日本-医療関係判例の調べ方
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議会官庁資料室 作成
ここでは、多様な医療関係の判例を収録する紙媒体の資料、データベースおよびインターネット情報のうち、おもなものをご紹介します。 主題を問わない判例の調べ方については、調べ方案内「日本-判例の調べ方」をご覧ください。なお、【 】内は当館請求記号です。
1. 紙媒体で調べる
1-1. 議会官庁資料室所管資料
以下では、東京本館の議会官庁資料室で所管しているおもな医療関係の判例集等を紹介します。
『判例医療過誤』(新日本法規出版 1975- 【CZ-2581-2】)
医事に関する判例が広く収録されています。全体を「診療」、「不法行為責任」の二編に大別して判例と解説が掲載されています。医療過誤判例はおもに「不法行為責任」編に掲載されており、そのなかで診療行為別等により分類されています。巻末に判決年月日順の索引が付されています。『医療関係判例集』(第一法規出版 第二期版 1985-2009 【CZ-2581-4】)
医療事故に限らず、医療に関係する判例が広く収録されており、講学上の体系や医療行為を基準として分類されています。本資料は要旨編と本文編に分かれており、要旨編に本文の掲載ページが書かれています。また、要旨編の巻末に判決年月日順の索引が付されています。なお、この資料の加除は、平成18(2006)年6月30日内容現在で終了しています。『医事紛争と医療関係者の責任 : 裁判例による具体的な問題解説』(第一法規出版 1979-2009.4 【CZ-2581-5】)
医療事故訴訟の代表的な判例が、医療行為の種類(診断、検査、手術等)ごとに各章に区分され、さらに各章内で診療科の種類(内科、外科等)ごとに区分されて掲載されています。判例の前に、訴訟の要点が質疑応答の形をとってまとめられています。巻末に判決年月日順の索引が付されています。なお、この資料の加除は、平成21(2009)年4月25日発行分の追録を最後に終了しています。『医療訴訟判例データファイル』(新日本法規出版 2010- 【CZ-2581-J1】)
医療事故・医療紛争に関する平成以降の判例が収録されています。1件につき1~2ページ程度で簡潔に記述されています。診療科目別に分類した全28章より構成され、診療行為別の事例インデックスがあるほか、巻末に判例年次索引が付されています。『医事法判例百選 第3版』(別冊jurist 58(2) (通号 258) 2022.7 有斐閣 【Z2-56】)
医療制度、医事行政・薬事行政、医療事故等の12項目に配列し、109件の判例及び解説が収録されています。巻末に判例索引が付されています。
以下の旧版があります。
『医事法判例百選 第2版』(別冊jurist 50(1) (通号 219) 2014.3 有斐閣 【Z2-56】)
『医事法判例百選』(別冊ジュリスト 42(4) (通号 183) 2006.9 有斐閣 【Z2-56】)
『医療過誤判例百選 第2版』(別冊ジュリスト 32(5) (通号 140) 1996.12 有斐閣 【Z2-56】)
『医療過誤判例百選』(別冊ジュリスト 25(2) (通号 102) 1989.6 有斐閣 【Z2-56】)
1-2. その他の当館所蔵資料
当館の蔵書検索・申込システム「国立国会図書館サーチ」で、例として、件名に「医事紛争 判例」(医事紛争と判例の間にはスペースを入れてください。)と入力することで、当館で所蔵している医療及び医療事故の判例に関連した資料を検索することができます。ここでは、おもな資料をご紹介します。
『医療判例ガイド』(有斐閣 1996.10 【AZ-581-G62】)
医療紛争に関する判例を理論的観点および実務的観点から網羅的に検討し、理論と実務の架橋を目指して編集された書籍です。おもに平成7(1995)年までの裁判例を対象に86件の判例が精選され、問診、検査、投薬・注射等、8つの章立てからなる医療類型別に区分されて掲載されています。『医療事故の法的基礎知識と医療訴訟最新判例解説集 : 医療リスクマネジメントのための法律事務』(綜合ユニコム 2000.1 【AZ-581-G223】)
医療事故の判例93件が医療行為の種類(問診、検査、診断等)ごとに21項目に区分されて掲載されています。『50の医療事故・判例の教訓 : 日常診療の落とし穴』(日経BP社 2004 【AZ-581-H130】)
医療関係者のために、訴訟となった医療事故を50件紹介し解説を加えています。収録判例のうち、特に民事判例46件は、臨床医に役立つように、「①説明・告知ミス」「②診断時のミス」「③治療時のミス」「④管理上のミス」「⑤その他のミス」の5つに分類されています。『医事判例実務解説』(産労総合研究所出版部経営書院 2006.3 【AZ-581-H226】)
平成10(1998)年から平成17(2005)年までに判決が下された医療訴訟から、特に医療過誤事件における医師の注意義務や説明義務違反の有無が争われたものを中心に、65件の判例を紹介し、解説を加えています。『医療訴訟のここがポイント』(日経BP社 2015.1 【AZ-581-L90】)
平成19(2007)年以降に判決が下された医療訴訟から53判例を精選し、「治療・処置関連」「診察・診断関連」「病院管理・看護管理」「その他」に区分し、事件の概要、判決、解説を掲載しています。『医療訴訟ケースファイル. v.1』(判例タイムズ社 2004 【YU7-H2195】)
『医療訴訟ケースファイル. v.2』(判例タイムズ社 2007 【AZ-581-H253】)
『医療訴訟ケースファイル. v.3』(判例タイムズ社 2010 【AZ-581-J147】)
『医療訴訟ケースファイル. v.4』(判例タイムズ社 2010 【AZ-581-J148】)
平成13(2001)年以降に東京・大阪地方裁判所の医療事件を集中的に取り扱う医療集中部で言い渡された裁判例を収録する資料です。循環器内科、呼吸器内科、消化器内科等、22の診療科目に分類し、事案の概要、請求金額、結論、判断のポイントなどをとりまとめて収録しています。『医療判例解説』(医事法令社 隔月刊 【Z72-E918】)
医療従事者のためのわかりやすい判例解説を目指して平成18(2006)年に創刊された医療訴訟の専門誌です。毎号、5-8件前後の医療判例を収録しています。各判例紹介の冒頭に、法律用語を極力省いた「サマリー」が置かれ、文中には専門医による客観的な解釈を示す「医師のコメント」が置かれるなどの工夫が見られます。『刑事医療過誤』(判例タイムズ社 2001.11 【AZ-581-G299】)
『刑事医療過誤2 増補版』(判例タイムズ社 2007.11 【AZ-581-H286】)
『刑事医療過誤3』(信山社 2012.11 【AZ-581-L1】)
第1巻には昭和49年3月から平成11年1月まで(76件)、第2巻には平成11年1月から平成16年4月まで(80件)、第3巻には平成16年4月から平成22年12月まで(104件)の判例及び略式命令が収録されています。医療過誤の刑事事件が「注射」「投薬」「麻酔」「輸血」などの類型別に区分されています。1巻の巻末には明治40年から平成7年までの「刑事医療過誤関連裁判例」の概要が掲載されています。
2. データベース・インターネット情報で調べる
おもなものは次のとおりです。
2-1. 当館契約データベース
TKCローライブラリー「LEX/DBインターネット 医療判例検索」(当館契約のデータベース:館内限定[1])
医療紛争に関する判例がフルテキストで収録されており、医療紛争に限った検索ができます。内容は毎日更新されます。本文のフリーキーワード検索ができます。図表情報も画像ファイルで収録されています。D1-Law.com「判例体系」(当館契約のデータベース:館内限定[2])
医療に限らずあらゆる分野の判例が収録されており、内容は毎日更新されます。本文または要旨のフリーワード検索ができます。検索の結果、多くの判例が見つかった場合は、「詳細検索」の「事項」欄にキーワードを入れて検索すると、より関連度の高い判例に絞り込めることがあります。
2-2. インターネット情報
裁判例情報(裁判所)
裁判所サイト内のページです。「裁判所名」、「事件番号」、「裁判年月日」、「キーワード」から検索が可能です。医療判決紹介(医療安全推進者ネットワーク Medsafe.Net)
平成15(2003)年以降のおもな判決の事案、損害賠償請求額、裁判所認容額等が簡潔にまとめられています。
関連する「調べ方案内」
[1]TKCローライブラリーは東京本館、関西館、国際子ども図書館の全端末で利用できます。
[2]D1-Law.comは東京本館では議会官庁資料室(新館3階)全端末、関西館では総合閲覧室の特定端末で利用できます。