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農業委員会等の整備強化要綱

昭和31年3月20日 閣議決定

収載資料:農林行政史 第10巻 農林省大臣官房総務課編 1973 pp.67-68 当館請求記号:611.1-N955n4

第一 方針
一 町村合併及び農業の趨勢に照し農業生産力の発展、農業経営の合理化及び農民の地位の向上を図るため、農業及び農民の公正な利益を代表し、農業又は農村の振興に関する計画の樹立遂行を推進し、その他必要な業務を行うこととして、農業委員会、農業会議等の構成及び業務を適切に拡充改善するものとする。
二 農業委員会、農業会議、農業会議所は、その組織上及び業務の実施上連繋の度合を増さしめ、且つ、部落等の地域を基として農民との接触を深からしめるとともに、農業協同組合、農業共済組合等と協力融和を保たさしめるものとする。
第二 要領
一 農業委員会
(一) 組織
1 農業委員会は、左に掲げる委員をもって組織するものとする。
イ 農業委員会の区域内の部落又はこれに準ずる地域(市町村条例に定める)ごとに当該地域内の農民の選出した委員(第一号委員)
右の選出方法は、公職選挙法によらない簡易、且つ、明確な方法で政令によりこれを定める。
ロ 農業委員会の区域内の省令で定める農業協同組合又は農業共済組合の代表として推せんしたその理事(第二号委員)
ハ 学識経験者であって市町村長の選任した委員若干名(第三号委員)
2 農業委員会に左に掲げる者からなる常任委員を置く。
イ 第一号委員の中から互選した者(その数は十乃至十五人の間で市町村条例で定める)。
ロ 第二号委員及び第三号委員の中から互選した者(その数はイの常任委員の三分の一以内で市町村条例で定める)。
(二) 事業
A 農業委員は、その区域内の左の各号に掲げる事項を処理する。
1 農地法その他の法令によりその権限に属させた農地、採草放牧地又は薪炭林の利用関係の調整及び自作農の創設維持に関する事項
2 土地改良法その他の法令によりその権限に属させた農地等の交換分合及びこれに附随する事項
3 前各号の外、法令によりその権限に属させた事項
B 農業委員会は、左に掲げる業務を行う。
1 地区内の農業生産、農業経営、農民生活等、農業及び農民に関する事項につき、意見を公表し、行政庁に建議し又はその諮問に応じて答申すること。
2 地区内の農地等の利用関係につきあっ旋及び争議の防止を行うこと。
3 農地等の交換分合のあっ旋その他農地事情の改善に関する業務を行うこと。
4 区域内の農業又は農村振興計画の樹立又は実施に関し、推進又は連絡あっ旋を行うこと。
5 農業技術の改良、農業経営の合理化及び農民生活の改善につき、推進又は連絡あっ旋を行うこと。
6 病虫害防除に関する事業につき連絡あっ旋を行うこと。
7 区域内の農業生産、農業経営又は農民生活等農業又は農民に関する調査及び研究を行うこと。
8 農業及び農民に関する啓もう宣伝を行うこと。
9 その他右の各号の事業に附帯する事業を行うこと。
右のBの業務の中1の行政庁の諮問に対する答申及び4の振興計画の樹立に関する事項は、全委員の会議で議決し、その他の業務は常任委員のみの会議で議決するものとする。
二 都道府県農業会議
都道府県農業会議の組織を次のように改める。
1 都道府県農業会議の地区内の農業委員会の会長はすべて第一号会議員となる。第二号から第六号までの会議員は従来通りとする。
2 都道府県農業会議に左に掲げる者からなる常任議員を置く。
イ 第一号会議員が互選した者(その数は現行の第一号会議員の定数に準じ、十乃至十五人とする)。
ロ 現行法の第二号から第六号までの会議員(その数はイの定数と同数とする)。
3 都道府県農業会議の業務は、常任会議員の会議でこれを決し、都道府県農業会議の年間事業計画並びに収支の予算及び決算等は全会議員の議決を要するものとし、農業及び農民に関する行政庁の諮問に対する答申は、全会議員の会議に報告しその承認を得るものとする。