Jump to main content

石炭鉱業等赤字処理要綱

昭和24年3月15日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 pp.319-320 当館請求記号:DG15-19

石炭鉱業その他の鉱業及び電気事業において昭和二十三年の公価改訂に至る迄の間に発生した赤字のうち、生産目標達成のため政府が企業経営に強力な干渉を行う等の特殊性に基いて不可避的に発生したことが明かであって、企業の負担に帰することが不合理なものについては、政府において速かに財政補償を行い、以て今後における企業の合理的な経営の基礎の強化に資するものとする。

一、補償金額
政府が補償すべき金額は左の通りとする。(別紙参照)
(イ)石炭鉱業       一三、四二七百万円
(ロ)石炭鉱業以外の鉱業  三二八百万円
(ハ)電気事業       二、九九二百万円
計          一六、七四七百万円
二、補償方法
石炭鉱業に対する補償金額のうち二、六三三百万円は本年度予算により補償し、税金その他特定未払金の支払に充てさせ、石炭鉱業に対する補償残額一〇、七九四百万円並びに石炭鉱業以外の鉱業及び電気事業に対する補償の金額の合計一四、一一四百万円は交付公債を以て支給し復金融資の返済に充てさせる。
註(一)財政補償金額のうち予算により措置する分は、既に第四国会通過の価格調整費予算中に計上済である。従って今後新に措置を要するのは交付公債による分のみである。
(二)本要綱による補償金額については課税上益金に算入しないこととし、要すれば法的措置を講ずる。
三、本措置による以外の赤字については、企業をして棚卸資産の評価益、不要資産の処分益、今後の企業努力等により逐次償却させる。
四、復金赤字融資額のうち交付公債による償還後なお残る額については本措置後概ね五年を限度として完済せしめる目途をもって、企業毎に償還計画を立てさせ、これが実行について特別の指導監督を加える。
備考
石炭鉱業、石炭鉱業以外の鉱業及び電気事業の運営については、その自主性を強化し、企業が合理的に経営される限り、不当に欠損が発生累積することがないよう措置を考慮する。

附表 A
石炭鉱業赤字補償内訳表
第一、要補償赤字額
1 二十二年七月-九月
物品費経費               五八〇百万円
2 二十二年十月-二十三年六月
(イ)労務費              一〇、五六四百万円
(1)基準外七%増           四五一百万円
(2)法定福利費超過          四九九百万円
(3)生産奨励金            三、七二二百万円
(4)坑内夫増産意慾確保特別措置    八五九百万円
(5)二十三年四月-六月賃金差額    四、八七二百万円
(6)寒地手当             一六一百万円
(ロ)物品費              二、〇七三百万円
3 二十二年度米価補償          五〇百万円
4 復金融資利息支払増          一六〇百万円
計                  一三、四二七百万円
第二、補償内訳
予算措置               二、六三三百万円
交付公債               一〇、七九四百万円
計                  一三、四二七百万円
第三、復金赤字融資
総額                  一二、五七一百万円
交付公債による償還          一〇、七九四百万円
償還計画による償還          一、七七七百万円

附表 B
石炭鉱業以外の鉱業赤字補償内訳表
第一、要補償赤字額
昭和二十三年五月、六月人件費       三二八百万円
第二、復金赤字融資
総額                   三六五百万円

附表 C
電気事業赤字補償内訳表
第一、要補償赤字額
1 昭和二十一年十一月-二十二年三月人件費 五六二百万円
2 昭和二十三年一月-六月人件費      二、四三〇百万円
計                   二、九九二百万円
第二、復金赤字融資
総額                  二、八三八百万円
回収済額                一〇六百万円
現在額                二、七三二百万円