医療用医薬品について調べる

医師の処方箋を必要とする医療用医薬品(処方薬)について調べるための資料には、以下のようなものがあります。
なお、医薬品の情報を調べる場合、商品名から調べられる資料もありますが、一般名から調べることが有用です。

  • 一般名:薬剤の有効成分を示す名称。国際機関や各国の政府機関が命名します。
  • 商品名:製薬会社が医薬品を商品化する際に付ける銘柄。販売名、製品名ともいいます。なお、後述する後発医薬品(いわゆるジェネリック医薬品)は、一般名がそのまま商品名の頭に用いられています。

また、各資料の情報は、添付文書(後述)や臨床の現場での知見に基づいています。

【 】内は当館請求記号です。請求記号が記載されていない資料は、版、巻によって請求記号が異なります。国立国会図書館サーチでタイトルによる検索を行ってください。
『資料名』(書誌情報)の後ろに*が付いている資料は、国立国会図書館サーチの書誌詳細画面に目次があります。

1. 医療用医薬品集

  • 『JAPIC医療用医薬品集』(日本医薬情報センター 年刊)
    医療の現場で使用されている医薬品および供給の予定されている医療用医薬品について、商品名、組成、効能・効果、用法・用量、電子添文記載内容、性状(一部は構造式)などを、一般名の五十音順に掲載した網羅的な医療用医薬品集です。
    日本医薬情報センター(JAPIC)が入手した添付文書などの資料を基にした、医薬品の詳細な情報が掲載されています。
    巻頭に五十音索引があります。また、別冊としてアルファベット索引、薬効分類索引、薬剤識別コード一覧があります。

2. 効果・効能や使用上の注意をまとめた解説書

※添付文書:医薬品医療機器法の規定に基づき、医薬品の製造販売業者が医薬品に添付する文書。使用上の注意や効能、副作用などが記載されています。

2-1. 医療従事者向けの解説書

  • 『今日の治療薬』(南江堂 年刊 【Z43-169】)
    主要な医療用医薬品の、添付文書の要点や実臨床で必要な情報を掲載した解説便覧です。
    薬効群ごとに章立てされており、各章は、特徴などを述べる「解説」と、個々の医薬品情報をまとめた「便覧」に分かれています。
    巻末に識別コード索引、薬剤索引、解説事項索引、主な製薬会社連絡先一覧があります。
  • 『治療薬マニュアル』(医学書院 年刊)
    ほぼ全ての医療用医薬品の最新の添付文書情報を整理し、臨床情報を加えて編集した年鑑です。
    薬効分類別に章立てされており、各章の冒頭には薬効別一覧表や治療の基本戦略がまとめられています。
    巻末には識別コード索引、欧文索引、和文索引があります。
  • 『治療薬ハンドブック : 薬剤選択と処方のポイント』(じほう 年刊)
    主要な医薬品および再生医療等製品の、添付文書情報の要点と臨床情報を掲載したハンドブックです。
    薬効群ごとに分類されており、各項目の冒頭には使用に関する総説が掲載されています。

2-2. 患者向けの解説書

  • 『医者からもらった薬がわかる本』(法研 隔年刊)
    主要な医療用医薬品(内服薬・外用薬・一部の注射薬・漢方薬)について、製剤情報(剤形、服用量と回数など)、分類、処方目的、解説(薬の効き方など)、副作用、飲み合わせの注意などを患者向けに解説した資料です。薬価や主要先進国での承認状況も記載されています。
    巻頭によく使われる薬の写真が掲載されており、剤形やパッケージを確認することができます。また、薬の名前五十音索引(一般名、商品名、一部の分類名)、病気別の薬索引があります。
  • 『くすりの事典』(成美堂出版)(目次例: 2022年版
    主要な医療用医薬品(内服薬・外用薬・抗がん剤・在宅自己注射液・漢方薬)について、効能、用法・用量、くすりの働き、使用上の注意、副作用などを患者向けに解説した資料です。
    巻頭に薬の写真の一覧が掲載されており、剤形やパッケージを確認することができます。また、索引として、くすりの名前・成分名リスト(一般名、商品名)および医学用語解説索引があります。

3. 薬価、後発医薬品を調べる

※薬価:医療用医薬品の公定価格のこと。厚生労働大臣が定める価格表「薬価基準」に、医薬品の規格、単位と合わせて品目ごとに収載されます。薬価基準収載品目は、厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について外部サイト」のページから確認できます。
※先発医薬品:医療用医薬品のうち、新しい効能や効果を有し、有効性や安全性が確認され、承認された医薬品(いわゆる新薬)のこと。
※後発医薬品:医療用医薬品のうち、先発医薬品の特許が切れた後に他の製薬企業により製造・販売される、先発医薬品と成分や規格が同一で、治療学的に同等として承認された医薬品(いわゆるジェネリック医薬品)のこと。先発医薬品に比べて薬価が低く設定されています。

  • 『保険薬事典Plus +』(じほう 年2回刊)
    薬効別薬価基準に適応・用法情報などを追加した医療用医薬品リストです。
    薬価基準収載品目、避妊剤、ED治療剤、男性型脱毛症剤、放射性物質除去剤を対象とし、内用薬・注射薬・外用薬・歯科用薬剤の順に掲載しています。
    巻頭には商品名などから検索できる品目索引と、投薬料点数早見表、注射料点数早見表、調剤報酬点数表があります。巻末には薬効分類目次、医薬品略名一覧、会社連絡先一覧などがあります。
  • 『ジェネリック医薬品リスト』(じほう 年刊)
    一般名に対応する先発医薬品とジェネリック医薬品の商品名を調べることができる医薬品リストです。剤形、規格、品目情報(薬価、製剤特性、商品名など)、適応・用法などの情報も記載されています。
    薬価基準収載医薬品を、内用薬・注射薬・外用薬の順に、基本名(商品名の一部)および一般名の五十音順に配列しています。
    巻末には、会社連絡先一覧、商品名索引などがあります。
  • 『オレンジブック : 保険薬局版』(薬事日報社)
    後発医薬品を対象に行われる品質再評価(溶出性の再評価)の結果情報に加えて、剤形、規格、製剤特性、薬価などの情報を掲載した医薬品リストです。
    薬価基準収載品目を、内用薬・外用薬・注射薬・歯科用薬剤に分け、一般名の五十音順に配列しています。
    巻頭には、販売名索引と一般名索引があります。
    なお、オレンジブック総合版ホームページ外部サイト(日本版オレンジブック研究会)で最新の情報を閲覧できます。

4. 国立国会図書館サーチで検索するには

その他の資料は、国立国会図書館サーチで検索できます。タイトルや編者・出版者名に含まれるキーワードから探してください。
科学技術振興機構が提供するJ-GLOBAL外部サイトにて別名や同義語を調べ、キーワードを広げることも有用です。

国立国会図書館サーチの検索結果を所蔵場所「科学技術・経済情報室」で絞り込むと、科学技術・経済情報室で開架している参考図書類を検索できます。

ここでは、国立国会図書館分類表(NDLC)による分類や国立国会図書館件名標目表(NDLSH)による件名から検索する代表的な方法を紹介します。

分類

以下のような分類記号に、キーワードとして「事典」、「一覧」などを掛け合わせて検索します。

  • 薬学(辞典・便覧類) SD2
  • 医薬品 SD81

件名

「医薬品」、「医薬品情報」などが普通件名として挙げられます。

また、Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)の分類記号検索において「NDLC」を選択し、「SD81」などで検索すると、医療用医薬品に関連するほかの普通件名を探すことができます。

5. インターネット情報源

5-1. 医療用医薬品の添付文書を検索する

  • 添付文書情報 詳細検索|iyakuSearch外部サイト(日本医薬情報センター(JAPIC))
    医療用医薬品の電子添文(“電子化された添付文書”の略称)について、製品名、一般名、薬効分類または会社名を指定して検索することができます。全文からの検索も可能です。
    なお、「一般用」のタブからは、一般用医薬品の電子添文を検索することができます。
  • 医療用医薬品 添付文書等情報検索外部サイト(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
    公開されている医療用医薬品の添付文書等について、医薬品の名称(一般名または販売名)、表示したい文書の種別、薬効分類、効能・効果、警告、禁忌などを指定して検索することができます。
    なお、利用に当たっては、「ご利用にあたっての注意事項」および「情報検索機能の使い方」をご確認ください。
    このほか、「医療従事者の方におすすめのコンテンツ外部サイト」から、一般用医薬品、医療機器、再生医療等製品、体外診断用医薬品の添付文書も検索することができます。
  • KEGG MEDICUS 医薬品情報外部サイト
    KEGG MEDICUS外部サイトは、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)が提供するKEGG NETWORK/DISEASE/DRUG データベース(KEGGのHealth information category外部サイト)と、日本および米国の医薬品添付文書を統合したデータベースです。
    医薬品情報検索画面では、医療用医薬品および一般用医薬品の添付文書情報などを一括で検索することができます。
    このほか、KEGG MEDICUSには、添加物を含めた医薬品成分や医薬品の相互作用を検索する機能もあります。

5-2. 患者向けの医療用医薬品情報を探す

  • くすりのしおり外部サイト(一般社団法人 くすりの適正使用協議会)
    一般の患者に分かりやすい表現でコンパクトにまとめられた医療用医薬品の情報を、製品名、主成分、剤形・色、シート記載・記号などから検索することができるウェブサイトです。
    薬の作用と効果、使用が必要な人、薬の使い方、生活上の注意、副作用、保管方法などが説明されています。英語版が作成されているものは、「英語版」のボタンを選択すると英語の説明文を閲覧することもできます。
  • 患者向医薬品ガイド外部サイト(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
    医療用医薬品について、医薬品を使用するときに特に知っておきたい事項を、添付文書を基にわかりやすく記載したガイドを閲覧することができます。「患者向医薬品ガイド一覧外部サイト」でページ内を全文検索するか、「医療用医薬品 情報検索外部サイト」画面で「検索結果一覧で表示する文書を選ぶ」のうち「患者向医薬品ガイド/ワクチン接種を受ける人へのガイド」のみにチェックを入れて検索することで、特定の医薬品のガイドを探すことができます。
    このほか、同機構の「一般の方におすすめのコンテンツ外部サイト」のページでは、様々な一般向けの情報が掲載されています。
  • かんじゃさんの薬箱外部サイト(日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会)
    ジェネリック医薬品について、一般向けの情報がまとめられたウェブサイトです。「ジェネリック医薬品の検索」では、医薬品名から検索し、その医薬品と同種・同規格の医薬品を探したり、薬価を比較したりすることができます。

6. 関係機関

関連情報