朝鮮の古典文学について調べる
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アジア情報室 作成
朝鮮の古典文学(三国時代から朝鮮時代)について、研究文献や作品情報の調査に有用な資料を紹介します。特に注記のない限り、情報源の本文は朝鮮語です。【 】内は当館請求記号です。
1. 事典
- 『韓國文學大事典』(文元閣 1973 【KJ42-K53】)
現代篇、古典篇、付録篇の3部構成です。現代篇では開化期(19世紀後半)から1973年上半期まで、古典篇は上古時代から大韓帝国期までについて、文学史上重要な人物、作品、出来事や、団体、雑誌、新聞等を収録しています。排列は項目のハングル字母順です。付録篇には「主要文芸誌目次総覧」「韓国文学関係参考文献」「詩集一覧表」「韓国文学史年表」等を収録しています。巻末に索引が付されています。 - 『漢詩用例辭典. 上, 下』(국학자료원 : 국학자료원 새미 2015 【KJ42-K238】)
漢詩や経典で用いられる語彙の解説と用例(漢字表記の原文、ハングル読み、現代朝鮮語訳、出典)を収録しています。 - 『한국 고전소설 등장인물 사전(韓国古典小説登場人物事典)』(지식을만드는지식 2012 【KJ42-K227】)
古典小説882編に登場する21,844名について、登場する作品名等を収録しています。排列は人名のハングル字母順です。付録として、『한국 고전소설 등장인물 사전 부록 : 작품별 참고 원전 목록과 등장인물 목록(韓国古典小説登場人物事典付録 : 作品別参考原典目録と登場人物目録)』【KJ42-K225】、『한국 고전소설 등장인물 사전 주석집(韓国古典小説登場人物事典注釈集)』【KJ42-K226】があります。前者は「古典小説作品の収録書名目録」と「作品ごとの人物一覧」の2部構成になっています。後者は作品の解題です。
2. 収録文献・研究文献の情報
- 『한국 고전 문학 관계 연구 논저 총목록 : 1900-1992(韓国古典文学関係研究論著総目録 : 1900-1992)』(啓明文化社 1993 【KJ41-K2】)
1900年から1992年までに発表された論著を、10の分野(古代詩歌・郷歌、高麗歌謡・景幾体歌、楽章、時調、歌辞、古小説、口碑文学・民俗学、パンソリ、漢文学、その他)に分け、分野内は一般論文、碩士(修士)・博士学位論文、単行本の順に収録しています。排列はそれぞれ発表者のハングル字母順です。 - 『古典小說作品硏究總覽』(集文堂 2000 【KJ41-K11】)
これまで研究対象となった古典作品について、作品名、作者、出典、研究論著等が収録されています。排列は作品名のハングル字母順です。 - 『국학고전 국역서 서지정보(国学古典国訳書書誌情報)』(민족문화추진회 2003.7-2004.7 【KJ41-K15】)
「非商業出版分」と「商業出版分」からなり、「非商業出版分」は、1945年以降出版された古典の国訳書(現代朝鮮語訳)1803点の書誌情報を収録しています。「商業出版分」は、商業出版された640点の書誌情報、「非商業出版分」出版後に確認された非商業本152点の書誌情報のほか、非商業出版本の中から549点についての解題も収録されています。巻末に、著者索引と訳者索引が付されています。 - 『古典小説異本目録』(集文堂 1999 【KJ41-K8】)
学界で扱われてきた古典小説858種をはじめとする作品について、その作品が収録されている文献を示しています。 - 임기중 저『한국가사문학연구사(韓国歌辞文学研究史)』(이회문화사 1998 【KJ51-K20】)
1900年代から1990年代までに発表された歌辞研究論著を、資料集・単行本・学位論文・一般論文に分類して収録し、主要なものに解題を付しています。研究論著の排列は、分類ごとに発表年代順です。巻末の索引で、著者名、作品名から検索できます。 - 染谷智幸, 鄭炳説 編『韓国の古典小説』(ぺりかん社 2008 【KJ53-J1】)
日本語資料です。4部構成で、第3部では20の代表作品を解説しています。巻末に参考文献と「朝鮮王朝・古典小説関連年表」が付されています。 - 한국고전번역원(韓国古典翻訳院)
漢文で書かれた古典を現代朝鮮語に翻訳する事業を行っている機関です。韓国古典総合DBにて作品の検索が可能で、原文とその翻訳、原文イメージ画像や解題が閲覧できるものもあります。
なお、全般的な文献検索に有用な情報源については、リサーチ・ナビ「朝鮮語の雑誌記事・論文の探し方」をご覧ください。
3. 作品情報
3-1. 漢文・漢詩
- 『韓國歷代 名詩全書』(文獻編纂會出版部 1959 【929.11-B97k】)
漢詩、時調1000余首を収録しています。目次に作者と詩題(漢字、ハングル併記)が収録されています。 - 徐居正等受命編『東文選 : 130巻 目録3巻』(学習院東洋文化研究所 1970(4冊 蓬左文庫所蔵活字本(漢文)(成宗9(1478)年纂修)の複製) 【KJ61-43】)
古代から朝鮮時代初期の480余名の詩文を収録しています。4巻の巻末に作者名索引が付されています。同書は『朝鮮群書大系. 続々』 第8-14輯(朝鮮古書刊行会 大正3(1914) 【330-5】)にも収録されています。14輯の後半部分の目録で、作品名と作者名が一覧できます。 - 申用漑等受命編『続東文選 : 21巻 目録2巻』(学習院東洋文化研究所 1970 (蓬左文庫所蔵活字本(漢文)(中宗13(1518)年纂修)の複製) 【KJ61-44】)
約90名の詩文を収録しています。巻末に作者名索引が付されています。 - 『韓国歴代文集叢書目録索引』1、2、3(景仁文化社 2000 【US1-K19】)
- 『韓国歴代文集叢書目録』1、2、3(景仁文化社 2000 【US1-K20】)
『韓国歴代文集叢書』【US1-K16ほか】は古代から朝鮮王朝末期までの文人の著作集の叢書です。当館は3000巻すべて所蔵しています。 - 『影印標點 韓國文集叢刊 : 篇目索引. 1-3, 傳記類』(韓國古典飜譯院 2009 【US1-K24】)
- 『影印標點 韓國文集叢刊 : 索引』4、5、6、7、8(韓國古典飜譯院 1996-2004 【US1-K26】)
『影印標點 韓國文集叢刊』は、文人の著作集の叢書です。当館ではその一部を所蔵しています。
以下の資料に現代朝鮮語訳が掲載されています。
- 『국역東文選 : 130卷續21卷(国訳東文選:130巻続21巻)』(민족문화추진회 1977 【KJ58-K16】)
『東文選 : 130巻 目録3巻』【KJ61-43】を現代朝鮮語訳(ハングル表記)した資料です。全12巻で、12巻に索引が付されています。 - 『草書韓國漢詩』(서예문인화 2015 【KJ58-K305】,【KJ58-K306】)
五言絶句180首、七言絶句150首について、著者の手による草書体の書蹟、本文の現代朝鮮語訳、解説を収録しています。 - 『우리 詩로 읽는 漢詩 : 漢詩 번역, 이렇게 합니다(私たちの詩として読む漢詩 : 漢詩翻訳、このようにします)』(지식인 2015 【KJ58-K307】)
高麗・朝鮮時代を中心とする朝鮮の漢詩76首を現代朝鮮語訳した資料です。解釈の過程も解説されています。
3-2. 郷歌
- 小倉進平著「郷歌及び吏読の研究」(『京城帝国大学法文学部紀要』第1 1924 【14.5-243】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
日本語資料です。第1編「郷歌」に概説を収録するほか、第4章では現存する25首の原文と和訳、注解を収録しています。 - 中西進, 辰巳正明編『郷歌 : 注解と研究』(新典社 2008 【KJ53-J2】)
日本語資料です。『三国遺事』に収録された14首の原文と現代語訳を収録しています。巻末に「郷歌研究文献一覧」が付されています。
3-3. 時調
- 朴乙洙 編著『韓国時調大事典』(亞細亞文化社 1992-2007 【KJ61-K65】)
上・下巻は、第一部 古時調篇、第二部 開化時調篇、第三部 補遺篇、第四部 資料篇の4部構成です。第一部は、高麗末期から19世紀までの時調について、作者、出典、註釈を収録しています。排列は、原文初章のハングル字母順です。第二部は、『大韓毎日申報』と『大韓民報』に掲載された作品654首を発表年代別に排列しています。第三部は出版作業中に確認された作品を収録しています。第四部には「時調註解本目録」「時調研究論題目録」等を収録しています。別冊補遺には、上・下巻出版後に確認された作品を収録しています。下巻と別冊補遺に作者名索引等が付されています。 - 若松実編著『韓国の古時調 : 対訳注解』(高麗書林 1979 【KJ52-36】)
日本語資料です。高麗、朝鮮建国初期から末期の作品450首を収録しています。ハングル表記文と日本語訳と注釈を収録しています。巻末に「作者索引」「作品名索引」「初章索引」「補注索引」が付されています。
3-4. 歌辞ほか
- 金聖培 等編著『註解歌辞文学全集』(精研社 1961 【929.11-Ki2292k】)
第一篇は著名な作者による36首を年代順に収録し、第二篇は無名の作者による40首を収録し、第三篇に内房歌辞(朝鮮時代後期の両班の婦女子によるもの)32首を収録しています。作品ごとに解題・注釈・出典が付されています。 - 孫晋泰編『朝鮮古歌謡集』(刀江書院 1929 【596-30】)(国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開))
日本語資料です。 歌謡、時調、歌辞558首を日本語訳したものです。『松江歌辞』、『古今歌曲』、『歌詞六種』、『青邱永言』、『女唱歌謡録』、『南薫太平歌』、『歌謡』、『歌曲源流』から採録しており、詩は時代順に排列されています。