日本-法令の調べ方
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議会官庁資料室 作成
日本の法令の調べ方についてご紹介します。なお、【 】内は当館請求記号です。
0. はじめに--法令とは--
「法令」という用語は様々な定義で用いられます。
憲法、条約、法律、政令、府省令、告示、規則、庁令、訓令、通達などの種類があり、一般的には、法律および行政機関の命令を合わせて「法令」と呼称されることが多いようです。
ここでは、官報で公布される法令(上記の憲法から訓令※まで)について、その調べ方をご紹介します。
※官報には一部の訓令が掲載されます。
官報で公布されない通達・通知類の調べ方については「訓令・通達・通知の調べ方」、地方の条例の調べ方については「条例の調べ方」をご参照ください。
1. 現行の法令の調べ方
1-1. 紙媒体の資料から調べる
紙媒体で現行の法令を調べるには、現行総合法令集や各種法令集を探す方法があります。
1-1-1. 現行総合法令集
現在効力を有する法令を収録する現行総合法令集として、以下の二種類の資料があります。
どちらも、差し替えページにより更新される加除式資料で、常にほぼ最新の状態が保持されます。
分野別に100巻ほどで構成され、各種の索引巻が設けられています。
五十音索引などで法令名を探し、掲載巻とページを確認してからご覧ください。
1-1-2. 各種法令集
様々な法令集が発行されていますので、新しく発行されたものを見れば、現行の法令を見ることができます。
ただし、発行日(資料の内容現在日)からタイムラグがあるため、収録されている法令が、厳密に現行のものであるかどうかは、各法令の最終改正日を確認する必要があります。ご注意ください。
法令集は大きく、分野を問わず主な法令を収録するもの、特定分野の法令を収録するものに分けることができます。
前者の代表例としては、以下のものがあります。
- 『六法全書』 (有斐閣 【CZ-5-1】ほか 年によって異なります)
毎年3月に、当該年の1月1日を内容現在として発行される法令集です。例年、1000件弱の法令が収録されます。 - 衆議院法制局, 参議院法制局 監修 『実務大六法 : 判例・通達』 (第一法規出版 【CZ-5-17】)
加除式の法令集です。主要法令には関連する行政実例・判例の要旨が掲載され、また、法律条文ごとに委任規定(政令・省令・規則等)が掲載されています。 - 現行実務法令研究会 編 『現行実務六法』 (改訂版 新日本法規出版 【CZ-5-G10】)
加除式の法令集です。
各法令末尾に附属法令と関係法令が掲載され、また、法律の施行期日で政令に委任されているものは括弧書きで注記されています。 - 園部逸夫, 大森政輔 編集代表 『ぎょうせい現行六法』 (ぎょうせい 【CZ-3-J1】)
「国会・選挙法編」「環境法編」「経済・産業法、知的財産法編」などの分類で小冊子に分けられており、小冊子ごとに差し替えがされる方式となっています。
主要法令には参照条文、判例要旨、関連通知が掲載されています。
後者の特定の分野の法令を収録するものには、様々なものがあります。
ある法令がどの法令集に収録されているかを網羅的に調べる方法はありませんので、以下の方法で法令集を探してください。
- 国立国会図書館サーチで探す
国立国会図書館サーチの詳細検索画面で、キーワードにお探しの法令や分野等を入力し、資料種別を図書に絞って検索してください。 - リサーチ・ナビで探す
リサーチ・ナビトップ画面の検索窓に、お探しの法令を入力して検索してください。
検索結果から「本」タブをクリックし、「内容情報からさがす」の欄に表示される資料※を見てください。
※入力した法令名が目次に含まれる資料の一覧が表示されます。
網羅的ではありませんので、参考としてご覧ください。
1-2. データベース・インターネット等の情報から調べる
データベース・インターネット等で現行の法令を調べるには、以下のような方法があります。
1-2-1. 日本法令索引
法令の制定・改廃経過等の情報を検索できるデータベースです。国立国会図書館が作成しています。
トップページから 詳細検索 > 法令検索 をクリックし、種別を「現行法令」のみとして法令名、法令番号等で検索してください。
お探しの法令が表示されたら、その法令名をクリックした後、右側に表示される「法令本文へのリンク」の中から、現行条文へのリンクをクリックしてください。
現行条文へのリンク先としては「デジタル行政サービス_e-Gov法令検索」等があります。※省令・規則以上の法令のみ。
1-2-2. e-Gov法令検索
e-Gov法令検索(デジタル庁)
法令(憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則)を検索できるデータベースです。デジタル庁が運営しています。
新規施行法令、未施行法令、廃止法令等も掲載されています。
法令名、事項、法令番号等で検索できます。
「日本法令索引」で検索すると「e-Gov法令検索」にリンクされますが、直接「e-Gov法令検索」から検索する場合は特に「法令用語検索」が可能となっています。ある特定の用語を法令本文中に持つ法令を検索することができます。
1-2-3. 有料法令データベース
各種の有料法令データベースにおいても、現行の法令を見ることができます。
当館では、D1-Law.com現行法規(第一法規)、現行法令電子版 Super 法令Web(ぎょうせい)〔TKCローライブラリー〕をご利用いただけます(館内限定[1])。
他の法令データベースとしては、Westlaw Japan(ウエストロー・ジャパン)、判例秘書INTERNETなどがあります。
お近くの図書館等が、これらのデータベースを導入している場合があります。利用可能なデータベース等については、直接、各図書館におたずねください。
2. 制定時の法令の調べ方
2-1. 紙媒体の資料から調べる
紙媒体で制定時の法令を調べるには、官報、法令全書を見ます。
2-1-1. 官報
法令の公布は官報への掲載によることとされていますので、制定時の状態は官報で見ることができます。
制定日が分かる場合は当該日付の官報を見ます。制定日が分からなければ、「日本法令索引」を法令名で検索し、制定日を確認してください。
官報(法令情報)の調べ方について詳しくは「官報(法令情報)の調べ方」をご参照ください。
- 国立印刷局編 『官報』 (国立印刷局 【CZ-2-2】)
法令の公布、諸報告・公表、各種公告を行う国の機関紙です。明治16年創刊で、行政機関の休日を除き毎日発行されます。
当館では創刊以降すべての官報を所蔵しており、議会官庁資料室で開架しています(一部期間は復刻版)。
以下の期間については、インターネットで官報を見ることができます。
・明治16年-昭和27年4月30日...国立国会図書館デジタルコレクション(官報)
・直近90日分の全文と、平成15年7月15日以降の法令部分(告示以外)...インターネット版官報
2-1-2. 法令全書
官報の法令部分を月単位で編集したものが法令全書です。官報と同様に法令の制定時の状態を見ることができます。
- 『法令全書』 (国立印刷局 【CZ-4-1】)
官報の法令部分を法令の種類ごとに、省令以下は各官庁別に編集した月刊誌です。
明治18年創刊ですが、慶応3年までさかのぼって編纂されているため、特に慶応3年から明治16年(官報創刊)までの法令を調べる際に有用です。
以下の期間については、インターネットで法令全書を見ることができます。
・慶応3年-明治45年...国立国会図書館デジタルコレクション
2-2. データベース・インターネット等の情報から調べる
データベース・インターネット等で制定時の法令を調べるには、以下のような方法があります。
2-2-1. 日本法令索引
法令の制定・改廃経過等の情報を検索できるデータベースです。国立国会図書館が作成しています。
トップページから 詳細検索 > 法令検索 をクリックし、法令名、法令番号等で検索してください。※1
お探しの法令が表示されたら、その法令名をクリックした後、右側に表示される「法令本文へのリンク」の中から、制定時条文へのリンクをクリックしてください。※2
※1 告示・訓令については、平成16年8月以降に制定されたか当該時点で有効だったもののみ検索できます。
※2 デジタル化された官報・法令全書(国立国会図書館デジタルコレクション)、御署名原本(国立公文書館デジタルアーカイブ)、制定法律(衆議院HP)など、制定時条文がインターネットで見られる法令には当該ページへのリンクが張られており、画面上で法令本文を見ることができます。
慶応3年10月の大政奉還から明治19年2月の「公文式」※3に至るまでに制定された法令は、『日本法令索引〔明治前期編〕』で検索することができます。
検索画面から法令名等で検索してください。お探しの法令が表示されたら、その法令名をクリックした後、右側に表示される「本文情報リンク」をクリックすると、画面上で法令本文を見ることができます。
※3 従来の布告、布達、達などの法形式に代わり、新たに法律、勅令、閣令、省令等の法形式等について定めた勅令。
3. 過去のある時点の法令の調べ方
3-1. 紙媒体の資料から調べる
紙媒体で、ある時点の法令を調べるには、各種法令集を見る方法があります。
3-1-1. 各種法令集
まず日本法令索引で調べたい法令の沿革(改正等の履歴)を調べ、調べたい時点の直前と直後の改正を確認します。
その上で、当該期間内に発行された法令集(当該期間内の時点を内容現在に持つ法令集)を探すことになります。
具体的な法令集の探し方は、現行法令を探す場合と同様です。(1-1-2.参照)
当館では、過去時点の総合法令集や、加除式現行総合法令集をある時点の状態で製本したものを、以下のとおり保存しています。
( )内は内容現在日付又は最終加除日付です。
- 『現行法令輯覧』【CZ-3-5】:明40(1月1日)、明43(1月1日)、大2(7月1日)、大5(5月1日)、大7(6月1日)、大9(7月1日)、大14(7月1日)、昭2(7月1日)、昭4(7月1日)、昭17(2月1日)、昭43(3月19日)、平4(5月22日加除)、平11(3月25日加除)、平12(10月10日加除)
※一部の年度は、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。 - 『現行法規総覧』【CZ-3-6】:昭38(不明)、平5(8月24日)
- 『現行日本法規』【CZ-3-7】:昭52(1月31日),昭59(7月17日),昭62(6月11日)、
平元(2月16日)、平7(4月18日) - 『帝国法規』【CZ-3-10】:昭19(4月1日)、昭24(11月1日)
また、次の資料は毎年1月1日を内容現在として長年発行されています。
このような資料も参考にしてください。
- 『六法全書』 (有斐閣 【CZ-5-1】ほか 年によって異なります)
毎年3月に、当該年1月1日を内容現在として発行される法令集です。例年、1000件弱の法令が収録されます。昭和23年~。
3-2. データベース・インターネット等の情報から調べる
3-2-1. 有料法令データベース
過去のある時点の法令を調べる場合、有料の法令データベースが便利です。
これらのデータベースでは、特定の時点を指定して法令を見ることができますが、それぞれ収録範囲が異なります。ご注意ください。
当館では、D1-Law.com現行法規(第一法規)、現行法令電子版 Super 法令Web(ぎょうせい)〔TKCローライブラリー〕をご利用いただけます(館内限定[1])。
他の法令データベースとしては、Westlaw Japan(ウエストロー・ジャパン)、判例秘書INTERNETなどがあります。
お近くの図書館等が、これらのデータベースを導入している場合があります。利用可能なデータベース等については、直接、各図書館におたずねください。
4. 廃止法令の調べ方
4-1. 紙媒体の資料から調べる
廃止法令を調べることができる紙媒体の資料として以下のものがあります。
このほか、各分野の旧法令を収録した資料が多く発行されていますので、国立国会図書館サーチで資料種別を「図書」、キーワードを「旧法」として検索してください。
- 『日本法令索引』(国立国会図書館調査及び立法考査局 1945-2001 【CZ-1-1】)
1961年版以降には、直近1年間に廃止された法令の一覧が掲載されています(1961-62年版のみ法律・勅令・政令・条約・閣令・府令・省令・庁令・本部令・規則、1963年版以降は法律・勅令・政令・条例・規則)。 - 『日本法令索引(旧法令編 第1-3巻)』(国立国会図書館調査及び立法考査局 1983-1985 【CZ-1-1】)
明治19年2月の公文式から昭和56年9月1日までに廃止された省令以上の法令の索引情報が収録されており、制定時から廃止までの改正履歴も確認することができます。 - 『現行日本法規』(ぎょうせい 【CZ-3-7】)
「主要旧法令 1-5」の巻には、廃止等で効力を失った法令(法律・政令・太政官布告・勅令・条約・規則・省令)のうち主要なものが掲載されており、各法令の廃止直前の条文を見ることができます。
また、「旧法令」の巻には、平成15年9月1日現在で効力を喪失していると認めた法令(憲法、法律、勅令および政令)の改廃経過が掲載されています。
4-2. データベース・インターネット等の情報から調べる
廃止法令を調べることができるインターネット情報として、以下のものがあります。
また、有料の法令データべースの中には、廃止法令を見られるものもあります。例えば、現行法令電子版 Super 法令Web(ぎょうせい)〔TKCローライブラリー〕には、対象を廃止法令に絞って検索を行う機能があります。
- 日本法令索引
明治19年2月の公文式から現在までの間に廃止された法律・政令・勅令等の索引情報を見ることができます。法令によってはリンクにより、廃止法令の制定時条文等を見ることができます。
トップページから 詳細検索 > 法令検索 をクリックし、種別を「廃止法令」のみとして法令名、法令番号等で検索してください。
お探しの法令が表示されたら、その法令名をクリックした後、右側に「法令本文へのリンク」が表示された場合は、リンク先をご参照ください。
[1] D1-Law.comは東京本館では議会官庁資料室(新館3階)全端末、関西館では総合閲覧室の特定端末で利用できます。TKCローライブラリーは東京本館、関西館、国際子ども図書館の全端末で利用できます。