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日本-勲章と褒章

ここでは、日本の栄典制度である勲章と褒章の種類や写真、受章者名等の調べ方について紹介します。なお、【 】内は当館請求記号です。

1. 栄典制度の概要

栄典とは、国家や社会に功労のある人を表彰する国家制度のことをいいます。日本では、明治8(1875)年に勲章制度、明治14(1881)年に褒章制度が創設されました。戦後、昭和21(1946)年の閣議決定で生存者に対する叙勲(勲章の授与)は停止されましたが、昭和38(1963)年の閣議決定により、生存者に対する叙勲が再開されました。

2. 栄典の種類

現在日本で授与されている栄典には、次の種類があります。

2-1. 勲章

国家や公共に対し功労のある人を対象に、生涯を通じての功績を総合的に判断されて授与されます。現在の勲章の種類とその授与基準は、下記の内閣府賞勲局ウェブサイトを参照してください。

国が勲章を授与することを叙勲といい、平成15(2003)年以降は原則として70歳以上の人(一部は55歳以上)に対して春(4月29日)と秋(11月3日)の年2回の定例叙勲が行われるほか、定例叙勲にあずかっていない満88歳に達した高齢者や、88歳以前に死亡した人に随時、勲章が授与されます。

2-2. 褒章

社会の各分野で表彰されるべき事績があった人に授与されます。生涯の業績を評価する勲章と異なり、褒章は事績のある都度、速やかに顕彰することを基本としています。現在の褒章の種類とその授与基準は、下記の内閣府賞勲局ウェブサイトを参照してください。

褒章は春秋叙勲と同日に発令されますが、公益のために私財を寄附した人を対象とする紺綬褒章、表彰されるべき人が死亡した場合の遺族追賞はその都度授与されます。

2-3. 文化勲章

我が国の文化の発達に対して顕著な功績のある人に授与される勲章です。受章者は文化功労者のうちから選ばれます。

文化勲章の受章は毎年11月3日の文化の日に発令され、宮中において親授式が行われます。

2-4. 勲章等以外の栄典

勲章、褒章以外の栄典として、国家・公共に対して功績のあった人が死亡した際に位階の授与が行われています。正一位から従八位までの十六階があり、慣例に照らして生前の功労に応じた位階が与えられます。国が死亡者に位階を与えることを叙位といい、叙位者の生前最後の日付けに発令され、叙勲・褒章と同様に官報に発令事項が掲載されます。

2-5. 現在は廃止された勲章

明治23(1890)年、神武天皇即位2550年を記念して武功抜群の軍人を対象として創設された金鵄勲章がありましたが、昭和22(1947)年、日本国憲法の施行と同時に廃止されました。

3. 勲章・褒章を調べる

下記の資料やウェブサイトを参照してください。なお、勲章・褒章に関する当館所蔵資料は、国立国会図書館サーチで「栄典制度」「勲章」「褒章」等の件名で検索できます。

3-1. 勲章・褒章の種類と写真

勲章の名称等は長らく明治時代のものが踏襲されてきましたが、平成14(2002)年に栄典制度の改革が行われ、功労の大きさを一等、二等などの数字によって表示してきたのを改め、功労の大きさに応じた固有の名称を各勲章に付した表示に変更されました。

3-1-1. 現在の勲章・褒章

3-1-2. 平成14(2002)年以前の勲章・褒章

  • 『勲章』(毎日新聞社 1976 【A237-2】)
    旧制度の勲章に関する資料です。巻頭に当時の勲章類のカラー写真を掲載しています。

  • 『日本の勲章』(総理府賞勲局 1989 【YP1-54】)

  • 『日本の勲章』(総理府賞勲局 1965 【317.5-So653n2】)
    当時の勲章類の実寸大カラー写真を掲載しています。1965年の版はデジタル化されており、国立国会図書館の館内でデジタルデータにより閲覧できます。

3-2. 受章者の調べ方

3-2-1. 受章者名簿

昭和39年以降、定例化された春秋の叙勲・褒章の受章者は「叙勲・褒章の受章者名簿」のページを参照してください。

  • 栄典に関する資料集外部サイト(内閣府)
    内閣府賞勲局ウェブサイト。戦後の大勲位菊花章頸飾、大勲位菊花大綬章、桐花大綬章と、平成15年以降の文化勲章の受章者一覧を掲載しています。

  • 『勲章』(毎日新聞社 1976 【A237-2】)
    明治期以降の大勲位菊花章頸飾、大勲位菊花大綬章、勲一等宝冠章の受章者一覧を掲載しています(日本人のみ)。

  • 『紅・緑・藍綬褒章名鑑』(大蔵省印刷局 1980 【A112-236】)
    紅綬・緑綬・藍綬の各褒章の受章者を掲載しています。排列は居住地順。人名索引あり。

  • 『特別叙勲類纂(生存者)』(総理府賞勲局 1981-82 【AZ-237-22】) 
    死亡時特別叙勲を除く特別叙勲の受章者を掲載しています。下巻に氏名索引あり。

  • 『特別叙勲類纂(死没者)』(総理府賞勲局 1983-84 【AZ-237-29】) 
    危篤時叙勲、死亡時叙勲の受章者を掲載しています。下巻に氏名索引あり。

  • 『紺綬褒章名鑑』(大蔵省印刷局 1986-88 【A112-477】) 大正8年~昭和16年 昭和17年~昭和22年 団体 大正10年~昭和22年
    紺綬褒章の受章者(個人・団体)を掲載しています。排列は裁可年月日順。人名・団体名索引あり。

  • 『文化勲章名鑑』(2000年度新装版 名鑑社 1999 【A112-G217】)
    文化勲章受章者の経歴を掲載しています。排列は受章年順です。

  • 『危篤・死亡者に緊急叙勲』(永瀬巖 2007 【GB13-H232】)
    危篤・死亡時叙勲の受章者を掲載しています(昭和39年以降は勲一等瑞宝章以上のみ)。排列は裁可年月日順。人名目次あり。

  • 『勲功人名録』(生没年記入改訂版 永瀬巖 2007 【GB13-H168】)
    明治期以降に叙勲を受けた人物について、人名別に叙勲の履歴を掲載しています(日本人のみ)。排列は五十音順です。

3-2-2. 官報や新聞を探す

勲章と褒章の受章者は官報に掲載され、春秋叙勲については内閣府賞勲局から報道発表が行われます。叙勲の報道発表が行われると内閣府賞勲局のウェブサイト外部サイトと新聞に受章者名簿が掲載され、特に地方紙にはその地方の受章者に関する情報が詳しく報道されます。

定例叙勲の報道発表日(新聞掲載日)は、春は褒章が4月28日、叙勲は4月29日、秋は褒章が11月2日、叙勲が11月3日(文化勲章を含む)です。新聞の調べ方についてはリサーチ・ナビ「新聞」をご覧ください。

官報で受章者を調べる場合は、「官報情報検索サービス」(当館契約データベース)で氏名等から検索することが出来ます。ただし、連合軍による占領期間中に官報掲載事項の削減がおこなわれ、定例の叙位及び叙勲の記事掲載が省略された時期がありました。当該措置は「官報掲載事項の整理に関する件」(昭和21年4月25日 内閣甲第146号)に基づくもので、昭和29年10月に廃止されました。
参照:大蔵省印刷局編. 『官報百年のあゆみ』大蔵省印刷局,1983.7.
一方、これより前の官報は「国立国会図書館デジタルコレクション」で画像が公開されていますが、受賞者についての合理的な検索手段がなく、受章日または官報掲載日等の情報をもとに調査を行う必要があります。なお、戦前の官報では「叙任及辞令」の欄のほかに官報の附録「辞令」の欄または「辞令二」に掲載されている場合があります。
官報の調べ方については「日本-官報(法令情報)の調べ方」をご覧ください。

3-3. 参考資料・情報

  • 井田敦彦「勲章・褒章制度」(PDF3.8MB)『調査と情報』(829(2014) 【Z1-403】)
    勲章・褒章制度の現状と課題を2014年時点で簡潔にとりまとめた当館の調査資料です。

  • 勲章・褒章制度の概要外部サイト(内閣府)
    日本の栄典制度を所管する内閣府賞勲局ウェブサイトの解説です。

  • 『賞勲局百年資料集』(総理府賞勲局 1978-79 【AZ-237-13】)
    戦前から戦後までの関連法令や答申、閣議決定など、各種資料を収録しています。

  • 栄典のあゆみ―勲章と褒章―外部サイト」(国立公文書館)
    国立公文書館で開催された企画展のデジタル展示のページです。
    勲章・褒章をめぐる制度が様々な資料の画像とともに紹介され、明治時代から現代までの栄典の歴史を辿ることができます。