昭和33年度経済運営の基本的態度

昭和32年8月30日 閣議決定

収載資料:国の予算 昭和33年度 財政調査会編 同友書房 1958 p.890 当館請求記号:344.1-Z11k

「今後の経済の見通し」(昭和32年8月30日閣議了解)に基き、「昭和33年度における経済運営の基本的態度」は次のとおりとする。
1 33年度における経済運営の第1義的目標は、国際収支を大幅に改善して経済の長期的発展の条件を整備することにおき、当面経済の発展は控え気味とし、着実な経済成長をはかることをその基調とする。
2 国際収支の改善と健全な経済成長のためには、輸出の増大が不可欠の要件であることにかんがみ、各般の施策をこれに集中するものとする。
3 輸出の増大のため、国際的に割高な物資の価格を是正するとともに、輸出商品の価格を適正な水準において安定せしめるものとする。
4 経済動向の現況及び見通しにかんがみ、中央地方を通ずる財政規模については、いやしくもそれが景気に対して刺戟的要因とならざるよう、極力抑制につとめるとともに、財政支出及び財政投融資の重点化効率化をはかるものとする。
5 投資活動の過度の膨張をさけ、その適正化をはかるため、産業界及び金融界の協力を求め、設備投資の実体の把握及び必要な調整につとめるものとする。
6 消費需要の抑制と貯蓄の増進について国民の協力を要請するとともに、消費の内容についても外貨節約の見地から、さらにその改善について国民の理解を深めるよう配慮するものとする。
7 上記の経済運営の方向に関連して、過渡的に雇用面及び中小企業部門に問題の生ずることも考えられるので、これが対策に遺憾なきを期するものとする。