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農業災害補償制度に関する件

昭和26年3月23日 閣議決定

収載資料:続農業災害補償制度史 第1巻・本編 農林省農林経済局農業災害補償制度史編纂室編 農林省 pp.268-269 当館請求記号:611.59-N914

農業災害補償制度については、今後別紙に掲げる根本的改善措置を議し、運営の遺憾なきを期するとともに、農業共済組合連合会の不足金につき、さしあたり次の措置を講ずるものとする。
一 農林中央金庫をして必要なる融資を行わしめるものとする。
二 これに要する資金については農林中央金庫の発行する金融債の預金部引受けの外、大蔵、農林両省において農林中央金庫の資金操作に極力応援するものとする。又農林中央金庫の自己資金及び本件資金で不足する分については、日本銀行において特に資金援助を行うものとする。
三 右に関連し、政府において別紙記載の方針決定の上、右の融資に伴う金額につき利子補給等の方途を至急講ずるよう考慮する。
四 水稲については昭和二十七年度における料率改訂までの暫定措置として、昭和二十六年度水稲につき、特に災害の多い一二府県について、現行共済掛金率中、農家負担額の二〇%に相当する金額の範囲内において、昭和二十六年度までにおける推定不足金(A)が、昭和二十六年度の水稲に係る連合会の保険料手持額に相当する金額(B)を超える金額(C=A-B)を目標額として特別積立金を徴する。
(別紙)
一 農業共済組合連合会の不足金については左の方針により措置することとする。
(一)不足金の要因を分析検討して、根本的改善実施の時期に根本的処理方策を検討するものとする。
(二)連合会の収支の総合調整を図るため政府の管理下に農業共済組合連合会調整基金(プール基金)を設けることを考慮する。
二 共済掛金率の改訂は左により行う。
(一)共済掛金率については最近の被害実績にウェイトを附するとともに通常共済掛金率については安全率の引上げを行なう。
(二)異常共済掛金率及び超異常共済掛金率については,新たに若干の安全率を見込むとともに、両者を区分する異常標準被害率の算定については、従来標準被害率の決定につき採用した方法に準じてこれを行う。
(三)危険階級の開き方を実態に合うよう指導する。
前各号の共済掛金率の改訂を実施するに当たっては、農家負担を合理的線に維持するよう共済掛金負担区分の変更につき別途考慮する。
三 損害調査については作報組織との連絡協調を図るとともに損害評価の適正化につき努力する。
四 左の事項については今後制度の改善を図る見地で研究するものとする。
(一)農作物については共済引受を農家単位に改めること。
(二)共済掛金率の改訂を五年以内においてもなし得る途を開くこと。
(三)農業共済組合連合会においても特定の場合に限り支払保険金額の削減をなし得るものとすること。
(四)蚕繭に対する国庫負担率を農作物に対するそれと均衡を図るよう調整すること。
(五)農業共済組合と農業共済組合連合会との共済責任の分担につき調整すること。