ジャズ・スタンダードについて調べる
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音楽・映像資料室 作成
ジャズ・スタンダードの解説や楽譜、演奏を探すための主なツールを紹介します。【 】内は当館請求記号です。
1. 概要
ジャズ・スタンダードとは、ジャズ・ミュージシャンたちにより頻繁に演奏されてきた楽曲群、すなわちジャズにおける共通のレパートリーのことを指します。
その中には、元々はブロードウェイ・ミュージカルなどのために作られた歌曲が多く含まれますが(それらは主に20世紀の前半に作られた楽曲で、グレイト・アメリカン・ソングブックと総称されます)、ジャズ・ミュージシャンたちが自ら作ったオリジナル曲や、ボサノヴァの楽曲なども、ジャズの歴史の中で加わっていきました。このページではこれらのレパートリー全体をジャズ・スタンダードとして扱いますが、紹介する資料ごとに扱う楽曲の範囲は異なります。
2. 歌詞や成り立ち等を調べる
- 村尾陸男『ジャズ詩大全』第1-20巻、別巻:クリスマス編、アーヴィング・バーリン編(中央アート出版社 1990-2010【KD841-E433ほか】)
約900曲の歌詞について、解説と和訳を付けているシリーズです。中央アート出版社のウェブサイトで、シリーズ全体の曲目索引が公開されています。
また、同シリーズの電子版のウェブサイト(本文を閲覧するには有料の会員登録が必要)では、曲名や作家名、カテゴリーによる収録曲の検索が可能です。検索結果では、冊子版の収録巻も示されます。 - テッド・ジョイア『ジャズ・スタンダード : 聴いて弾いて愉しむ252曲』(みすず書房 2021【KD286-M278】)
252の楽曲について、曲としての特徴などのほか、それらがどのような演奏を経てジャズ・スタンダードとして定着していったかを解説しています。各楽曲の項目の末尾には、本文で言及されたものを含む、筆者推薦の演奏がリストアップされています。 - Alec Wilder, American popular song: the great innovators, 1900-1950 (Third edition) (Oxford University Press [2022]【KD286-D101】)
初版は1972年に刊行された書籍で、20世紀前半のソングライターたちについて、実際の作例を踏まえながら解説しています。第2~9章の各章で、ジェローム・カーン、アーヴィング・バーリン、ジョージ・ガーシュウィン、リチャード・ロジャース、コール・ポーター、ハロルド・アーレンといった代表的なソングライターについて詳細に取り上げ、以降の章でその他の人物に言及しています。 - JazzStandards.com
ジャズ・スタンダードの情報サイトです。頻繁に演奏されてきた楽曲をランキング形式で1,000曲掲載し、うちトップ300曲について初演やその後の名演についての解説を付しています。また、主要な作詞・作曲家と演奏家について、略歴と、評伝などの参考文献を紹介しています。
3. 楽譜(リードシート)を探す
リードシート(lead sheet)とは、楽曲のメロディーやコードシンボル等をコンパクトにまとめた楽譜です。ジャズ・ミュージシャンたちがジャムセッションで演奏をする際などに使われます。
リードシートをまとめた冊子をフェイクブックとも呼びますが、ここでは「リードシート集」と呼称します。以下では、国内外で刊行されている主なリードシート集や、それらを横断検索するツールを紹介します。
なお、楽譜は1曲でひとつの著作物となるため、著作権保護期間が満了していない場合、著作権者の許諾なしには1曲全ての複写はできません(特に、多くのリードシートのように1ページ以内に1曲の全体が収まっている楽譜は、全く複写できません)。詳しくは著作権に関わる注意事項をご覧ください。
3-1. 国内刊行資料
- 納浩一編著『ジャズ・スタンダード・バイブル』シリーズ(リットーミュージック)
2010年刊行の第1巻【YM11-R1147】、2013年刊行の第2巻【YM11-L365】のそれぞれに227曲が収録され、移調楽器用にそれぞれのB♭譜、E♭譜版も刊行されています。なお、第2巻は2017年に改訂され【YM11-L9485】、収録曲の一部が変更されました。 - 高島慶司編『スタンダード・ジャズのすべて : ベスト401』新版, 第3版(全音楽譜出版社 2012 第1巻【YM311-R55】、第2巻【YM311-R56】)
第1、2巻のそれぞれに401曲が収録されており、歌曲については歌詞や、ヴァース(verse)と呼ばれる導入部(リードシートでは省略されることが多い)まで掲載されているといった特徴があります。
3-2. 外国刊行資料(当館未所蔵のものを含む)
- Leadsheet Search(バークリー音楽大学図書館)
米国で刊行されたリードシート集の目次情報を統合したデータベースで、それらに収録されている楽曲を、曲名及び作曲者名から横断検索できます。
Leadsheet Searchの検索対象となっているリードシート集のうち、主なものに次のシリーズがあります。
- Real Bookシリーズ(当館未所蔵)
1970年代にバークリー音楽大学の学生が作成したリードシート集です。1990年代までに第3巻までが作成され(計1,000曲以上を収録)、著作権上問題のある形で流通していましたが、2004年にHal Leonard社が著作権処理を行い出版したことで合法的に入手できるようになりました。 - New Real Bookシリーズ(Sher Music 1988-1995 1巻【YM311-H2049】、2巻【YM311-H2050】、3巻【YM6-A5】)
上述のリアルブックがまだHal Leonard社から出版されていない時期に、Sher Music社が合法的であることをうたって出版したリードシート集です(各巻末には曲ごとの出典が記載されており、現在はSher Music社のサイトでも閲覧できます)。3冊に計600曲以上が収録されています。
Leadsheet Searchではこのほか、同じくSher Music社から出ているWorld's Greatest Fake Book【YM11-H3969】、Latin Real Book【YM311-H2048】、Standards Real Book【YM311-H2051】も検索対象となっています。
3-3. 関連資料
- Barry Kernfeld, The Story of Fake Books: Bootlegging Songs to Musicians(The Scarecrow Press, Inc. 2006【KD286-D97】)
フェイクブック(リードシート集)の歴史について、1940~60年代のチューン・デックス(Tune-Dex:音楽業界向けの楽曲管理用のカード目録に、リードシートを付けたもの)及びその海賊版の普及を軸に、1970年代のリアルブック編纂までの経緯を詳細に追っています。また、これらの楽譜に使われるコードシンボルが、1930年頃に登場したことにも言及しています。
4. 演奏を探す
- 『ジャズ・スタンダード名曲徹底ガイド』上・下(音楽出版社 2004【Y94-H11031】【Y94-H11032】)
上下巻でそれぞれ200曲について、初演等の基礎的な情報のほか、各曲の名演を収録した「決定盤」を4点ずつ(上巻の一部の曲は12点)と、その他の主な収録盤を3~4点ずつ紹介しています。 - Steve Sullivan, Encyclopedia of great popular song recordings. Volume 1 and 2(Scarecrow Press, Inc. 2013【YM2-D2】), Volumes 3 and 4(Rowman & Littlefield [2017]【YM2-D1】)
ジャズを含む、19世紀末から21世紀初めまでの主に米国における優れたポピュラーソングの録音についての辞典です。第1・2巻は全体を10のプレイリストに分ける構成になっていますが(それぞれ100以上、合計で1,000以上の録音を収録)、第3・4巻は年代順に列挙していく形に変更されています(こちらは約1,700の録音を収録)。 - Second Hand Songs
各楽曲の初演/初録音や、カバーのバージョンを検索できるデータベースです。リサーチ・ナビ「楽曲のカバーについて調べる」の説明もご覧ください。