Jump to main content

米穀の管理制度の運営の弾力的改善とその根幹の堅持に関する構想

昭和36年8月1日 閣議了解

収載資料:農林行政史 第12巻 農林省大臣官房総務課編 1974.3 pp.807-808 当館請求記号:611.1-N955n4
 米穀の管理制度につき、その農業及び国民生活の安定と向上等のため必要な現行管理制度の根幹は、これを堅持するとともに、最近の食糧事情と米穀の現行管理制度の下における各種の措置、それらの運用及びこれに関連する食糧管理特別会計の実態にかんがみ、この際新たに適切と認められ、かつ、実際に即して必要な弾力性を加えた改善をすみやかに実施する。
 なお、上記の改善の円滑な実施を期し、農業政策の動向に照らして必要な施策は、具体的にあわせて極力実施するものとする。
1 政府は、米穀の生産者の申込みに応じてその登録した農業協同組合その他の指定集荷業者を通じて無制限に買い入れる。
  その価格は、生産費、物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を旨として定めるものとする。
2 政府は、米穀需給の経常的な安定を確保し、減少等異常な事態に対してもなお価格と供給の安定を期するため、国内生産による確保を第一義とし、米の生産、需要、国際的需給等を考慮して、需給計画の策定、需給操作、そのため必要な買入れ、運送、保管等を行なう。
 (1) 政府の買入について、予約制度は、これを継続する。
 (2) 政府が需給操作に必要な数量を確保するため、政府と農業協同組合及び同連合会等との契約により、時期、品質等を指定して買入を行なわせ、これに必要な金利、保管料、特別集荷奨励金等につき特別の助成等を行なう。
 (3) 外米の政府管理を継続し、内地米の供給が不足する場合は、必要な数量を適期に輸入し、需給操作に遺憾なからしめる。
3 生産者は、その生産した米穀を自由に売ることができるようにする。
 消費者は、政府からの配給のほか、その選好に応じて自由に購入できるようにする。
4 買占め、不当な価格吊上げを防止する等公共の福祉のために必要な権限は、従来どおり留保する。
5 政府が買い入れた米穀は、おおむね現行配給制度により配給する。
 (1) 消費者に対しては、価格と供給の安定を期し得るように購入通帳により確実に配給する。
  なお、低所得者層に対しては、価格その他について優遇措置を検討する。
 (2) 外米については、現行どおり政府が一手に買い入れることとし、準内地米は購入通帳により配給し、その他の外米は希望に応じて売却する。
6 上記自由米については、その価格の適正化につき指導を行ない、なお著しく騰貴するおそれがある場合は、現行法令により最高価格を設けることがある。
7 米の検査制度を強化するとともに、今後は実情を考慮して、産米改良の推進、品質格差の形成に資するように逐次改善を図るよう検討する。
8 中間経費の節減については検討を加え、その合理化を図るものとする。
9 米の需給操作を円滑にするため、政府、民間を通じて倉庫の整備、運送の円滑化に努める。
10 産米改良のため各種の措置を実施する。
11 米価の審議については、農政審議会等を活用する。
12 以上の措置を実施するため、関係各省協力のうえ、必要な法令の改正及び予算的資金的措置を講ずる。
13 本構想の具体化に当っては、すみやかに関係各方面の意見を徴し、さらに充分な検討を加えて最終決定のうえ、実施するものとする。