学制150年 ―明治の小学校教科書と教育錦絵―

明治5(1872)年8月に「学制」が発布されました。すべての国民が小学校に就学することが定められ、全国に学校が整備され近代的な教育がスタートしました。今年は学制発布から150年目にあたります。
近代学校制度で用いられた小学校の教科書は、当初は自由発行、自由採択で始まりました。その後、使用教科書の事前認可が始まり、明治19(1886)年から検定教科書の時代となります。本展示では、認可教科書から検定教科書時代の教科書を、教科別にご紹介します。また、教育現場で使用された掛図の雛形、家庭教育で使用した教育錦絵を併せてご紹介します。

自由発行時代から認可教科書へ

明治5(1872)年「学制」開始当初の翻訳教科書は、10年代に入って教育が欧米化に傾き過ぎたとの反省から再検討が始まり、14年「小学教則綱領」により各科の内容が新しくなります。修身(道徳)が筆頭教科になり、教科書も儒教に基づいた内容や和漢の実話を取り入れたものとなりました。自由発行だった教科書は、16年には使用教科書の事前認可が制度化されました。

国語

算数

社会

理科

修身

その他

認可教科書から検定教科書へ

明治18(1885)年に内閣制度が創設され、初代文部大臣・森有礼のもとで学校教育制度の基礎が固めらます。19年には「小学校令」が制定され、小学校の教科書は文部大臣の検定したものに限ることが定められました。

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社会

理科

修身

その他

教育錦絵

読んで学ぶ教材の教科書に対し、視覚に訴える教材として教育錦絵や掛図があります。教育錦絵には、日常生活における衣食の原料や製造方法を子どもたちに教えることを目的とした「教草」と、教訓的な「道徳図」などがありました。

また視覚教材として学校用掛図があります。明治5(1872)年の東京師範学校の設立に伴い、掛図を使用した教授方法で教師の養成が始まります。文部省はアメリカで初等教育用に刊行されていたチャート等を参考にして、五十音図、算用数字図といった掛図を作成しました。

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