昭和17年度石炭生産力拡充実施計画設定方針並に実施方策

昭和17年5月8日 閣議決定

収載資料:石炭国家統制史 日本経済研究所 1958.7 p.358 当館請求記号:567.9-N685s
第1 設定方針
昭和17年度石炭生産拡充実施計画設定ニ当リテハ特ニ現下ノ船腹不足ニ対処シ輸送ノ見地ヨリ生産ノ調整ヲ行フト共ニ優良炭増産ニ重点ヲ置キ後年度出炭増加ニ対シ資材不足ノ影響ヲ極力緩和セシムルガ如ク措置スルモノトス
(1)内地
原料用炭ガス発生炉用炭其ノ他ノ優良炭ノ積極的増産ニ努ムルト共ニ輸送条件ヲ考慮シ九州炭ノ増産ニ重点ヲ置キ更ニ常磐炭ニ付テモ一層増産ニ努ムルモノトス
新坑開発其ノ他後年度出炭準備ニ対シテハ資材不足ノ実情ニ鑑ミ之ガ配当ニ付テハ特段ノ工夫ヲ行ヒ拡充設備ノ進歩ヲ図ルモノトス,坑枠用レールハ鉄道用古軌条ノ供出ニ依リ極力之ガ充足ニ努ム
(2)朝鮮
有煙炭不足ニ対処シ可及的ニ其ノ増産ヲ希図スルト共ニ無煙炭ニ付テハ之ガ需給状況ニ鑑ミ其ノ生産ヲ概ネ現状維持程度ニ止ム
(3)台湾
南方地域ノ需要増大ニ備ヘ可及的ニ増産ニ努ムルモ船腹ノ実情ニ即応セシムルガ如ク之ガ実施ヲ行フモノトス
(4)樺太
海上輸送ノ見地ヨリ差当リ生産ヲ抑制セルモ将来ニ於ケル輸送力増大ヲ考慮シ特ニ原料用炭及ガス発生炉用炭増産ノ態勢ヲ整備スルモノトス
(5)支那
資材及輸送力不足ニ対処シ重点主義ヲ徹底セシメ強粘結炭及優良無煙炭ヲ主眼トシ増産ヲ行フト共ニ之ガ供給確保ヲ図ル為メ可及的ニ鉄道,電力及港湾施設ノ整備ニ努ム

第2 実施方策
本計画ノ実施ニ当リテハ左記ノ諸項ニ関シ万般ノ措置ヲ講ジ石炭生産拡充ノ完遂ヲ期スルモノトス
(1)優良炭増産 (2)炭質向上(3)資材ノ有効利用(4)操業合理化(5)技術ノ向上
(6)鉱区ノ整理 (7)労力確保(8)技術職員ノ養成