原子力委員会設置要綱

昭和30年12月9日 閣議決定

収載資料:行政管理年報 第5巻 行政管理庁管理部 1956 pp.50-51 当館請求記号:317.2-G98g

1.目的
原子力の研究・開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する行政の民主的な運営を期するため、総理府に原子力委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2.所掌事務
委員会は、左に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定する。
決定された事項については、内閣総理大臣は、これを尊重しなければならない。
(1)原子力利用に関する政策に関すること。
(2)原子力利用に関する施策の総合調整に関すること。
(3)原子力利用関係予算に係る経費の見積及び配分に関すること。
(4)原子力利用に関する試験研究のための助成に関すること。
(5)核燃料物質及び原子炉の管理に関すること。
(6)原子力利用にともなう障害防止に関する基本的事項に関すること。
(7)原子力利用に関する研究者及び技術者の養成訓練に関すること。但し、大学における教授及び研究に関する事項を除く。
(8)財団法人原子力研究所の監督の方針に関すること。
(9)その他原子力利用に関する重要なこと。
3.勧告
委員会は、原子力利用に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて、関係各行政機関の長に勧告することができる。
4.資料の収集等
(1)委員会は、原子力利用に関する資料の収集、統計の作成及び調査に関する事項をつかさどる。
(2)委員会は、原子力利用に関し、必要があると認めるときは、関係各行政機関の長に対し、資料の提出・意見の開陳・説明その他必要な協力を求めることができる。
5.組織
(1)委員会は、委員長及び委員4人をもつて組織する。
(2)委員長は、国務大臣をもつて充てる。
(3)委員は、両議院の同意を経て、内閣総理大臣が任命する。
(4)委員のうち2人は、常勤とし、他の2人は非常勤とする。
(5)常勤の委員は、他の職務を兼ね、又は営利を目的とする団体の役員となり、若しくは自ら営利事業を営んではならない。
但し内閣総理大臣が必要止むを得ないと認めるときは、この限りでない。
(6)委員の任期は、3年とする。ただし、再任を妨げない。
最初に任命される委員のうち2人の任期は、1年半及び3年とする。
(7)委員会の庶務は、総理府原子力局において処理する。
(8)委員長たる国務大臣は、総理府原子力局の担当大臣をもつて充てる。