特許番号から特許原文献を入手する(その2)~Espacenet、米国特許庁(USPTO)特許検索~

1. はじめに

日本特許、米国特許、欧州特許(EPO特許)、PCT特許(特許協力条約(Patent Cooperation Treaty)に基づく出願による特許)などは、原則、インターネットで特許原文献が公開されています。

すべての特許には特許番号が付与されています。特許番号がわかれば、特許データベースから特許原文献を閲覧できます。ただし、国や年代、データベースによって特許番号の桁数(例:西暦が2桁もしくは4桁)や表記の仕方(例:ハイフンやカンマの有無)などが異なりますので、検索の際には注意が必要です。

本記事では、欧州特許および米国特許の特許番号から特許原文献を入手する方法を紹介します。

2. 欧州特許

EspacenetLeave the NDL website. (European Patent Office)

欧州特許庁(European Patent Office)Leave the NDL website. が提供するデータベースであり、欧州特許(EPO特許)のみならず、欧州各国の特許、米国特許、PCT特許、日本特許など、1782年以降の1億5000万件を超える特許を収録しています(2024年5月現在)。各国特許の横断検索が可能なほか、ある特定の特許が、他の特許とどのような関係にあるかを示した、「Patent family」を表示する機能もあります。
収録している歴史上著名な特許の例としては、トーマス・エジソンの電灯(US223898)、グラハム・ベルの電話(US174465)などがあり、特許原文献にアクセスできます。
トーマス・エジソンの電灯に関する特許の原文献を閲覧したい場合、「Patent searchLeave the NDL website. 」のトップページの検索窓に「US223898」と入力し、「Search」ボタンを押します。次に、検索結果一覧から「ELECTRIC LAMP」を選択します。ドキュメントペインまたはドキュメントビューが開くので、ドロップダウンメニューまたはメニューバーから「Original document」を選択すると特許原文献が表示されます。

3. 米国特許

Patent Public SearchLeave the NDL website. (USPTO:United States Patent and Trademark Office)

1790年以降の米国特許を収録した、米国特許庁特許検索データベースです。1970年以降の特許は特許原文献のフルテキスト、1970年以前の特許はOCRにより生成された全文テキストから資料を検索できます。2001年以降の米国特許公開公報も収録されています。
Basic SearchLeave the NDL website. からは、以下のように検索します。

  • 特許番号:「Quick lookup」欄の検索ボックスに、特許番号(7桁または8桁の数字)を入力して検索(例:7557042)
    ※ 特許番号が6桁以下の場合、先頭に「0」を入れて7桁にします。(例:0000009)
    ※ 意匠特許(design patent)の場合、「D」+特許番号(6桁または7桁の数字)(例:D063657)
    ※ 植物特許(plant patent)の場合、「PP」+特許番号(5桁の数字)(例:PP07197)
  • 発明者名:「Basic search」欄の「Search」で「inventor name」を選択し、「For」に発明者名(例:yamanaka-shinya)を入力して検索
    ※ 発明者名は、姓、名の順で、間にハイフンを入れます。

Advanced SearchLeave the NDL website. からは、検索対象の種別に応じて、以下のようにSuffix(接尾辞)を加えて検索します。

  • IPC(国際特許分類):IPC+「.ipc.」(例:G06F17/00.ipc.)
  • 出願番号:出願番号+「.app.」(例:12/213,035.app.)

検索方法の詳細は、米国特許庁の「Quick reference guidesLeave the NDL website. 」をご覧ください。

Google PatentsLeave the NDL website.

Googleによる特許データベースです。100を超える世界中の特許庁の特許公報等が収録されています。米国特許については1790年以降、欧州特許については1978年以降を収録対象としています。

4. 日本特許の番号から欧州特許・米国特許の原文献にアクセスする

日本で認められた特許の効力は、日本国内のみで有効です。日本以外の国でも特許として認めてもらうためには、その国に対して、別途、特許出願を行う必要があります。この場合、同一の発明に対して、国によって異なる特許番号が付与されることになります。
本項では、日本特許の番号から欧州特許・米国特許の特許番号を調べ、その特許原文献にアクセスする方法を紹介します。

検索例

日本特許「半導体結晶膜の成長方法」(特許番号:2628404、公開番号:平4-164895)について、この発明に対して付与された欧州特許・米国特許の特許番号を調べ、その特許原文献にEspacenetを使ってアクセスする。

①検索用の番号を用意する
検索対象を日本特許に限定するため、「JP」を番号の先頭に付けます。また、年号はアルファベット(例:平→H)+2桁の数字(例:4→04)とし、ハイフンやカンマは削除します。

  • 2628404→JP2628404
  • 平4-164895→JPH04164895

②Espacenetで検索する
Espacenetの「Patent searchLeave the NDL website. 」の検索窓に、「JP2628404」または「JPH04164895」と入力し、「Search」ボタンを押して検索します。

③「INPADOC family」のリストを参照する
検索結果一覧から「METHOD FOR GROWING SEMICONDUCTOR CRYSTAL FILM」を選択します。
ドキュメントビューのメニューバーまたはドロップダウンメニューから「Patent family」を選択します。
→さらに一つ下のメニューバーから「INPADOC family」を選択します。
→該当する日本特許に関連する文献として、以下の9件のpublicationのリストが表示されます。

  • DE69132911T2
  • EP0482648A1
  • EP0482648B1
  • JPH04164895A
  • JP2628404B2
  • JPH04284623A
  • JP2556211B2
  • US5433169A
  • US5334277A

※末尾に「A」や「A1」のようにAの付くものは、特許出願の公開時に付与される公開番号などの番号、「B1」や「B2」のようにBの付くものは特許の登録時に付与される登録番号などの番号です。

④リンクから特許原文献にアクセスする
各publicationのリンクを新しいタブで開くと、該当する文献のドキュメントビューが表示されます。
欧州特許の場合は「EP」から始まる番号、米国特許の場合は「US」から始まる番号のリンクを新しいタブで開きます。
→ドキュメントビューのドロップダウンメニューまたはメニューバーから「Original document」を選択すると、各特許の原文献が表示されます。

関連記事