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帝都及重要都市ニ於ケル工場家屋等ノ疎開及人員ノ地方転出ニ関スル件

昭和18年10月15日 閣議決定

収載資料:内閣制度百年史 下 内閣制度百年史編纂委員会 内閣官房 1985.12 pp.251-252 当館請求記号:AZ-332-17

第一 方針
一、九月二十一日閣議決定ニ係ル帝都及重要都市ノ防衛ヲ全クスルタメニ行フ工場家屋等ノ疎開ハ強力ナル防空都市ヲ構成スル如ク計画的ニ之ヲ実施スルモノトス
二、人員ノ地方転出ハ原則トシテ勧奨ニ依ルモノトス
三、本件ハ総合国力ノ強化ニ資シ且家族主義ノ精紳ニ悖ラザル如ク指導スルモノトス
第二 要領
一、工場家屋等ノ疎開及人員ノ地方転出ハ差当リ京浜、阪神、名古屋及北九州地域ニ属スル重要都市ニ付之ヲ実施スルモノトス
二、除却又ハ転用スベキ建築物ハ概ネ左ノ各号ニ付之ヲ具体的ニ定ムルモノトス
1 重要工場等ノ周辺又ハ重要区域ニ造成スル空地又ハ空地帯内ノ建築物
2 企業整備等ニ伴ヒ不要トナルベキ建築物
3 勧奨等ニ依リ転出スル会社、団体又ハ個人ノ家屋、店舗、事務所等
三、疎開ニ伴フ人員ニシテ当該都市ニ居住ヲ要スルモノニ対シテハ努メテ住居ノ斡旋ヲ為スモノトス
四、人員ノ転出先ハ能フ限リ第一項ノ重要都市及軍事上ノ重要都市ヲ除ク他ノ地域トシソノ転出ニ付可及的便宜ヲ供与スルモノトス
五、人員ノ地方転出ハ輸送事情等ヲ考慮シ逐次之ヲ実施ニ移スモノトス
六、転出先ノ家屋ソノ他ノ建築物ニ付テハ極力既存又ハ遊休ノモノヲ活用スルコトヲ旨トシ能フレバ撤去セルモノノ移築ヲ為ス等新ニ資材ヲ要スル増新築ハ努メテ之ヲ避クルモノトス
七、第一項ノ重要都市ヘノ人口ノ転入ハ能フ限リ之ヲ抑制スルノ方途ヲ講ズルモノトス
八、防空法改正ニ際シ本件実施上必要ナル条項ノ整備ヲ為スコト