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国民政府正式承認方ニ関スル件

昭和4年5月17日 閣議決定

収載資料:内閣制度百年史 下 内閣制度百年史編纂委員会 内閣官房 1985.12 p.193 当館請求記号:AZ-332-17

客年十月国民政府五院制度樹立セラレ其ノ基礎一応定マルト共ニ日支間ノ諸懸案ニ対スル支那側ノ態度モ漸次改善セラルルニ至リタルヲ以テ帝国政府ハ本年一月三十日支那新関税率ノ実施ヲ承認スルト共ニ之ヲ以テ国民政府ニ事実上ノ承認ヲ与ヘタルモノトシ議会及枢密院ニ対シテモ此ノ趣旨ヲ説明スル所アリタルカ国民政府ノ正式承認ハ之ヲ将来ニ残シ支那政情ノ推移ト日支関係ノ展開トヲ考慮シ適当ト認ムル時ニ至リテ之ヲ行フノ建前ヲ採リタリ
最近馮玉祥蒋介石ノ関係緊張ヲ加ヘ来レリトノ報ナキニアラサルモ一方芳澤公使王外交部長間交渉ノ結果済南事件、南京事件、漢口事件及通商条約廃棄問題相踵テ解決シタルノミナラス他ノ列国ハ既ニ客年後半以来相次テ国民政府ヲ正式ニ承認シ居ル関係ニモ顧ミ(別紙参照)我方トシテモ近ク適当ノ時機ニ於テ同政府ノ正式承認ヲ行フコト時宜ニ適スヘク右ハ国民政府ヲシテ責任ヲ感セシメ従テ排日運動ノ取締等ヲ徹底セシムル為ニモ適当ナリヤニ思考セラルル処来ル六月一日孫文祭典ハ種々ノ意味ニ於テ右実行ノ為適当ノ機会ナリト思考セラルルニ付今後支那政局急変セサル限リ近ク芳澤公使帰任ノ途次同祭典参列ノ為南京出張ノ機会ニ同公使ヲシテ国民政府主席宛御信任状ヲ提出セシメ以テ同政府ヲ正式ニ承認スルコトト致度シ
(別紙省略)