戦前の日本人の渡航記録について調べる
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科学技術・経済情報室 作成
渡航記録について調べるための資料やインターネット情報源を紹介します。
ここで取り上げる渡航記録とは、主に戦前、船舶によって海外へ渡った日本人(民間人や移民)の記録を指します。
当館が所蔵する移民の渡航記録については、日系移民関係資料(憲政資料室)もあわせてご覧ください。憲政資料室所蔵資料を利用する際は、憲政資料室のページをご覧ください。
【 】内は当館請求記号です。請求記号が記載されていないものは、版によって請求記号が異なります。国立国会図書館サーチでタイトルを入力して検索してください。
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1. 参考文献
史料管理・閲覧室「海外渡航記録の調べ方」(『外交史料館報』33巻 2020年 pp.161-174)
外務省外交史料館による海外渡航記録の調べ方の解説です。戦前に海外へ渡航した移民や民間人の記録について、渡航年月日や旅券発行地、渡航を取り扱った移民会社、乗船名などから調査する方法が紹介されています。
なお、この解説では、外交史料館が所蔵する旅券の発給記録や渡航者名簿をはじめとした史料が多く挙げられています。これらの史料は外務省などの機関が作成・保管していたものであり、主に出版物を収集・保存する国立国会図書館ではほとんど所蔵していません。
外交史料館の利用については、外交史料館ホームページにある利用案内をご覧ください。神繁司「ハワイ・北米における日本人移民および日系人に関する資料について(1)」(『参考書誌研究』(国立国会図書館 年刊 【Z21-291】)通号47 1997.3)(国立国会図書館デジタルコレクション)
ハワイ・北米における移民・日系人に関連する名簿や名鑑を含む資料がリストアップされています。資料によっては解題が付されています。『移民運送船之研究』(外務省通商局第三課 昭和5 【614-81】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
「附錄第六號 移民船ニ關スル統計(遞信省調査) 一、海外航路ニ於ケル本邦移民輸送調」に、明治45(1912)年から昭和2(1927)年までに運航した移民船の船名、発航年月などが航路別に記載されています。渡航年や渡航先は分かっているが乗船した船名が分からない場合や、逆に乗船した船名は分かっているが渡航年や渡航先が分からない場合の調査の参考になります。
2. 名簿・人名事典から調べる
当館で所蔵している主要な海外渡航者の名簿・人名事典には、以下のようなものがあります。
『人名事典「満州」に渡った一万人』(皓星社 2012.10 【D2-J284】)
『人名事典「満州」に渡った一万人. 索引編』(皓星社 2012.10 【D2-J285】)
明治から満州事変までに旧満州に渡った日本人の事典です。各個人の略歴が掲載されています。出身地索引、出身校索引、勤務先索引があります。『海を越えた日本人名事典 新訂増補』(日外アソシエーツ 2005.7 【GB12-H42】)
安土桃山時代から明治20年代までに日本から西洋に渡った日本人の事典です。使節団や留学生のほか、商人、旅芸人、漂流者などの略歴、渡航先や目的を収録しています。『日系移民人名辞典 : 北米編』(日本図書センター 1993.2 【D4-E422】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)
第1巻は『在米日本人人名辞典』(日米新聞社 大正11 【519-15】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)、第2巻は『布哇日本人銘鑑』(布哇日本人銘鑑刊行会 1927 【287.6-So625h】)*(国立国会図書館デジタルコレクション)、第3巻は大正9(1920)年に日加時報社から刊行された、松枝与四松編『加奈陀在留同胞総覧』(原本は当館未所蔵)の複製版です。別巻に、第1-3巻に掲載されている人物の索引があります。『幕末明治海外渡航者総覧』(柏書房 1992.3 【GB13-E58】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
文久元(1861)年から明治45(1912)年までの間に、留学や視察のために日本から海外へ渡航した人物を収録しています。『伯剌西爾行移民名簿』
移民の渡航を扱った移民会社などによる、明治41(1908)年から昭和38(1963)年までにブラジルに渡航した移民の名簿群です。一部はデジタル化されています(国立国会図書館デジタルコレクション)。『ペルー日本人移住史料館所蔵資料』(国立国会図書館(製作) 1991 【VE603-2】)
マイクロフィルムの資料です。「秘露移民航海者名簿」として、明治32(1899)年から大正12(1923)年までにペルーに渡航した移民の名簿が含まれています。
名簿を収録したリール番号を特定するには、書誌詳細画面の「国立国会図書館での利用に関する注記」にあるペルー日本人移住史料館所蔵資料 (PDF file: 46.5 KB)をご覧ください。”Passenger lists of vessels arriviing at Honolulu, Hawaii, 1900-1953 (National Archives and Records Administration microfilm publication ; A3422)”(National Archives and Records Administration 2006 【VE612-19】)
ハワイ島ホノルルに到着した船舶から現地機関に提出された乗船名簿をマイクロフィルムで複製したものです。乗船者の氏名、到着日などが記載されています。”Passenger lists of vessels arriving at San Francisco, 1893-1953 (National Archives microfilm publications ; M1410)”([Scholarly Resources] [19--] 【VE612-2】)
サンフランシスコに到着した船舶から現地機関に提出された乗船名簿をマイクロフィルムで複製したものです。乗船者の氏名が記載されています。
3. 通信・新聞から調べる
通信・新聞には、外航船舶や移民船の発着情報などが記載されていることがあり、渡航時に乗船した船舶や渡航時期の推定などに役立つ場合があります。
3-1. 通信
- 『海商通報』(海商社 【雑45-108】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
明治32(1899)年6月から週に数回発行されていた海事関係の通信です。毎号に船舶の発着表が掲載されています。当館では、発行当初から明治45年6月までの号(欠号あり)を所蔵しています。大学図書館等では当館未所蔵の号を所蔵していることがあります。
3-2. 新聞
全国紙(現在の読売新聞、朝日新聞、毎日新聞など)に掲載されている海運会社の広告に、船舶が各港を出発する日時、航路などが記載されている場合があります。広告の見出しは「○○汽船出帆」(○○は海運会社の会社名)となっていることが多いようです。
また、横浜、神戸など港のある地域の日刊紙、日本で発行されていた英字新聞、海外で発行されていた日系紙などに、日本を発着した船舶や乗客の情報が記載されていることがあります。
港のある地域の日刊紙については、明治・大正時代の主な新聞とその参考文献(関東以外の東日本、関東地域、西日本)もあわせてご覧ください。
日本で発行されていた英字新聞には、例えば以下のようなものがあります。
- ”The Japan weekly mail. [Reprint ed.]”(Edition Synapse 2005-2015 【Z99-1059】)
横浜で発行されていた英字新聞である“The Japan weekly mail”(ジャパンメール新聞社 [1870]-1915 【Z89-70】)と“The Japan daily mail. Weekly edition”(ジャパンタイムス 1915-[1917] 【Z89-70】)の複製版です。
”Shipping Intelligence” ”Latest Shipping”欄に、発着船の情報や乗客名が記載されています。
海外発行の日本語新聞については、海外発行の日本語新聞の所蔵もあわせてご覧ください。
4. 官報から調べる
明治22(1889)年から大正9(1920)年ごろまでの官報には船舶の発着日時が記載されていることがあり、渡航時に乗船した船舶や渡航時期の推定などに役立つ場合があります。
国立国会図書館デジタルコレクションの詳細検索画面で、コレクションの「官報」を選択し、キーワード欄に「出発表」「発著表」などのキーワードを入力して検索してください。キーワードを船舶名や海運会社名とすることも考えられます。出版年月日を指定すると効率よく検索できます。
5. インターネット情報源
国立国会図書館デジタルコレクション
国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できます。タイトル、著者、出版者、目次などのほか、全文テキストデータがある資料は本文に含まれる単語からも検索でき、調べたい人物の名前で検索すると資料がヒットすることがあります。掲載範囲については「全文検索が可能な資料について」を確認してください。沖縄県系移民渡航記録データベース
沖縄県立図書館、ハワイ沖縄系図研究会、沖縄移民研究センターによるデータベースです。
明治33(1900)年から昭和16(1941)年までに沖縄県から海外へ渡った沖縄県系移民約6万件の渡航記録を漢字とローマ字で検索できます。Pioneros(ペルー日本人移民データベース)
ペルー日系人協会とJICA横浜海外移住資料館による、ペルーへの日本人移民のデータベースです。
明治32(1899)年から大正12(1923)年にかけて契約移民として渡航した全員と、1923年から1941年にかけて自由移民として渡航した人々の一部について、データが収録されています。氏名、出身都道府県、船名、ペルーへの到着日、配耕地名などで検索できます。足跡プロジェクト 移民船の乗船者名簿(ポルトガル語)
ブラジル日本移民史料館によるデータベースです。
明治41(1908)年から昭和59(1984)年に移民として日本からブラジルへ渡った23万人について、データが収録されています。航空機で渡航した人々の記録も含まれます。船名、出身都道府県、出発年、氏名から検索できます。
JICA横浜海外移住資料館> ブラジル日本移民史料館『足跡プロジェクト 移民船の乗船者名簿』のページにデータベースの説明があります。Centro de Estudios Migratorios Latinoamericanos (CEMLA)(スペイン語)
アルゼンチンにあるラテンアメリカ移民研究所のホームページです。
アルゼンチンに船で到着し、下船した人々について、年齢、出身地、職業、到着日、船名、出航港などのデータを収録したデータベースを提供しています。トップページに検索画面があり、氏名から検索できます。Immigrant Records at the National Archives> Browse by Port of Entry(英語)
米国国立公文書館(NARA)が提供するwebコンテンツです。
米国国立公文書館が所蔵、デジタル化しているマイクロフィルム資料のうち、船舶や航空機、陸路によって米国各地やカナダに到着した人々の情報が含まれたものを地域別に探せます。寛政12(1800)年から昭和57(1982)年までの記録が対象となっています。
一部の資料は、米国国立公文書館によって公開されています。資料によっては外部のウェブサイトで閲覧できますが、無料または有料の会員登録が必要な場合があります。邦字新聞デジタル・コレクション(スタンフォード大学フーヴァー研究所)
南北アメリカ、ハワイ、アジアなどで発行されていた日系新聞のデジタルアーカイブです。新聞名や発行年月日、記事本文から検索して紙面画像を閲覧できます。乗船者の氏名、船名、「乗船者」といったキーワードで検索するとヒットする場合があります。