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昭和3年度概算方針ノ件

昭和2年5月31日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 第3巻 大蔵省昭和財政史編集室 東洋経済新報社 1975.9 pp.603-604 当館請求記号:342.1-O635s

前内閣ニ於テ編成シタル昭和二年度予算ニ基ク後年度ノ概計表ニ依レハ同年度以降昭和五年度ニ亘リ歳入歳出差引歳入不足ニシテ其ノ不足総額ハ右四箇年度ヲ通シ四億五千二百十六万二百二十九円ニ達シ内一億四千七百万円ハ之ヲ公債ニ仰キ三億五百十六万二百二十九円ハ前年度剰余金ヲ以テ之ヲ填補スルノ計画ナリ従テ大正十四年度剰余金中使途未定ノ残額ハ僅ニ二千万円弱ニ過キス他方大正十五年度昭和元年度ノ歳計状況ヲ按スルニ新ニ生スヘキ剰余金ノ見込ハ本年三月三十一日ノ現計ニ徴スルニ僅ニ一億余万円ニ過キス而モ前期議会ニ於テ成立シタル国債整理基金特別会計法改正ニ依リ其ノ内四分ノ一ヲ国債元金償還ノ財源ニ充当スルトキハ昭和三年度以降ノ財源ニ供シ得ヘキ見込ハ僅ニ七千数百万円ニ過キサルコトトナルヘシ斯クノ如キ状況ナルヲ以テ将来多大ノ財源ヲ期待シ難キニ拘ラス他方国運ノ伸張時勢ノ進展ニ伴ヒ緊急実施ヲ要スルモノアリ従テ昭和三年度ノ予算ハ節約ノ趣旨ヲ以テ歳計膨脹ノ抑制ニ努メ既定ノ計画施設ト雖モ進ンテ之ヲ改廃シ以テ新規政策遂行ノ必要ニ応スルノ覚悟アルニアラスンハ財政計画ヲ確立シテ以テ其ノ基礎ヲ鞏固ナラシムルコト能ハサルヘシ依テ昭和三年度予算ハ大体左記方針ニ依リ之ヲ編成スルコトト致度
一、昭和三年度予算ニ於テ実現ヲ期スヘキ重要ナル政策ハ速ニ閣議ノ決定ヲ経ルコト
二、前項以外ノ経費ニ付テハ極力緊縮ノ方針ヲ採ルコト
三、新規要求ヲ為ス場合ニ於テハ特ニ他ノ費途ニ於テ節約ヲ加ヘ之ヲ財源トスル方針ニ出テ歳出ノ総額ヲ増加セシメサルコトニ努力シ且人員ノ増加要求ハ努メテ之ヲ避クルコト
四、各省歳入歳出概算ハ必ス昭和二年七月十六日限之ヲ提出スルコト
五、各特別会計予算ニ於テモ亦一般会計ノ例ニ準シテ概計書ヲ調製シ昭和二年八月二十日限之ヲ提出スルコト