日本の地名を調べる

日本の地名を調べる際の代表的なツールを紹介します。

地図について調べたり、閲覧したい場合はリサーチ・ナビ「日本の地図」に掲載されている個別のページもご参照ください。

書誌事項末尾の【 】内は当館請求記号です。

1.全般

様々な地域・時代の地名を全般的に調べる際の代表的な資料を紹介します。

  • 『角川日本地名大辞典』全51巻(角川書店 1978-1990 【GB11-38】)
    47都道府県の古代から現代までの地名を都道府県別に収録しています。「地名編」では各項目で地名の由来とその沿革、土地の歴史などが記載されており、五十音順に排列されています。「地誌編」では編纂当時の自治体の現況や沿革について自治体別に記載されています。
    当館契約データベースのジャパンナレッジLib版では、「平成の大合併」後に生まれた地名にも対応しており、見出し検索や、各項目の全文検索をすることができます。「地誌編」は収録されていません。
    当館でジャパンナレッジLib版を利用する場合、当館内の端末の「電子ジャーナル・データベース」から、「ジャパンナレッジLib 新版角川日本地名大辞典」を選択してご利用ください。

  • 『日本歴史地名大系』全50巻(平凡社 1979-2005)
    47都道府県の古代から現代までの地名を都道府県別に収録しています。地名だけでなく、典拠となっている文献解題や地図類、行政区画変遷、石高一覧などの資料も掲載されています。地名は行政区画ごとに排列されています。
    当館契約データベースのジャパンナレッジLib版では「平成の大合併」後に生まれた地名にも対応しており、「変更地名」として検索することができます。また刊行年次の早い巻を中心に、考古項目の追加や新しい研究成果の加筆が行われています。見出し検索や各項目の全文検索をすることができます。
    当館でジャパンナレッジLib版を利用する場合、「電子ジャーナル・データベース」から「ジャパンナレッジLib」を選択してご利用ください。

2.時代別に調べる

古代

  • 角川文化振興財団 編『古代地名大辞典』(角川書店 1999 【GB11-G20】)
    『風土記』、『日本書紀』など12世紀後半までの史料にみえる全地名、約12,000項目を収録・解説しています。「索引・資料編」では53,000件の事項索引のほか、都道府県別立項項目一覧や国郡別立項項目一覧、「木簡地名集成」、「墨書土器地名集成」などを収録しています。
  • 加藤謙吉 [ほか]編著『日本古代史地名辞典 普及版』(雄山閣 2018 【GB11-L52】)
    『和名類聚抄』などに見られる五畿七道の66国2嶋591群の地名を収録しています。地名は可能な限り、現代の地名を比定して掲げており、2007年3月時点の市区町村合併に伴う行政地名表記を採用しています。
  • 楠原佑介 [ほか]編著『古代地名語源辞典』(東京堂出版 1981 【GB11-59】)
    『和名類聚抄』にみられる国・郡・郷名2,250項目を収録し、典拠を示しつつ地名の語源を解説しています。
  • 古代地名検索システムLeave the NDL website. (奈良文化財研究所)
    『倭名類聚抄』や木簡に見られる地名を調べることのできるデータベースです。国・郡・郷・里の地名を検索することができます。
  • 平安京跡データベースLeave the NDL website. (立命館大学アート・リサーチセンター ・立命館大学歴史都市防災研究所・京都市生涯学習総合センター)
    レイヤーリストから「平安京ライン」というレイヤーを選択することで、現在の地図に重ねる形で平安京の地名を表示することができます。また各土地の平安京の遺跡発掘調査報告書などを調べることができます。

中世

近世

  • 菊池秀夫 著『江戸東京地名事典』(雪華社 1981 【GB11-61】)
    初版刊行当時(1965)の東京都の行政区画である二十三区、十四市、三郡、島嶼に該当する江戸時代の約1,800の地名を収録しています。地名の由来などを調べることができます。
  • 浜田義一郎 監修『江戸文学地名辞典 新装普及版』(東京堂出版 1997 【KG2-G19】)
    江戸とその周辺の地名・町名・道路・河川・橋・寺社など約2,000の地名を収録しています。江戸の文芸・歌謡・歌舞伎などから地名の文例を引いており、地名が出てくる文献の出典を調べることができます。
  • 江戸マップβ版Leave the NDL website. (ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH))
    当館所蔵の「江戸切絵図」から約8,700の地名を検索し、切絵図上に表示することのできるデータベースです。
  • 木村礎 校訂『旧高旧領取調帳』(東京堂出版 1995 【GB391-G2】)
    明治政府が編纂した、江戸時代末期における全国町村目録です。江戸時代の国・郡ごとに旧村名・旧領名・旧高(石高)・旧村名が記載されています。江戸時代末期にどのような地名(村名)が存在したのかを調べる資料として利用することができます。
    ただし関東大震災などによって原本が消失したり、散逸したため、一部取調帳が現存していない地域があります。
  • 旧高旧領取調帳データベースLeave the NDL website. (国立歴史民俗博物館)
    上記『旧高旧領取調帳』のデータベースです。
  • 国絵図・村絵図・郷帳・村明細帳を探す(リサーチ・ナビ)
    国絵図・村絵図・郷帳・村明細帳を調べることで、江戸時代当時にどのような地名が存在したのかを知ることができます。それらを調べる際に参考になる資料やウェブサイトなどを紹介しています。

近代

3.字を調べる

字(あざ)は通常の地名辞典には記載されていない場合があります。ここでは字(あざ)を調べる際の代表的な資料を紹介します。
字とは市・町・村の行政区画の最小単位であり、大字と小字があります。町村の下の区画が大字であり、大字のさらに下の区画が小字となっています。
ただし、字という言葉の指し示す範囲は時代によって異なっているため注意が必要です。

(参考)

3-1.全般

  • 『JIS都道府県市区町村コードによる全国町・字ファイル)』(国土地理教会 [1987]- 【GB11-G3】)
    現在の字名を調べる際の代表的な資料です。有料のデータファイル版Leave the NDL website. もあり、1982年3月からの地名を収録しています。
  • 『角川日本地名大辞典』全51巻(角川書店 1978-1990 【GB11-38】)
    資料の詳細については「1.」で紹介しています。各巻末に「小字一覧」が付されており、過去存在した字名や現在存在する小字名を都道府県別に調べることができます。ただし、新潟県・大阪府・兵庫県・奈良県については「小字一覧」が付されていません。またジャパンナレッジLib版には「小字一覧」は収録されていません。
  • 内務省地理局 [編]『大日本国誌』(ゆまに書房 1988-1989 【GB641-E13】)
    明治初期に内務省地理寮によって行われた全国規模の地名調査(「皇国地誌」と呼ばれることもあります)のうち現存しているものを収録しています。武蔵国(全14巻)、相模国(全4巻)、東京(全3巻)、横浜・鎌倉(全2巻)、上野国(全1巻)、常陸国(全6巻)、伊賀国(全3巻)、上総国(全3巻)、志摩国(全1巻)、伊勢国(全9巻)、越後国(全6巻)の計52巻からなります。
  • 『内務省地理局編纂善本叢書:明治前期地誌資料(明治前期全国村名小字調査書)』30巻-36巻(ゆまに書房 1986-1987 【GB641-95】)
    明治期に行われた全国規模の字調査の記録である「各府県村名調査報告」や「各町村字小字名取調書」などのうち現存するものを収録しています。明治時代に存在した字名などを調べる際に参考になります。
  • 小川琢治 著『市町村大字読方名彙 増補』(成象堂 大正14 【333-91イ】)(国立国会図書館デジタルコレクション
    大正期の自治体名変更や区画変更を反映しており、大正時代の大字を調べる際の参考になります。

3-2.字限図から調べる

地租改正条例の施行に伴い、明治初期に字単位の地図である「字限図」が作成されました。ただし戦争や自然災害の影響で消失してしまった「字限図」も多く、一部の地域の「字限図」のみ現存しています。「字限図」は「字図」・「字絵図」・「分間図」・「改祖図」・「公図」などとも呼ばれることもあり、土地台帳と地籍図を併せて土地とその所有者が確認できるようにした地図は「土地宝典」と呼ばれることもあります。

国立国会図書館サーチで「地名△字限図」(△はスペース)などと検索することで、「字限図」が見つかる場合があります。
詳細はリサーチ・ナビ「土地宝典」もご参照ください。

3-3.郷土資料・自治体史から調べる

自治体史に字名を集成した資料が収録されていたり、地域ごとの地名辞典などに字名が収録されている場合があります。

一例として、都道府県単位・市単位・町単位・村単位で字を調べることのできる資料には以下のようなものがあります。

例:都道府県単位

例:市単位

例:町単位

例:村単位

国立国会図書館サーチでキーワード欄に「自治体名△字」や「自治体名△字」(△はスペース)などと入力することで、各自治体の字辞典や、自治体史に収録されている字名集などがヒットする場合があります。

自治体史についての調べ方はリサーチ・ナビ「自治体史を探す」、郷土資料の調べ方は「地方史に関する文献を探すには(主題書誌)」もご参照ください。

以下の表では都道府県単位や、複数の市にまたがる広範な地域の字が記載されている資料をまとめています。市町村単位で字を調べたい場合は、個別に自治体史などをご確認ください。
また以下の表には「3-1.」で紹介した『角川日本地名大辞典』の「小字一覧」の典拠となっている資料や、『内務省地理局編纂善本叢書:明治前期地誌資料(明治前期全国村名小字調査書)』に収録されている資料もあるため、「3-1.」に掲載の資料も併せてご確認ください。
(本ページを作成した際に調査した範囲で資料が見つからなかった都道府県については「-」で記載しています。資料は随時追加・更新しています)

北海道・東北

都道府県資料名
北海道『大字・町名総覧. 北海道編』(日本加除出版 1987 【A112-491】)
・ 「北海道地名一覧」(『北海道大百科事典 下』(北海道新聞社 1981 【GB8-94】 pp.942-981)
青森・ 岸俊武 [著]『新撰陸奥国誌(みちのく叢書;第11~16巻)』(国書刊行会 1983 【GC13-66】)
岩手『岩手県管轄地誌』(東洋書院 2003)
宮城・ 「宮城県各村字調書」(『宮城県史 32(資料篇 9)』 宮城県史刊行会 1970 【212.3-M592-M】 pp.257-540)
秋田・ 「秋田県市町村字名稱調」(『秋田県史 大正 昭和編』(秋田県 1962 【212.4-A367a-(s)】)
山形・ 山形県郷土研究会 編『山形県地名録:稿本(郷土研究叢書;第9輯)』(郁文堂書店 1966 【291.25-Y2414y】)
・ 「山形県地名総覧」(『山形県大百科事典』別冊 山形放送 1983 【GB8-126】 pp.137-234)
福島『福島県地名総覧』(福島テレビ 1968 【GB11-5】)
・ 「福島縣郡市町村大字名表」(池内儀八 著『福島県通史』 吾妻書館 1982 【GC35-51】 pp.372-392)

関東

都道府県資料名
茨城・ 河原井七之助 著『茨城県案内(県別郷土歴史叢書.明治の茨城;第1巻)』(千秋社 1983 【GC43-67】)
栃木・ 「栃木県地名総覧」(『栃木県大百科事典』 栃木県大百科事典刊行会 1980 【GB8-84】 pp.899-932)
「下野小字名鑑」Leave the NDL website. (大愚狂人 1917)関口国光文庫-栃木県立図書館デジタルコレクション ※当館所蔵なし
群馬『群馬県小字名索引:明治拾四年地理雑件による』(群馬地名研究会 1997 【GB11-G11】)
『群馬県小字名索引.補遺編』(群馬地名研究会事務局 2014 【GB11-L9】)
埼玉・ 埼玉県 編『武蔵国郡村誌』(埼玉県立図書館 1953-1955 【291.34-Sa2142m】)
『埼玉県地名総覧』(埼玉県地名研究会 1963) ※当館所蔵なし
千葉『千葉県地名変遷総覧』(千葉県立中央図書館 1970 【GC61-1】)
東京『東京府市区町村便覧』(東京地方改良協会 昭14 【R291.36-To468ウ】)
・ 三村清三郎 著『江戸地名字集覧』(名著刊行会 1964 【291.36-M482e-m】)
神奈川・ 梅沢玉吉 編『神奈川県各市郡改町村名大字役場位置表 : 附・郵便局電信局位置並ニ管轄警察署』(西田書房 明24 【特23-331】)

中部

都道府県資料名
新潟『新潟県内の地名の呼び方』(ラジオ新潟 1958 【291.41-R13n】)
富山・ 日本放送協会 著『富山県の地名』(NHK富山放送 1970 【GC89-5】)
石川・ 「皇国地誌」(現存分)(『石川県史資料 近代篇』1-4 石川県 1974-1977 【GC94-23】)
福井・ 「町字名索引」(杉原丈夫 編『越前若狭の伝説』 松見文庫 1970 【KH22-25】)
山梨『山梨県地名鑑』(山梨県 1980 【GC113-36】)
長野・ 長野県 編纂『長野県町村誌』(郷土出版社 1985 【GC117-170】)
・ 滝沢主税 編『明治初期長野県町村字地名大鑑』(長野県地名研究所 1987 【YP5-450】)
岐阜・ 「小地名」(岐阜地理学会, 岐阜県高等学校地理教育研究会 編著『岐阜県地理地名事典』 地人書房 1978 【GC122-45】 pp.266-299)
静岡・ 静岡県史編纂係/〔編〕『静岡県史編纂資料 小字名台帳』(静岡県立中央図書館 2005) ※当館所蔵なし
愛知『愛知県地名集覧』(日本地名学研究所 1969 【GC131-9】)※下記資料の複製
『[尾三郷土史料叢書]. [第1編] (明治十五年愛知県郡町村字名調)』(愛知県教育会 昭和7 【626-5】)
三重・ 浅生丞太郎 著『三重県下市町村要覧』(松村常吉 明34 【特45-942】)

近畿

都道府県資料名
滋賀『市町村・町丁大字・統計区コード』(滋賀県)
京都-
大阪-
兵庫『兵庫県小字名集』(神文書院 1991-2022)
奈良・ 日本地名研究所 編『大和地名大辞典』(名著普及会 1984 【GB11-66】)
小字データベースLeave the NDL website. (奈良女子大学)
和歌山・ 「大字および町名」(『和歌山史要 増補版』 和歌山市 1965 5版 【216.6-W382w】 pp.181-238)

中国

都道府県資料名
鳥取『中海周域小字名彙』([遠藤二郎] 1982 【GC197-41】)
島根『中海周域小字名彙』([遠藤二郎] 1982 【GC197-41】)
岡山・ 「新旧町村対照、町村役場位置、従岡山至大字里程」(岡本綾岳 編『岡山県地理要覧』 細謹舎 明22 【特51-275】 pp.13-36)
広島『住所コード表:町・大字コード』(広島県企画部電子計算課) ※当館所蔵なし
山口・ 「山口県地名集覧」(山口県教育会 編『山口県百科事典』 大和書房 1982 【GB8-99】 pp.931-991)
・ 田村哲夫 著『山口県地名明細書復刻』(マツノ書店 1999 【GC225-G23】)

四国

都道府県資料名
徳島・ 「[Ⅷ]字地名の学習」(森重幸 著『阿波地名の学習』 原田印刷出版 2011 【GC243-J24】 pp.217-275)
香川・ 堀川碧星 著『讃岐の地名とその伝説』(上田書店 1955 【291.82-H671s】)
愛媛・ 日本放送協会『愛媛県地名の呼び方 1965年版』(松山中央放送局放送部放送業務課資料班 1965 【291.83-N684e】)
高知・ RKC高知放送 (報道制作局)[ほか] 著作・製作『高知県地名辞典:地名の読みかた.平成19年版』(半田久米夫 2007 【GC256-H31】)

九州・沖縄

都道府県資料名
福岡『稿本明治前期福岡県町村字名分類索引』([上村重次] 1997-2001 【GB11-G23】)
・池田喜善朗 著『地形から読む 筑前の古地名・小字』(石風社 2013 【GC263-L1】)
佐賀字図データベースLeave the NDL website. (佐賀県立図書館)
長崎『長崎県の小字地名総覧:主な小字地図と小字地名』(草野正一 1999 【YQ5-548】)
熊本・ 「熊本県下の地名」(『熊本県大百科事典』 熊本日日新聞社 1982 【GB8-103】 pp.918-929)
『明治前期熊本県町村字名分類索引 改訂』([上村重次] 2001-2003)
大分・ 「大分県地名総覧」(『大分百科事典』 大分放送 1980 【GB8-85】 pp.869-995)
宮崎・ 「宮崎県地名集覧」(『宮崎県大百科事典』 宮崎日日新聞社 1983.10 【GB8-129】 pp.1023-1038)
・ 平部嶠南 著『日向地誌』(青潮社 1976 【GC287-16】)
鹿児島・ 「鹿児島県地誌」(鹿児島県史料刊行委員会[編]『鹿児島県史料集』1617 鹿児島県立図書館 1976 【GC292-11】)
沖縄『沖縄県市町村別大字・小字名集.昭和51年』(沖縄県土地調査事務局 1976 【GB11-25】)

関連情報