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幕末から昭和戦前期までの対訳辞書

「英和辞典」や「和英辞典」のように、ある言語の意味や用法について、別の特定の言語で解説する辞書のことを「対訳辞書」と呼びます。

ここでは、幕末~昭和戦前期刊行の日本語と他言語の対訳辞書(〇和辞典、和〇辞典/〇日辞典、日〇辞典など)の探し方を、国立国会図書館の所蔵資料を中心に紹介します。
なお、このような辞書類を指す言葉として、対訳辞書のほか、多言語辞書、二言語辞書、外国語辞書、語学辞書、双解辞書などがあります。

本記事で紹介している資料の多くは、マイクロ資料や国立国会図書館デジタルコレクションによる閲覧となります。

書誌事項末尾の【 】は当館請求記号です。

1. 国立国会図書館サーチで探す

戦前期の対訳辞書は、和図書として整理されている場合と、洋図書として整理されている場合があります。

1-1.和図書

国立国会図書館サーチの絞込み条件を開き、各欄に以下を選択・入力して検索します。

出版年
  • 明治期:1868-1912
  • 大正期:1912-1926
  • 昭和戦前期:1926-1945
分類(NDC)(絞り込み条件左下の「項目追加」>「分類」>「NDC」)
※代表的な言語
  • 英語:833*(*をつけて前方一致検索)
  • ドイツ語:843または840
  • フランス語:853または850
  • スペイン語:863または860
  • イタリア語:873または860
  • ロシア語:883または880
  • 中国語:820または 823
  • 朝鮮語:829.1

1-2.洋図書

国立国会図書館サーチの絞込み条件を開き、出版年欄に以下のように年を入力します。その上で、その他の分類欄または件名欄に以下を入力して絞り込むことができます。

出版年
  • 明治期:1868-1912
  • 大正期:1912-1926
  • 昭和戦前期:1926-1945
分類(DDC)(絞り込み条件左下の「項目追加」>「分類」>「その他の分類」)
※代表的な言語
  • 英語:423.9
  • ドイツ語:433.9
  • フランス語:443.9
  • イタリア語:453.9
  • スペイン語:463.9
  • ラテン語:473.9

なお、日本語と各言語の辞典に付与される「495.63*」(*をつけて前方一致検索)で検索できる場合があります。

件名
「Dictionaries△Japanese△言語(English、Germanなど)」を入力(△はスペース)

2. 国立国会図書館デジタルコレクションの「便利ツール」で探す

国立国会図書館デジタルコレクション内のコンテンツ「便利ツール」を用いて、デジタル化済みの辞書類を検索することができます。

便利ツール(1クリック検索)資料の形式による検索(統計・年鑑など)で、「辞書」をクリックすると件名に「辞書」が付与された資料を一括検索できます。対訳辞書を探す場合は、検索結果左側の絞込検索欄のNDC分類>8類 言語を選択し、各言語で絞り込むことができます。

3.冊子体ツールで探す

3-1.国立国会図書館の蔵書目録

各言語の項目(例:英語>語彙・辞書)に採録されています。

3-2.戦前期までに出版された対訳辞書を確認できる資料

当館所蔵の有無を問わず、戦前期までに出版された対訳辞書を言語別に確認できる資料は以下の通りです。

複数言語

  • 宮永孝 著『日本洋学史 : 葡・羅・蘭・英・独・仏・露語の受容』 (三修社 2004 【KE29-H23】)
    本文中におもな語学書(辞典以外の文法書・会話書等も含む)のリストを掲載しています。幕末・明治期が中心です。

  • 『初期日本蘭仏独露語文献集』(雄松堂フィルム出版 [1985] 【YD-338】)※マイクロ資料
    収録内容は、国立国会図書館サーチの書誌詳細画面(目次)で確認できます。東京本館図書別室での閲覧となります。

  • 竹林滋 [ほか]編 『世界の辞書』(研究社 1992 【KE94-E5】)
    世界の言語(約31言語)についての概説書です。本文中に、「日本における○○語辞典」「〇日、日〇辞書」のような項目のもとで、戦前期の対訳辞書について言及されている場合があります(戦後の辞書についてのみ言及されている言語や、戦前は対訳辞書と呼べるものが存在しなかった言語もあります)。

英語

  • 『初期日本英学資料集成』 (雄松堂フィルム出版 c1976 【YD-139】)※マイクロ資料
    幕末・維新期を中心に刊行された図書(「辞書」、「文法」、「音韻・文字」、「単語」、「会話・書簡」、「読本」の6つに分類されています)をマイクロフィルム化したものです。
    収録内容は、国立国会図書館サーチの書誌詳細画面(内容細目)で確認できます。東京本館図書別室での閲覧となります。

  • 早川勇 編纂『日本の英語辞書と編纂者』(春風社 2006 【KS49-H63】)
    江戸中期から終戦までに刊行された英語辞書とその関係者の全体像を紹介しています。

ドイツ語

オランダ語

フランス語

スペイン語・ポルトガル語

  • 坂東省次 編『スペイン関係文献目録』(行路社 2005 【GG6-H1】)
    1868~2005年に日本人によって発表・刊行されたスペイン関係の文献目録です。pp.367-369にスペイン語の辞書・語彙集の目録が掲載されています。
  • 中川清, 児玉悦子「西和辞典の周辺」(『敬愛大学国際研究』(6) pp.127-152 【Z71-B236】)
    文中で主に大正・昭和期に刊行されたスペイン語辞典を取り上げているほか、同時期のポルトガル語辞典についても言及しています。敬愛大学・敬愛短期大学学術リポジトリLeave the NDL website. から全文を閲覧することができます。

イタリア語・ラテン語

ロシア語

  • 「日ソ関係図書総覧」刊行委員会 編『日ソ関係図書総覧 1917-1967』(岩崎学術出版社 1968 【027.4-N861】)
    pp.391-393に1792~1945年に出版されたロシア語の辞書・語彙集が掲載されています。また、pp.516-527に、1782~1964年にソ連(及び革命前のロシア)で出版された日本語学習参考書(辞書を含む)が掲載されています。
  • 雨宮潔 編 『ロシア語の辞書』(ナウカ 1980 【KP99-2】)
    中村善和「日本におけるロシア語辞書の歴史―江戸時代から1945年まで―」(pp.72-78)で、江戸期~昭和戦前期に日本で発行されたロシア語の辞書・語彙集について取り上げています。江戸時代の写本類については、所蔵先について言及されていることもあります。

4. 参考文献など