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戦災復興都市計画の促進について

昭和24年10月4日 閣議決定

収載資料:戦災復興誌 第1巻 建設省編 都市計画協会 1959.3 pp.64-67 当館請求記号:318.2-Ke119s

戦災復興都市計画に関しては、昭和24年6月24日閣議決定の「戦災復興都市計画の再検討に関する基本方針」に基き戦災復興対策協議会に諮問の上得られた答申により、強力に推進し、都市復興の速かなる完遂を期するものとする。
戦災復興対策協議会答申書
昭和24年9月23日
戦災復興対策協議会 委員長 益谷 秀次

建設大臣 益谷 秀次殿
戦災復興都市計画の再検討に関する基本方針に基く再検討の結果別紙の通り御報告致します。
戦災復興都市計画事業再検討結論
戦災復興都市計画の再検討に関する基本方針(昭和24年6月24日閣議決定)並に戦災復興都市計画再検討実施要領(昭和24年7月9日戦災復興対策協議会決定)に基き各都市別にその計画並に事業につき再検討した結果概ね次のような結論が得られた。
1 計画
(1)街路
街路計画は主として広幅員街路の幅員について検討した。その結果幅員100メートルのものは従来16路線が4路線に、44メートル乃至80メートルのものは128路線から65路線に、30メートル乃至43メートルのものは491路線から456路線に減少した。
而して幅員30メートル以上の広幅員街路の合討は635路線から525路線に減少した。
(2)公園、緑地
公園緑地の計画については出来得る限り縮少することとし、特に焼残り家屋の多い公園緑地域は帯状の緑地で広幅員街路と重複のきらいのあるものは之を廃止することとした。東京都について見れば再検討の結果総面積において約400万坪、40%の縮少を見ることになつた。
2 土地区画整理事業施行区域
復興土地区画整理の施行範囲は従来全国115都市につき面積1億坪であつたが5箇年計画に於ては都市数について事業の概ね完了した30都市を除き85都市、事業面積に於て77,416千坪、別に平和文化都市事業として施行すべき面積4,152千坪、港湾都市整備事業として施行すべき面積 3,500千坪、計85,068千坪となつた。
但し右によつて除外せられた区域中にはこの事業とは密接な関連のある区域或は既往の処置の関係等より実質上整理施行を必要とする区域も含まれておるので、これらの区域はこの事業完成後又は戦災復興事業以外の別途事業によつて引続き又は併行的に実施せられねばならないであろう。従つて土地区画整理の事業区域の変更に就ては別に検討を加え変更又は廃止の手続きがとられることになる。
3 事業
復興事業費は面積1億坪の範囲につき従来約500億円を要する予定であつたが施行範囲の縮少、設計内容、事業内容等の検討の結果、戦災復興事業として約296.5億円、平和文化都市事業(戦災復興関係のみ)として約245億円、港湾都市整備事業(同上)として約10億円、計333億円に減額せられた。但し右の数字は5箇年間に緊急整備を要する事業内容を厳選した結果であつて、この事業範囲の一応の整備を完成するためには尚約67.2億円の残事業費を要する予定である。
各事業費目別の再検討の結果は次のようである。
(1)土地区画整理事業
土地区画整理事業費は施行範囲の縮少、並に事業内容の検討によつて従来254.3億円であつたが、約3割5分を節減し、162億円となつた。
但し後年度に実施を可とする堅牢建築物、戦災焼残り建築物又は僅かな拡幅道路上にある建築物等の移転並に之に伴う整地工事及び用地補償金の支払の一部はこの事業費の範囲外となつたから之等の事業は後年度に引続き実施せられねばならない。
事業費の節減せられた主な内訳は次の通りである。
イ 瓦礫の清掃工事を大都市の一部を除き別途事業にしたことによる節減 約10.5億円
ロ 宅地の整地工事を在来水路の埋戻し、土地の切均し等止むを得ないものに限定したことによる節減並に後年度実施の建物移転に伴う整地工事の減少による節減 約23.2億円
ハ 堅牢建物、焼残り建築物其の他後年度施行に譲つた要移転建物戸数の節減(400戸)並に街路、公園等の設計の変更、換地設計の変更等による要移転戸数の節減(約300戸)その他電柱移転、墓地移転等の減少による節減 約18.4億円
ニ 用地の減歩補償金の一部支払を後年度に実施することにしたための節減 約303億円
ホ 区域縮少に伴う確定測量、換地清算費其他一般事務費の節減 約9.9億円
(2)街路事業
工法は従来とも路面工は砂利敷、橋梁は木橋として最小限度の計画であつたため工法に関しては検討の余地がなかつた。区画整理施行地区の縮少と設計の変更により、約15%(13,8億円)節減した。
(3)河川水路事業
換地指定に支障を来すもの並に排水上已むを得ないもののみを計上した。尚在来の水路を極力利用するよう検討したため約50%(10.4億円)節減した。
(4)瓦斯事業
在来道路の改廃に伴い換地指定上支障ある移設工事のみ計上した。従来は3インチ以上のもののみを計上したが3インチ以下のものであつても主管となるものは計上する必要があるので延長、事業費とも増額を来した。約9%(0.3億円)
(5)電纜整備事業
設計の変更により極力移設を少くしたため約28%(0.6億円)節減した。
(6)鉄道軌道事業
換地指定上支障あるもの並びに街路の片側拡幅に伴い中心移設を要するもののうち、特に交通上支障あるもののみを計上し、約28%(3.4億円)節減した。
(7)公共空地事業
下記の方針により検討を加え事業費の節減に努力した。
イ 用地の確保に重点をおくこと。
ロ 簡単な整地と最小限度の施設を行つて一応利用に遺憾なからしめること。
ハ 事業は児童公園の整備に重点をおき大人の利用する運動広場の如きは簡単な施設に止めること。
以上の方針に基いて削減し得た金額は58億円である。即ち当初計画の約15%の10億円となつた。
(8)上水道事業
区画整理事業に伴う上水管の移設に限定し、区画整理面積の縮少並に極力既設管を利用するように設計内容を検討した結果既定計画の14%(8.7億円)の節減を来した。
(9)下水道事業
区画整理事業に伴う下水管の移設に限定し、区画整理面積の縮少並に極力既設管渠を利用する様に設計内容を検討した結果既定計画の40%(27億円)の節減を来した。
なお、上下水道の性質上移設のみでは給排水の円滑を期し難いからこれを補足するためには別途事業が考慮されなげればならない。
4 戦災都市における建築制限の緩和
戦災都市における建築物の制限に関する件(昭和21年勅令第389号)について、別紙の通り適用区域を土地区画整理事業を施行する区域に限定し、仮設建築物の許可基準のうち床面積の制限及び建築面積の敷地面積に対する比率の制限を削除するように改正する。