ドイツの憲法裁判所

このページでは、ドイツの連邦憲法裁判所の概要と当館所蔵資料、インターネットで見ることができる参考情報を紹介します。

法規定

ドイツ連邦共和国基本法は、第9章「裁判」(第92条~第104条)の中で、連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgericht)について規定しています。
連邦憲法裁判所は、他の全ての裁判所の最上級審ではなく、審級制度の外で独立の地位を占めます。

構成員

連邦憲法裁判所の裁判官は、連邦議会(下院)および連邦参議院(上院)によりそれぞれ8名ずつ選出され、合計16名で構成されます。
任期は12年で、再任はできません。

また、この裁判官の全員が、大統領により任命されます(基本法第94条第1項)。

裁判所の権能

連邦憲法裁判所は、抽象的規範統制、具体的規範統制および憲法異議(Verfassungsbeschwerde:「憲法訴願」とも訳される)の主に3つの機能を有します。

抽象的規範統制は、具体的な訴訟事件に関係なく、連邦政府、州政府または連邦議会(下院)議員の4分の1以上の申立てに基づき、連邦法または州法が基本法に適合するかどうかについて、連邦憲法裁判所が審査する制度です(基本法第93条第1項第2号)。

具体的規範統制とは、具体的な訴訟事件において、通常裁判所がその事件に適用される法律に基本法違反があると認める場合には、裁判手続きを停止し、連邦憲法裁判所に当該問題の裁判を求め、これに応じ連邦憲法裁判所がその法律の合憲性審査を行うという制度です(基本法第100条)。

憲法異議とは、あらゆる人が、公権力によって基本権または基本法に規定する諸権利の侵害を主張する場合に、他の法律上の争訴手段を尽くした後、連邦憲法裁判所に訴えを直接提起する制度です。
また、市町村または市町村連合がその自治権の侵害を理由に同裁判所に訴えを起こすことも意味します(基本法第93条第1項第4a号および第4b号)。

このほか、連邦最高機関相互間の機関訴訟に関する基本法の解釈についての裁判、連邦と州の間または州相互間の権限争議の裁判、基本法または連邦法の違反に関し下院または上院の訴追を受けた大統領の裁判、下院選挙に関する下院の選挙審査に対する抗告訴訟を行い、加えて、自由で民主的な基本秩序に対する敵対行為をする者の基本権喪失の宣告、自由で民主的な基本秩序の侵害等を行い国の存立を危うくしようとする政党の違憲確認などの多くの権限を、連邦憲法裁判所は有しています。

資料

当館では、連邦憲法裁判所判例集を所蔵しています。

連邦憲法裁判所の判決は、連邦憲法裁判所判例集の他に、連邦法令公報に掲載される場合があります。

また、近年の主な判決を紹介し、その判決の評釈を掲載する日本語の書籍として、次の資料があります。

連邦憲法裁判所のページでは、1951年から1997年までの一部の判決及び1998年以降の全ての判決を見ることができます。

また、連邦憲法裁判所判例集に収録された判決の一覧が公開されています。

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