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昭和15年度科学動員実施計画綱領及閣議了解事項ニ関スル件

昭和15年4月12日 閣議決定

収載資料:国家総動員史 資料編 第1 石川準吉著 国家総動員史刊行会 1975.8 pp.347-349 当館請求記号:AZ-668-5

昭和十五年度科学動員実施計画綱領
第一章 総則
第一 昭和十五年度科学動員ハ本綱領ニ準拠シテ之ヲ実施スルモノトス
第二 本綱領ノ目的ハ昭和十四年六月十六日閣議決定「昭和十五年度以降国家総動員計画設定方針」ニ基キ長期建設ノ完成ヲ目標トシ国防ノ強化並ニ日満支資源ノ科学的開発利用ニ依ル自給自足ノ確立ヲ主眼トシテ科学研究ヲ振興統制スルト共ニ其ノ実用化ヲ促進シ産業ノ科学的振興ヲ図ルニアリ
第三 本綱領ニ基キ関係各庁ハ昭和十五年度科学動員実施計画設定要領ニ基ク各庁実施計画ヲ設定シ企画院ニ提出スルモノトス
第四 不足資源ノ科学的補填ニ関スル事項ニシテ科学審議会ノ審議ヲ経タルモノニ付テハ原則トシテ其ノ答申ニ基キ之ヲ設定スルモノトス
第五 研究者ノ養成、配当等之ガ充実ニ付テハ人員動員委員会ト密接ナル連絡ヲ保持スルモノトス
第六 本綱領ノ実施ニ当リテハ科学動員委員会ニ於テ関係各庁ノ密接ナル連絡ヲ保持スルモノトス

第二章 科学研究統制方針
第七 科学研究ノ統制ハ研究事項ニ依リ之ヲ行フモノトス
第八 応用研究ニ在リテハ国家総動員上必要ナル研究ノ促進ヲ図ルモノトス
第九 学術研究ハ本章ノ統制外トスルモ之ガ振興ニ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第十 国家総動員上必要ナル研究中左記ニ該当スルモノヲ重要研究トス
イ 自給原料ニ依重要金属ノ生産ニ関スル研究
ロ 自給原料ニ依ル重要化学品ノ生産ニ関スル研究
ハ 燃料ニ関スル研究
ニ 探鉱ニ関スル研究
ホ 各種合金及特殊鋼ニ関スル研究
ヘ 農林畜水産資源ニ関スル研究
ト 代用品ニ関スル研究
チ 精密機械ニ関スル研究
リ 化学機械、鉱山機械及農林畜水産機械ニ関スル研究
ヌ 電気機械ニ関スル研究
ル 航空機、自動車、鉄道車輌及船舶ニ関スル研究
ヲ 電気通信ニ関スル研究
ワ 防空ニ関スル研究
カ 防疫ニ関スル研究
ヨ 兵器ニ関スル研究
タ 其ノ他科学動員ノ目的達成ニ必要ナル重要研究

第三章 研究期間ノ連絡統制
第十一 各庁ハ所属ノ研究機関ニ於テ重要研究ノ促進ヲ図ルモノトス
第十二 各庁ハ所属ノ研究機関ニ於ケル国家総動員上必要ナル研究事項及予算ノ概要ヲ企画院ニ報告スルモノトス
第十三 企画院ハ各庁ノ報告ヲ整理シ関連アル研究ニ付テハ連絡会ヲ設クル等ノ方法ニ依リ総合的ニ連絡調整シ之ガ振興ヲ図ルモノトス
第十四 教育機関ニ於ケル研究中学術研究ハ本章ノ適用外トスルモ然ラザルモノハ第十二及第十三ニ準ジ連絡統制ヲ図ルモノトス
第十五 各庁ハ公共団体及民間ノ研究機関ニ於テ国家総動員上必要ナル研究ノ促進ヲ図ラシムル為必要ナル措置ヲ講ズルモノトス

第四章 研究補助奨励ノ統制
第十六 試験研究ニ対スル各庁ノ補助奨励金ハ重要研究ニ優先的ニ交付スルモノトシ之ガ企画及実施ノ概要ニ関シテハ企画院ニ報告スルモノトス
第十七 試験研究ニ対スル公共団体ノ補助奨励ハ第十六ニ準ジ各庁之ヲ統制スルモノトス
第十八 試験研究ニ対スル民間団体ノ補助奨励ノ連絡統制ヲ図ル為組合ヲ結成セシムル等ノ措置ヲ講ズルモノトス

第五章 国家総動員法ノ運用
第十九 重要研究中必要ナルモノニ対シテハ国家総動員法第二十五条ニ依ル総動員試験研究令ニ依リ試験研究ヲ命令スルモノトス
国家総動員法以外ノ法令ニ依リ研究ヲ命ジ得ルモノ及単ニ補助奨励金交付ニ依リ研究ヲ助成スルモノニ在リテモ差支ナキ限リ統一的ニ総動員試験研究令ヲ適用スルモノトス
第二十 各庁ハ試験研究ノ命令ニ付其ノ実施計画ヲ企画院ニ提出スルモノトス
第二十一 命令研究ニ対シテハ研究者及研究用資材ヲ優先的ニ配当スル等之ガ促進ニ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第二十二 命令研究ノ実施ニ要シタル資本的支出ニシテ研究者ノ事実上ノ利益金ニヨリ支払シタルモノニ対シテハ臨時租税措置法ノ免税条項ノ適用ニ当タリ特別ノ考慮ヲ為スモノトス
第二十三 命令基礎研究ニシテ完了セルモノハ審査ノ上之ガ実用化試験ノ促進ニ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第二十四 命令実用化試験ニシテ完了セルモノハ審査ノ上之ガ企業化ニ必要ナル助成ノ方法ヲ講ズルモノトス

第六章 研究用資材ノ配当
第二十五 各庁ハ所属及所管ノ学校、研究機関、事業等ニ於ケル所要ノ研究用資材ニ付其ノ需要額ヲ企画院ニ提出スルモノトス
但シ命令研究用資材ニ付テハ其ノ主務官庁之ヲ提出スルモノトス
第二十六 企画院ハ研究用資材ノ需要額ヲ査定シ之ガ配当計画ヲ設定スルモノトス
第二十七 配当計画設定ニ当リテハ官庁研究、学術研究、命令研究及之ニ準ズルモノニ重点ヲ置クモノトス

第七章 研究ノ実用化促進
第二十八 発明研究ノ実用化ヲ促進スル為特許権其ノ他ノ工業所有権ノ実施開拓等ヲ促進スル制度ニ関シ企画スルモノトス
第二十九 不足資源ノ補填ニ関スル研究ノ実用化試験ヲ促進スル為之ガ総合的実用化試験施設ノ設置ニ関シ企画スルモノトス
第三十 実用化試験ノ成績良好ナルモノニ対シテハ企業化ノ促進ニ関シ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス

第八章 産業ノ科学的振興
第三十一 自給原料ノ科学的利用計画並ニ科学的見地ニ基キ関連アル産業ニ関スル総合計画ヲ設定スルモノトス
第三十二 技術ノ改善、企業ノ能率化等ヲ図ル為必要ニ応ジ技術ニ関スル組合ヲ結成セシムル等ノ措置ヲ講ズルモノトス
第三十三 生産能率ノ向上、重要資材供給力ノ増強等ニ関ル為戦時規格設定ノ促進其ノ他適切ナル措置ヲ講ズルモノトス
第三十四 海外ニ於ケル科学研究及技術ノ特別調査ニ必要ナル機関ノ整備ニ関シ企画スルモノトス

第九章 中央統制機関ノ整備
第三十五 科学動員促進ノ為中央統制機関ノ整備ニ関シ企画スルモノトス
第三十六 中央統制機関ハ必要ト認ムル研究機関ヲ其ノ機構内ニ包含スルコトヲ得ルモノトス

軍事上ノ機密ニ関スル事項ノ報告等ノ取扱ニ関スル件
(閣議諒解事項)
昭和十五年度科学動員実施計画綱領ニ依リ各庁ヨリ企画院ハ提出スル報告等ニシテ軍事上ノ機密ニ関スルモノハ差支無キ程度ノ概要ニ止ムルコトニ取扱フモノトス