無償の贈与 : 人間主義からの脱却 : 特集

• Material Type: 図書
• ISBN: 9784880654980
• Title: 無償の贈与 : 人間主義からの脱却 : 特集
• Title Transcription: ムショウ ノ ゾウヨ : ニンゲン シュギ カラ ノ ダッキャク : トクシュウ
• Author/Editor: たばこ総合研究センター編
• Author Heading: たばこ総合研究センター タバコ ソウゴウ ケンキュウ センター; https://ci.nii.ac.jp/author/DA00509198; 平川, 克美 ヒラカワ, カツミ; https://ci.nii.ac.jp/author/DA0646228X; 岩野, 卓司 イワノ, タクジ; https://ci.nii.ac.jp/author/DA15309352; 山田, 広昭 ヤマダ, ヒロアキ; https://ci.nii.ac.jp/author/DA04391690
• Publication, Distribution, etc.: たばこ総合研究センター; 水曜社(発売)
• Publication Date: 2021.3
• Publication Date (W3CDTF): 2021
• Size: 26cm
• Place of Publication (Country Code): ja
• Text Language Code: ja
• NDC 9th ed.: 051.3 : Nipponese serial publications
• NDC 10th ed.: 051.3 : Japanese serial publications
• Target Audience: 一般
• Note (General): "資本主義的な経済システムの限界が明らかになっている今、贈与に注目。「無償の贈与…人間主義からの脱却」をテーマに、マルセル・モースの「贈与論」などに代表される「贈与」について改めて問い直す。"--TRC MARCより; 書物のフィールドワーク86: p89
• Related Material: 談 : speak, talk, and think; https://cir.nii.ac.jp/crid/1130000797604507392
• Related Material (URI): https://ci.nii.ac.jp/ncid/BC06526915#entity
• Periodical Title: 談 : speak, talk, and think; https://cir.nii.ac.jp/crid/1130000797604507392
• Data Provider (Database): 国立情報学研究所 : CiNii Research
• Original Data Provider (Database): CiNii Books; https://ci.nii.ac.jp/books
• NCID: https://ci.nii.ac.jp/ncid/BC06526915 : BC06526915

• Summary, etc.: 無償の贈与…人間主義からの脱却 バタイユは言っている。生の最も根本的な条件は太陽によるエネルギーの贈与である。地球上エネルギーが満ち溢れ、それを成長の糧にして生物が生存可能なのは、太陽が休みなくエネルギーを贈与してくれているからだ。しかも、この根源的な贈与は一方的なものである。地球上の生物はただエ...
• Author introduction: 平川 克美 隣町珈琲店主、実業家、文筆業。1950年生まれ。 著書に『株式会社の世界史…「病理」と「戦争」の500年』（東洋経済新報社 2020）、『見えないものとの対話…失われた時間を呼び戻すための18章』（大和書房 2020）、『21世紀の楕円幻想…その日暮らしの哲学』（ミシマ社 2018）他...

Table of Contents

・「私たちの内部には贈与のモラルが隠れている…楕円構造の二つの焦点」

平川克美（実業家、文筆業）

マルセル・モースが発見し記述したのは、貨幣経済以前の部族社会における経済であり、現在の交換経済ではなく、贈与経済だった。交換経済が市場原理というシステムで動いているとすれば、贈与経済の原理は、全体給付のシステムだといえる。ポイントは、全体給付システム、言い換えれば受領と再贈与の義務の経済が先に存在し、そこから交換経済（返済義務の経済）が分岐してきたということだ。つまり、全体給付システムが先にありきなのである。「贈与と全体給付の経済」と「等価交換の経済」は、贈与のモラルと交換のモラルを生み出した。現代という時代ほど金銭の万能性が強まった時代はない。もはや「等価交換のモラル」しかないようにすら見える。だが、もとより「贈与のモラル」が消え去ったわけではない。あたかも日蝕や月蝕のように、二つの焦点が重なってしまい、「贈与のモラル」が「等価交換のモラル」の背後に隠されてしまっているということに過ぎない。ここでいう二つの焦点とは、楕円構造の焦点であり、私たちの内部には、等価交換のモラルとは別の、「贈与のモラル」があるということなのだ。二つの焦点が程よい距離感で調和する社会。それは、全体給付のモラル、すなわち贈与のモラルを再生させることから始まる。社会原理としての贈与のモラルを解き明かす。

・「私たちは決して贈与から逃れることはできない…「与えの現象学」が示すもの」

岩野卓司氏（明治大学大学院教養デザイン研究科長・教授）