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地下資源緊急開発措置要綱

昭和18年8月27日 閣議決定

収載資料:国立公文書館所蔵公文別録 89 ゆまに書房 1997.5 337-343 当館請求記号:YC-98

第一 方針
現下重要鉱物ノ国内自給体制ヲ強化促進スルノ緊要ナルニ鑑ミ官民関係技術者並ニ学校職員及学徒ヲ動員シテ有望鉱山ノ発見並ニ未開発鉱山ノ一斉調査ヲ実施シ地下資源有用鉱物ノ開発強化ニ邁進セントス
第二 要領
一、未開発鉱山ノ一斉調査
(一)全国ノ有望ナル鉱山地帯ニ付一定計画ノ下ニ一斉調査ヲ行フ
(二)差当リ鉄鉱、満俺鉱、水銀、水鉛、銅、亜鉛、安質母尼、石綿及アルミニウム原鉱ニ付調査ス(銅ニ付テハ既ニ実施中)
二、資源情報ノ蒐集並ニ之ニ基ク特別調査
(一)政府ニ於テ重要鉱物ノ国内供給力強化ノ緊要性並ニ之等鉱石ノ特質等ヲ必要方面ニ周知セシメ之ガ探求ヲ相当期間継続シテ奨励ス
(二)資源情報ハ一切之ヲ各所轄鉱山監督局ニ集中セシムルヤウ指導ス
(三)右ニ基キ有望ナルモノニ付テハ別ニ調査(特別調査ト称ス)ヲ行フ
(四)調査ノ結果当該資源ガ特ニ優良ナルモノニシテ且政府ニ於テ之ガ発見ニ特ニ貢献シタリト認ムル者アル時ハ適宜報奨ノ措置ヲ講ズルコトアルモノトス
三、調査隊ノ組織運営
(一)調査隊ハ中央及各鉱山監督局所轄区域毎ニ概ネ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織シ、其ノ庶務ハ商工省金属局及各地方鉱山監督局ニ於テ之ヲ掌ルモノトス
(1)商工省職員
(2)地質調査所職員
(3)鉱山監督局職員
(4)鉱山統制会職員
(5)民間鉱山技師
(6)大学専門学校鉱山関係教授及学生
(二)調査隊ハ之ヲ適宜ノ班ニ分チ夫々前記一斉調査又ハ特別調査ニ当ラシム
(三)民間鉱山技師ノ調査委嘱ニ際シテハ之ヲ嘱託トシテ公務員タルノ責任ヲ負ハシムルト共ニ被調査者ヲシテ疑惑ノ念ヲ抱カシムル如キコトナキ様厳正注意ス
(四)調査ニ当リテハ学徒戦時動員ノ一環トシテ大学及専門学校ノ教授及学生ヲ可及的動員参加セシム
(五)鑑定分析等ニ付テハ主トシテ鉱山監督局ノ分析施設ヲ活用スルコトトシ必要ニ応ジ関係学校又ハ工業試験所等ノ施設ヲモ併セ活用ス
(六)学校、工業試験所又ハ其ノ職員等鉱山ニ関シ調査鑑定分析等ノ依頼ヲ受ケタルトキハ其ノ結果ニ付必ズ鉱山監督局ニ報告セシム
(七)調査ニ際シテハ単ニ鉱石ノ有無、品位等ノミナラズ必要ニ応ジ之ガ開発起業ノ適否、其ノ方法等ニ付テモ具体的ニ調査ス
其ノ他
(一)本件実施ニ関シ必要ナル予算的措置ヲ講ズ
(二)朝鮮及台湾ニ付テハ其ノ特殊性ヲ考慮シ概ネ本件ニ準ジ之ヲ実施ス此ノ際内地技術者ノ応援ニ付特ニ考慮ス