絵本のベストセラー・ロングセラーを調べるには(日本)
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国際子ども図書館 作成
日本の子ども向けの絵本について、よく売れたもの(以下、ベストセラー)、読み継がれているものや重版をしているもの(以下、ロングセラー)を調べる方法をご紹介します。
ベストセラー・ロングセラーの定義およびデータの調査方法は資料によって異なり、明確な記載がない場合もあるため、注意が必要です。例えば、ベストセラーとロングセラーが区別されているか、統計に基づいた選定が行われているか、当該資料の翻訳書の売り上げが統計に含まれているか否か、等の点に留意していただく必要があります。
【 】内は当館請求記号です。(ウェブサイトの最終アクセス日: 2025.2.15)
1. 図書で調べる
各年のベストセラーを『出版指標年報』で調べることができる場合があります。
- 『出版指標年報』(全国出版協会出版科学研究所 [19--]-【Z45-26】)
「書籍の出版傾向-児童書」等の項に、絵本のベストセラーに関する情報が含まれる場合があります。また巻末には、絵本に限らず書籍全体のベストセラーを掲載した「〇〇年のベスト・セラーズ」といった記事が含まれる場合があります。
絵本以外も含めた日本の児童書については、以下の資料があります。
- 『日本児童文学史事典 : トピックス1945-2015』(日外アソシエーツ編集部編 日外アソシエーツ 2016【KE112-L8】)
1945年から2015年までの日本の児童文学史に関するトピック3,437件を年月日順に掲載した年表事典です。著名作品の刊行、関連人物の話題、図書館事業等啓蒙活動、児童文学出版事情、主な児童文学賞・ベストセラー情報等、幅広いテーマを収録しています。巻末に人名索引、作品名索引、事項名索引があります。ベストセラーの定義、典拠については記載されていません。一部の作品については発行部数の記載があります。
翻訳絵本については、以下の資料があります。
- 『英米絵本のベストセラー40 : 心に残る名作』(灰島かり編著 ミネルヴァ書房 2009【UG71-J31】)
日本語に翻訳刊行された英米絵本40点について、テーマ別に掲載しています。タイトル、作者(訳者含む)、画家、出版者、原書の出版年、日本語訳の出版年、表紙(モノクロ)、書評が記載されています。巻頭に表紙(カラー)の掲載があるほか、巻末に図版出典一覧、作品リスト、人名・作品名索引があります。ベストセラーの定義、典拠、発行部数については記載されていません。
2. 雑誌記事で調べる
ベストセラーおよびロングセラー絵本に関する記事が雑誌に掲載されることがあります。
国立国会図書館サーチでは、キーワードに「ベストセラー」「ロングセラー」「ミリオンセラー」等の各単語と「絵本」を掛け合わせて入力し、資料種別の「雑誌記事等」にチェックを入れて、雑誌記事を検索することができます。一例として以下のような記事があります。掲載は雑誌名の五十音順および、同雑誌内の発行年月順です。
- 「大特集 一緒に育ったロングセラー絵本」(『この本読んで!』23(3)(通号88) 2023.秋 pp.4-23,72-73【Z71-L75】)
1953年に誕生した「岩波の子どもの本」から順に振り返りながら、愛され続けている絵本の表紙と書評を掲載しています。リストも含め、1950年代から1980年代に発行され、現在(2023年時点)も入手できるものから厳選した194冊が紹介されています。幼年童話の紹介もあります。ロングセラーの定義、典拠、発行部数については記載されていません。 - 「長く愛される、その理由に納得 読み継がれるロングセラー絵本 (日本のこころ(144)絵本屋さんが選んだ絵本100) 」(『別冊太陽:日本のこころ』(通号 144) 2006.12 pp.43-69【Z23-238】)
タイトル、作者(訳者含む)、画家、出版者、初版発行年(改訂、新装版はその刊行年。海外の作品の場合は翻訳書の初版発行年)、定価のほか、表紙(カラー)、書評の掲載があります。巻末に索引があります。ロングセラーの定義、典拠、発行部数については記載されていません。 - 「巻頭大特集 MOE的ミリオンセラー案内 本当に売れている絵本--そのわけを知っていますか?」(『Moe』 30(5) (通号343) 2008.5 pp.4-33【Z11-1259】)
日本の絵本のミリオンセラーのほか、翻訳出版された絵本のミリオンセラーについても紹介しています。日本で出版された絵本のミリオンセラーのランキングが発行部数順に49位まで載っています。タイトル、作者(訳者含む)、画家、出版者、定価のほか、表紙(カラー)の掲載があります。また、「ミリオンセラーの「わけ」」として、5つのテーマごとに作家のインタビューや書評等を掲載しています。注に、「発行部数はトーハン「ミリオンぶっく」2008年版より(一部例外あり)。」とあります。また、1950年代から1990年代までのミリオンセラーの年表もあります。絵本屋さんが予測したミリオンセラーの候補作8点(シリーズを含む)も紹介されています。 - 「巻頭大特集 ミリオンセラーが生まれる秘密を総力特集!100万冊売れた絵本のはなし」(『Moe』 37(11) (通号433) 2015.11 pp.8-46【Z11-1259】)
日本の絵本のミリオンセラーのほか、翻訳出版された絵本のミリオンセラーについても紹介しています。日本で出版された絵本のミリオンセラーのランキングが発行部数順に105位まで載っています。タイトル、作者(訳者含む)、画家、出版者、初版発行年、定価のほか、表紙(カラー)の掲載があります。一部の絵本については、作家のインタビューや書評等も掲載されています。注に、「発行部数はトーハン「ミリオンぶっく」2015年版より(一部例外あり)。」とあります。また、1950年代から2000年代までの「時代で見る絵本の流れ」を取り上げたページもあります。シリーズを合計するとミリオンセラーになる絵本18点や、あと少しで100万部に到達する絵本8点も紹介されています。 - 「巻頭大特集 ミリオンセラーの名作絵本を総力特集! 100万冊売れた絵本2020」(『Moe』 42(7) (通号489) 2020.7・8 pp.4-35【Z11-1259】)
日本の絵本のミリオンセラーのほか、翻訳出版された絵本のミリオンセラーについても紹介しています。日本で出版された絵本のミリオンセラーのランキングが発行部数順に118位まで載っています。タイトル、作者(訳者含む)、画家、出版者、初版発行年、定価のほか、表紙(カラー)の掲載があります。一部の絵本については、作家のインタビューや作家紹介、書評等も掲載されています。注に、「発行部数は2019年12月調べ、トーハン「ミリオンぶっく」2020年版より(一部例外あり)。」とあります。また、名作絵本の魅力を探るページや、出版年代別にロングセラーや新定番の絵本を紹介しているページもあります。
3. ウェブサイトで調べる
- 「ミリオンぶっく」特設サイト(オンライン書店e-hon)
累計発行部数100万部を超える絵本を「ミリオンぶっく」と称し、子どもの年齢を3つ(0~1歳、2~3歳、4歳以上)に区分して紹介しています。表紙画像、タイトル、作者(訳者含む)、画家、累計発行部数、対象年齢が掲載されているほか、各絵本の詳細ページへのリンクがあります。また、あと少しで100万部達成の絵本として「NEXT」を掲載しています。全国の書店店頭では冊子体も配布されており、2006年から発行されています。