公開されている資料から探す

官庁は白書等の出版物や、記者発表資料等の公表・配布を前提として作成した資料をウェブサイトに掲載します。平成12(2000)年に行政情報のインターネット公開、利用促進を掲げた「IT基本戦略」が策定されてからは、公開されている資料が増えています。

  • 電子政府の総合窓口e-GovLeave the NDL website. (総務省)
    総務省行政管理局が運営する行政情報の総合ポータルサイトです。トップページの「府省や行政に関する情報」から、各府省・独立行政法人等の政府機関のウェブサイトにリンクしています。

現時点でインターネット公開されている資料の検索にはGoogle、Yahoo!などの検索エンジンも有用です。ただし、掲載から一定期間経過すると削除されることも多く、現在公開されていない資料は検索エンジンでは十分に探すことができません。その場合には、ウェブアーカイブサービスを活用する方法があります。

  • 国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)
    当館の提供するウェブアーカイブサービスです。平成14(2002)年から発信者からの許諾を得て、平成22(2010)年以降は国立国会図書館法の規定に基づき収集した国の機関、都道府県、市町村、独立行政法人などの公的機関のウェブサイトを収録しています。

なお、国立国会図書館デジタルコレクションは、インターネット資料収集保存事業やオンライン資料収集制度(eデポ)で収集したインターネット上で無償提供されている電子書籍・電子雑誌も収録しています。併せてご利用ください。

5. 紙媒体の参考資料から探す

5-1.官庁資料の出版目録

日本の官庁資料には網羅的な出版目録は存在しませんが、出版状況を調査するために有用な目録があります。詳細は、リサーチ・ナビ「日本-官庁資料の目録」をご覧ください。

このほか、当館の行政・司法各部門の支部図書館で編さんされた蔵書目録からも、官庁資料の書誌情報を得ることができます。国立国会図書館サーチでは、詳細検索画面の「著者」に省庁名、「件名」に「蔵書目録」と入力して検索すると、当館が所蔵する支部図書館の蔵書目録を検索できます。

5-2.官庁の年史・広報誌

周知広報を要する官庁資料は、公報広報誌など官庁が編集・発行する雑誌等に全文や概要、関連情報が掲載されます。重要な資料は、年に一度刊行される白書・年報に掲載されている可能性もあります。また、特に重要な資料は、年史に参考文献として掲載されることもあります。