国内の主要な科学技術研究助成事業とその成果報告書

平成7(1995)年11月に施行された「科学技術基本法」(現「科学技術・イノベーション基本法」)外部サイトにもとづき、現在、日本国政府は「科学技術創造立国」を目指して、科学技術振興政策を積極的に推進しています。政策の方針は内閣総理大臣を議長とする「総合科学技術・イノベーション会議」外部サイトで審議され、5年ごとに「科学技術・イノベーション基本計画」(旧「科学技術基本計画」)外部サイトとして策定されます。令和3(2021)から令和7(2025)年度までは第6期基本計画の期間です。

政府による研究資金の多くは、「競争的研究費制度」外部サイトとして、各種研究助成事業に投資されています。その成果の一部はインターネットで公開されているほか、国立国会図書館が成果報告書を収集しています。

本記事では、国による主な科学技術研究助成事業のほか、民間の財団などによる助成事業のもとで行われている研究の研究課題名、概要、研究成果報告書などの検索法についても紹介します。理化学研究所や産業技術総合研究所など、自ら主体的に研究活動を行っている機関の事業は扱いません。

1. 国による主な科学技術研究助成事業

1.1. 科学研究費補助金/学術研究助成基金助成金(科研費)

国費による科学技術研究助成の中核事業であり、近年の予算は約2,400億円前後です。文部科学省外部サイトおよび日本学術振興会外部サイトが担当機関となります。
平成19(2007)年度研究終了分までは、冊子体の科研費報告書の作成が義務付けられていましたが、平成20(2008)年以降は原則廃止され、電子媒体による簡易な報告書が「KAKEN:科学研究費助成事業データベース外部サイト」で公開されるようになりました。
当館では昭和58(1983)年以降に受け入れたものを関西館で所蔵しています。それ以前のものは、東京本館で部分的に所蔵しています。
詳細については、「科研費報告書(文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書)」をご覧ください。

1.2. 戦略的創造研究推進事業

科学技術振興機構(JST)外部サイトが担当する研究助成事業です。
研究の遂行形態によって複数の種別(CREST、さきがけ、ACT-Xなど)があります。研究成果の多くは学術雑誌における論文発表という形でなされ、冊子体の成果報告書としては公に刊行されない場合がほとんどです。過去の各研究プロジェクトの概略と成果(論文一覧など)は「終了事業アーカイブズ外部サイト」で閲覧できます。また、「JSTプロジェクトデータベース外部サイト」からの検索も可能です。

1.3. 厚生労働科学研究費補助金

国民の保健、医療、福祉、労働衛生などに関わる研究分野に対し、厚生労働省外部サイトが行う研究助成事業です。
一つの課題について、年度ごとに出される総括研究報告書と、複数年度の研究成果全般についての最終報告書である総合研究報告書があります。平成9(1997)年度以降の研究課題の研究報告書は、国立保健医療科学院が提供する「厚生労働科学研究成果データベース外部サイト」で閲覧できます。平成28(2016)年度研究終了分の研究報告書から冊子形態での報告は廃止されました。

1.4. 環境研究総合推進費

環境政策の推進に不可欠な科学的知見の集積および技術開発の促進を目的として、環境省外部サイトが行う環境分野全般にわたる研究助成事業です。
環境再生保全機構外部サイトの「研究課題データベース外部サイト」のページで、研究状況を「終了」と選択して検索すると、研究成果報告書を閲覧できます。

1.5. 安全保障技術研究推進制度

防衛技術にも応用可能な先進的な民生技術の基礎研究に対し、防衛装備庁外部サイトが行う研究助成事業です。
評価外部サイト」のページで、研究成果報告書を閲覧できます。

2. 民間の財団などによる研究助成事業

民間においても、さまざまな財団や企業が大学などの研究者に対して研究助成事業を展開しています。以下のインターネット情報源から研究助成事業を検索できます。

3. 国立国会図書館サーチで検索するには

研究成果報告書などの資料は、国立国会図書館サーチで検索できます。キーワードやタイトル欄などに、研究助成事業名、研究課題名、著者名や出版者名を入力し、資料種別から「図書」、「雑誌」、「電子資料」などにチェックを入れ、検索してください。なお、近年では冊子体を刊行せず、助成機関のホームページなどで研究成果報告書を公開する機関が増えています。

4. その他のインターネット情報源

研究者・研究課題情報

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