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農林漁業復興資金融通に関する暫定措置

昭和23年9月3日 閣議決定

収載資料:日本金融史資料 昭和続編 第19巻 日本銀行金融研究所 大蔵省印刷局 1989.3 pp.586-587 当館請求記号:DF123-41

農林漁業の復興のため必要な資金は、資金の特質上これを一般金融機関に仰ぐことが極めて困難な現況にある。従つてこれを打開するため必要な恒久的な金融機構については新たに制定せらるべき金融業法の趣旨に基いて考究しその実現を図ると共に、それまでの期間においては取敢へず左の要領により暫定的金融措置を講ずるものとする。
一、農林中央金庫は農林漁業復興資金に充てるため昭和二十三年度第二・四半期以降同年度中に於て四十億円を限度として農林漁業団体に対して融資するものとする。
二、右所要額は農林中央金庫においてこれに相当する額の農林債券を発行し復興金融金庫においてこれを引受けるものとする。
農林債券引受の条件は本資金融通の特質に鑑み復興金融債券発行の条件と概ね同一とする。
三、右の資金は左の用途にあてるものとする。
(一)耕地の改良造成又は復旧のため必要な資金
(二)造林又は林道の開発若しくは復旧のため必要な資金
(三)漁礁又は船だまりの修築のため必要な資金
(四)農林漁業者の共同利用に供する機械又は設備のため必要な資金
(五)前各号に準ずる農林漁業復興のための資金で六の審議会で認めたもの
四、農林中央金庫は主務大臣が六の審議会に諮つて定める融資取扱要領により資金の融通をするものとする。
五、農林中央金庫は本資金に関してはその経理を明白にするため特別勘定を設ける。
六、此の資金の適切公正な運用をはかるため関係官吏、日本銀行、農林中央金庫、復興金融金庫の役員並びに学識経験者を以て組織する農林漁業復興金融審議会を設ける。
七、本暫定措置による農林中央金庫の融資については、これがための恒久的機構が設けられたときは新機構がこれを承継するものとする。
備考
 本措置による資金計画は、総合資金需給計画、復興金融金庫資金計画と共に経済安定本部においてこれを策定する。

別紙 農林漁業復興金融審議会規程
第一条 農林漁業復興金融審議会(以下審議会という。)は、農林漁業復興資金融通に関する暫定措置に関する件(昭和二三年九月三日閣議決定)に基き農林中央金庫の行う農林漁業復興資金(以下復興資金という。)の融通に関し、必要な事項を調査審議することを目的とする。
第二条 審議会は、左に掲げる事項について、主務大臣の諮問に応ずるものとする。
一 復興資金融通取扱要領
二 復興資金融資事業別運用計画
三 その他復興資金の融通に関し主務大臣が必要と認めた事項
2 審議会は、必要と認めたときは、復興資金の融通に関し主務大臣に意見を具申することができる。
第三条 審議会は、委員十二人以内を以て組織する。
2 委員は、左に掲げるものをもつて充て、主務大臣が命じ、又は依嘱する.
一 経済安定本部、大蔵省及び農林省の関係官吏各二人以内
二 日本銀行理事               一人
三 農林中央金庫理事長
四 復興金融金庫理事長
五 学識経験のある者             二人以内
3 委員長は、委員である農林中央金庫理事長をもつて充てる。
第四条 委員長は、会務を総理する。
2 委員長に事故があるときは、委員長の指名した委員がその職務を代理する。
第五条 審議会に幹事を置き、庶務を整理させる。
2 幹事は、左に掲げるものをもつて充て、主務大臣が命じ又は依嘱する。
一 経済安定本部、大蔵省及び農林省の関係官吏各二人
二 日本銀行の職員              一人
三 農林中央金庫の役職員           二人
四 復興金融金庫の職員            一人
第六条 審議会に書記を置き、庶務に従事させる。
2 書記は、主務大臣が命じ又は依嘱する。