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総力戦研究所設置ニ関スル件

昭和15年8月16日 閣議決定

収載資料:昭和社会経済史料集成 第10巻 大久保達正(他) 大東文化大学東洋研究所 1980.3 pp.534-535 当館請求記号:GB631-37

近代戦ハ武力戦ノ外思想、政略、経済等ノ各分野ニ亘ル全面的国家総力戦ニシテ第二次欧州大戦ハ本特質ヲ如実ニ展開シ支那事変ノ現段階モ亦カカル様相ヲ呈シツツアリ皇国力有史以来ノ歴史的一大転機ニ際会シ庶政百般ニ亘リ根本的刷新ヲ加ヘ万難ヲ排シテ国防国家体制ヲ確立センカ為ニハ総力戦ニ関スル基本的研究ヲ行フト共ニ之カ実施ノ衝ニ当ルベキ者ノ教育訓練ヲ行フコト必要ニシテ此ノ事タルヤ延テ政戦両略ノ一致並ニ官吏再訓練ニ貢献スルコト少カラスト認メラル依テ左記要領ニヨリ総力戦研究所ヲ設置シ総力戦態勢整備ノ礎石タラシムルコト現下喫緊ノ要務タリ


一、総力戦研究所ハ国家総力戦ニ関スル基本的調査研究ヲ行フト共ニ総力戦実施ノ衝ニ当ルベキ者ノ教育訓練ヲ行フヲ以テ目的トスルコト
二、総力戦研究所ハ内閣総理大臣ノ監督ニ属スルモノトスルコト
三、総力戦研究所ハ所長(陸海軍将官又ハ勅任文官)並ニ所員若干名ヲ以テ構成シ各庁並ニ民間ニ於ケル優秀ナル人材ヲ簡抜スルコト
四、研究員ハ差当リ文武間及民間ヨリ簡抜シタル者若干名ヲ以テ之ニ充テ其ノ教育期間ハ概ネ一年トスルコト
五、研究所ハ至急之ヲ開設シ先ヅ所員ヲ以テ総力戦ニ関スル基本的調査研究ヲ行ヒ昭和十六年度ヨリ研究員ノ教育訓練ヲ実施スルモノト予定スルコト
六、本件ニ関スル経費ニ付テハ適当ナル措置ヲ講スルモノトスルコト