中国の叢書
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アジア情報室 作成
中国では、多くの大規模な叢書が長い歴史の中で編纂されてきました。近年も新たな叢書の編纂や古い叢書の複製版の刊行が進んでおり、図書館で利用できるものが多くなりました。ここでは、関西館アジア情報室が所蔵する主な中国漢籍の叢書とその検索方法をご紹介します。なお、『四庫全書』とその関連叢書については、「『四庫全書』と関連叢書の調べ方」をご参照ください。
なお、当館が所蔵する漢籍の叢書は、ここでご紹介するもののほか、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できるものもあります。また、清代以前に刊行された漢籍の叢書は、東京本館の古典籍資料室で所蔵しています。
【 】内は当館請求記号です。
1. 叢書の調べ方のコツ
ひとくちに叢書といっても様々なタイトルがあり、検索ツールがそれぞれ異なるほか、書名から調べたいのか、特定の叢書に含まれる漢籍を調べたいのかでもアプローチが異なります。また、叢書には膨大な数の漢籍が収録されており、叢書名が分かっていても、どの巻に求める漢籍が収録されているか分からないと利用できません。調査の際には叢書に含まれる漢籍の調べ方チャート図[PDF File:225KB]を参考にしてください。
叢書そのものの概要について調べるためのツールとしては以下の資料があります。
- 『中國古代著名叢書提要』(潘樹廣、黃鎮偉、涂小馬主編、广西师范大学出版社 2015 【UM1-C4】)
漢籍を収録した1949年以前編纂の叢書約1,490種について、叢書名、責任表示、版本および提要を収録しています。上下巻からなり、下巻の索引を用いて叢書名、編著者名から検索することもできます。
2. 叢書の検索ツール
叢書には様々な書籍が収録されていますが、国立国会図書館サーチでは個々の書名を検索できない場合や、書名を「注記」で確認するなど、探すのに工夫が必要なことがあります。以下、複数の叢書に収録される書名を横断検索できるツールをご紹介します。なお、清代に編纂された一大叢書『四庫全書』とその関連叢書に収録されている漢籍については、「『四庫全書』と関連叢書の調べ方」もご参照ください。
2-1. 図書館等の所蔵データベース
図書館等の所蔵データベースを書名で検索することにより、同書を収録している叢書名が判明することがあります。
全國漢籍データベース
(京都大学人文科学研究所 附属人文情報学創新センター)
国立国会図書館も含む、全国の主要な大学図書館・公共図書館が所蔵する漢籍の書誌情報を収録するデータベースです。書名、著者名、出版者、子目などの項目から検索できます。簡体字、繁体字、日本漢字いずれでも検索できます。該当タイトルが叢書に収録されている場合は、左上に叢書名が表示され、叢書名のリンクをたどると、該当する叢書に含まれる他の子目も表示されます。該当タイトルがさらに下位の子目を含む場合は下部にタイトルが表示されるので、同様にリンクをたどって詳細を表示できます。なお、検索結果で所蔵が「国会」と表示されるものは、当館の東京本館または関西館で所蔵しています。国立国会図書館サーチで検索してご確認ください。联机公共目录查询系统(中国国家图书馆)
中国国家図書館の所蔵資料検索システムです。全國圖書書目資訊網(NBINet)
台湾国家図書館が運営する、台湾の図書館の総合目録です。国家図書館、公共図書館、大学図書館など121機関の蔵書検索が可能です。WorldCat
170以上の国・地域の機関が参加する、世界最大の書誌情報データベースです。
2-2. 叢書のデータベース
- 影印资料库(学衡数据)
中国学に関するウェブサイト「学衡数据」内のコンテンツです。古典籍を影印した叢書の収録書目を検索できます。
2-3. 叢書の総目録
『中國叢書綜録』(上海圖書館編、上海古籍出版社 2007 【UP52-C32】)
1982年刊の初刊版に叢書の編著者索引を追加して再版された叢書の総目録です。叢書2,797種の収録書名を検索できます。第1冊で叢書名や叢書の編著者、第2冊と第3冊で叢書に収録されているそれぞれの書名を検索できます。『四庫全書』をはじめ、『四部叢刊』『四部備要』『叢書集成初編』といった大型叢書も収録されています。ただし、『四庫全書』の関連叢書などの比較的新しい叢書類は収録されていません。『中國叢書綜録補正』(蒋孝達校訂、江苏广陵古籍刻印社 1984 【UP52-C20】)
『中國叢書綜録續編』(施廷鏞編撰、北京圖書館出版社 2003 【UP52-C21】)
『中國叢書綜録未收日藏書目稿』(李鋭清編、京都大学人文科学研究所附属东洋学文献センタ一 1995年 【UP52-C13】)
上記3点は、『中國叢書綜録』未収録分を補うために刊行されたものです。『中國叢書廣録』(陽海清編撰、湖北人民出版社 1999 【UP52-C18】)
上冊は、叢書名、編撰者、分類から検索できます。下冊は子目の書名、著者名、分類から検索できます。
3. 関西館で所蔵する主な叢書
関西館で所蔵する叢書のうち、主要なものと検索方法を紹介します。
『四庫全書』と関連叢書
『四庫全書』は清代の一大叢書であり、その関連叢書も合わせると、15,000タイトル以上の漢籍を収録しています。清代以前の漢籍を探す際にはまず調べたい資料群です。調べ方の詳細は、「『四庫全書』と関連叢書の調べ方」をご参照ください。『叢書集成初編』
1935年に商務印書館が古今の叢書100種を集め、『叢書集成初編』の刊行を開始しました。しかし、刊行を予定されていた全4,000冊のうち、3,467冊しか刊行されませんでした。関西館では、当時刊行されたものの一部を所蔵しており、『叢書集成初編』【082.1-So654】および上海新華書店旧蔵書コレクションに含まれています。
『叢書集成初編』には、民国以降に新しく刊行された書籍は含まれていません。この不足を補うため、新文豐出版から『叢書集成新編』(1985年)、『叢書集成續編』(1989年)、『叢書集成三編』(1997年)が刊行されました。
- 『叢書集成新編』(新文豐出版 1985 【US1-C24】)
全120冊。秦から清までの著作4,100種余を収録。 - 『叢書集成續編』(新文豐出版 1989 【US1-C36】)
全280冊。151種を収録。 - 『叢書集成三編』(新文豐出版 1997 【US1-C37】)
全100冊。347種を収録。
3点とも、『叢書集成三編提要・總目・書名索引・作者索引』【US1-C37】で検索できます。
『四部叢刊』(商務印書館編、商務印書館 [1911] 【082.2-Si268-S】)
『四部叢刊続編』(商務印書館編、商務印書館 1934-1936 【082.2-Si2682-S】)
『四部叢刊三編』(商務印書館編、商務印書館 1935-1936 【082.2-Si2683-S】)
『四部叢刊』は、古今の漢籍の優れた刊本を収集し、影印刊行したものです。三編まで刊行されており、計468種を収録しています。収録書名は『四部叢刊書録』【082.1-Sy957s】で一覧できるほか、『四部叢刊』のみ上海新華書店旧蔵書コレクションでも縮刷版を所蔵しており、書名で検索できます
。『知不足齋叢書』((清)鮑廷博輯、中華書局 1999 【US1-C31】)
全10冊。208種を収録。823巻。経・史・子・集にわたり、収録する時代は唐から清に及んでいますが、宋代のものが最も多く収録されています。第1巻の巻頭に収録書名一覧を収録しています。『传世藏书』(传世藏书工作委员会[编]、海南国际新闻出版中心 1996 【US1-C20】)
全123冊。先秦から清末までの重要な書籍1,000種を収録。標点が施され、簡体字で横書きに印刷されています。国立国会図書館サーチで収録書名、著者名を検索できます。『北京圖書館古籍珍本叢刊』(北京圖書館古籍出版編輯組編、书目文献出版社 1987-2000 【US1-C5】)
全120冊。北京大学が所蔵する漢籍473種、全20万ページを収録しています。国立国会図書館サーチで書名、著者名を検索できるほか、『北京圖書館古籍珍本叢刊目録 : 附索引』で書名を一覧・検索できます。『廣州大典』(廣州出版社 2015 【US1-C59】)
中国・広州の歴史文化に関する漢籍4,064種、全520冊(総目を除く)からなります。。国立国会図書館サーチで書名、著者名を検索できるほか、冊子体の目録『廣州大典. 521. 總目』【US1-C59】も存在します。