日本の漢学者・漢詩人を調べる

日本の漢学者及び漢詩人を調べるための資料・ウェブサイトを紹介します。

日本人が詠んだ漢詩作品の調べ方についてはリサーチ・ナビ「日本漢詩を調べる」のページをご覧ください。

書誌事項末尾の【】内は当館請求記号です。

1. 全般

  • 市古貞次〔ほか〕編纂『国書人名辞典』全5巻(岩波書店 1993-1999 【GB12-E55】)  
    『国書総目録』に収録された近世以前の著作の著者・編者約3万人の略歴が載っています。索引(第5巻)では、字・号からも引くことができます。
  • 近藤春雄 著『日本漢文学大事典』(明治書院 1985 【KG812-1】)
    日本の漢学・漢文学関係全般を解説した事典で、人名は出身地・名・字・通称・号・事跡・生没年・著書の順で説明されています。付録に人名索引・江戸時代漢学者生没年表があります。

2. 名前から調べる

  • 森忠重 著『和漢詩歌作家辞典』(みづほ出版 1972 【KG2-24】)
    日本・中国の歴代詩歌作家について解説した辞典です。古代・近世に限らず、昭和以降に活躍した詩人についても、漢詩壇で知られた人、詩社を結成し詩集のある人、またそれに準ずる作品数を残した人などを中心に多く収録されています。姓・名・生没年・字・号・通称・略歴・主な著作などを確認できます。
  • 菅谷軍次郎 著『日本漢詩史』(大東出版社 1941 【919-Su713n】)
    奈良朝以前から明治までの日本漢詩史をまとめたものです。各時代の最後に「主なる作者」の略歴が紹介されており、各時代の代表的な漢詩人を確認できます。
  • 斯文会 編『日本漢学年表』(大修館書店 1977 【H2-20】)
    昭和45(1970)年までの日本・中国における漢学分野における出来事を年表にしたもので、漢学関連人物の没年も掲載されています。巻末に付録として「江戸時代漢学者人名索引」が付いています。
  • 松浦友久 編著, 植木久行, 宇野直人, 松原朗 著『漢詩の事典』(大修館書店 1999 【KK62-G2】)
    「Ⅱ.詩人の詩と生涯 日本」(pp.218-292)で、平安から明治までの漢詩人について、生い立ちや代表的な作品などを広く解説しています。「作者別詩題索引(日本)」も付いています。
  • 『古典文学全集・翻刻書・研究書総目録』(日外アソシエーツ 1996 【KG1-G10】)
    古典文学、上代文学、中古文学といった各項目の下に、「漢文学」「漢学・漢詩文」「漢学者、漢詩文作者と著作」などの小項目があり、詩人や漢学者の研究書、翻刻書、作品集などが挙げられています。
  • 玉村竹二 著『五山禪僧傳記集成 新装版』(思文閣出版 2003 【HM175-H14】 )
    鎌倉時代後期~室町時代末期の五山僧710余人の伝記です。見出しは道号によりますが、付録に法諱の下字と上字による索引もあります。また、たとえばよく知られる一休さんの場合、一休は道号、宗純は法諱(戒名)というように、禅僧は名称が複数あったり、これらを改称したりすることも多いことから、「道号・法諱変更対照表」として異称索引も付されています。
  • 森繁夫 編,中野荘次 補訂『名家伝記資料集成』全5巻(思文閣出版 1984 【GB12-57】)
    鎌倉末期~昭和21(1946)年までの人物について、国学者歌人を中心にまとめられたものですが、漢学者その他文人についても掲載されています。氏名には送り仮名が振られており、読みを確認できます。通称・出身地・身分・生没年・略歴のほか、各人物の伝記資料を調べることができます。表記は旧かな使い、生没年は皇紀に基づいています。
  • 石山洋〔ほか〕編『江戸文人辞典 : 国学者・漢学者・洋学者』(東京堂出版 1996 【H2-G5】 )
    主に江戸を舞台に活躍した江戸時代の国学者、漢学者、蘭学者の伝記と業績をまとめたものです。「漢学者は、漢文学者を中心にし、漢詩一辺倒の人は含めなかった」とあります。それぞれの人物について、生没年・名・字・号・通称・出身地・略歴・江戸での活躍・著者・参考文献などを調べることができます。
  • 芳賀登 [ほか]編『日本人物情報大系 第47巻 (学芸編 7)』(皓星社 2000 【GB12-G22】)
    「先哲叢談」(同後編、同続編)、「近世先哲叢談」(同続編)に収められた江戸期259名に加え、未収録および刊行以降の漢学者122名、合計381名の、漢文で書かれた伝記を書き下し文にした『漢学者伝記集成 復刻』【HA34-G6】(『漢学者伝記集成』【R281.03-Ta58ウ、121.3-Ta456k】(国立国会図書館デジタルコレクション)の復刻版)を、縮小して掲載したものです。各人物の項目からは、姓・名・号・字・出身地・略歴などが確認できますが、生没年については巻末の漢学者年表を参照する必要があります。また巻末には他にも、氏號索引・字索引が付されており、こちらは五十音順から引くことができます。
  • 矢島玄亮 編著『漢学者伝記索引』(東北大学附属図書館 1970 【H2-6】)
    人名事典や自治体史を出典とし、江戸から大正までの漢学者について字・号、生没年を掲載しています。地方の漢学者も多数載っています。地域ごとの漢学者の調べ方については、合わせて「3. 地域から調べる」もご覧ください。
  • 芳賀登 [ほか]編『日本人物情報大系 第48巻(学芸編 8)』(皓星社 2000 【GB12-G22】)
    小川貫道 著『漢学者伝記及著述集覧 復刻』【H2-G11】(『漢学者伝記及著述集覧』【121.3-O267k、R281.03-O24ウ】(国立国会図書館デジタルコレクション)の復刻版)と、関義一郎 著『近世漢学者著述目録大成』【R121.3-Se24ウ】を、縮小して掲載しています。前者は、元和5(1619)~昭和9(1934)年末までに物故した漢学者を1256名収録しており、名・字・号の索引が付いています。後者は、元和5(1619)~昭和12(1937)年までに物故した人物、約2900名を収録しています。姓・名・字のほか、没年・出身地・略歴・主な著作を確認できます。後者にさらに雅号索引、近世漢学年表を付した、関儀一郎、関義直共編『近世漢学者伝記著作大事典』【H2-G3】も合わせてご活用ください。
  • 長澤孝三 編, 長澤規矩也 監修『漢文学者総覧 改訂増補』(汲古書院 2011 【H2-J8】)
    主に江戸時代、あるいはその前後に活躍した漢学者・漢文学者について、姓・名・通称・字・号・生地・没年・享年・師名・その他を一覧で示してあります。漢学者に限らず、漢詩に秀でた人、書誌学者なども採録しています。巻末に字・号、通称索引があります。
  • 西島醇 著『儒林源流』(飯塚書房 1976 【HA34-3】)
    慶長~昭和の儒学関係の人物を収録しています。学派ごとに人物がまとめられており、名・字・号・没年などを調べることができます。年号索引と五十音配列による人名索引が付いています。
  • 『明治文学全集 62』(筑摩書房 1989 【918.6-M4482】)
    「明治漢詩集」「明治漢文集」が収録されています。巻末には収録漢詩人の「略歴」が付されており、詩集に作品が掲載された漢詩人について姓・名・字・号・出身地・略歴・主な著作などを確認することができます。また、雅号から姓名を探すことのできる「明治漢詩文人雅号一覧」も付いています。
  • 杉村顕道 編『儒海:儒者名鑑』(大久保書院 1975 【H2-22】)
    主に江戸時代を中心に、大正元(1912)年没までの儒学関係の人物について、姓・名・字・号・通称・没年・略歴などを確認できます。本文は号の五十音順排列で、姓からの索引、各学派の系統図が付いています。

3. 地域から調べる

各地の漢学者・漢詩人に関する研究や作品集は各都道府県の「郷土資料目録」、「歴史人名事典」などにも収録されているほか、以下のような専門資料があります。

またその地域の自治体史に掲載されていることがあります。地域の自治体史の調べ方は、リサーチ・ナビ「自治体史を探す」のページでご紹介しています。

  • 佐野泰臣 編著『阿波徳島の漢学者漢詩人集覧』(佐野泰臣先生漢文學研究刊行会泰山会 2020 【H2-M15】)
    平安から平成までの阿波徳島にゆかりのある漢学者・漢詩人、約580名について、生没年・名・号・出身地・略歴を確認することができます。索引は付いていません。
  • 三浦叶 著『岡山の漢文学』(百日紅舎 1990  【KG824-E23】)
    江戸時代から戦後までの、岡山における漢文学の興隆についてまとめられた資料です。時代の変化の中でどのような人物が活躍したのかを確認できます。また、特に有名な漢学者・漢詩人についてはページ数を割いて、生没年・号などの基本情報から思想にいたるまで詳細な解説を行っています。明治以後に結成された個々の吟社についても記述が細かく、関連人物名を調べることができます。索引は付いていません。
  • しの木弘明 著『上毛の近世漢詩人』(名雲書店 1997 【KG824-G45】)
    上野国を10地区に分け、それぞれの地にゆかりのある近世の詩人およそ600人について、作品を一人につき2詩ずつ掲載し、略伝を添えたものです。巻末に人名索引が付いています。
  • 山田勝弘 著『美濃の漢詩人とその作品』(研文社 1993 【KG824-E56】)
    室町時代から戦前に至るまでに美濃で活躍した漢詩人について、漢詩集・作品を中心にまとめた資料です。収められた詩人は124人、掲載された漢詩は677首にのぼるとあります。中心的な人物については姓・名・字・号・生没年・略歴などが記されています。そのほか詩集に掲載された漢詩作品の作者であれば、氏名・字・号・出身地・職を確認することができます。巻末には年表と、「篇中作品細目」が付いています。
  • 山本勉弥 著, 田中助一 編『萩庶民文学 (萩文化叢書 ; 第11巻)』(萩市郷土博物館 1961序 【910.29-Y299h-T】)
    狂言や俗謡などそれぞれの庶民文学で名を残した萩の人物についてまとめられた資料です。第一部で漢詩を取り上げており、古代から大正以後までの期間に詠まれた作品と作者情報を確認することができます。掲載情報は詩人によって分量に差がありますが、多くは氏名・通称と生没年のみ記されています。
  • 長尾直茂「山形県漢学者総覧稿」『山形大学紀要. 人文科学 15(4)』 山形大学 2005.2 【Z22-431】)(国立国会図書館デジタルコレクション
    山形県出身の漢学者、生涯の大半を山形県で過ごした漢学者375名について、五十音順に配列し解説したものです。姓・名・字・号・生没年・生地・備考・典拠等を調べることができます。

4. 私塾別に調べる

主に江戸時代には、各地で多くの漢学塾が開かれました。その名簿などの資料からも出身者を調べることができます(必ずしも全員が漢詩人・漢学者という訳ではありません)。

以下のような専門資料があります。

また漢学塾については、「3. 地域から調べる 」と同様、各都道府県の「郷土資料目録」「歴史人名事典」「自治体史」に掲載されていることがありますので、そちらも合わせてご確認ください。

  • 湯浅邦弘 編著『懐徳堂事典 増補改訂版』(大阪大学出版会 2016 【FB13-L39】)
    江戸時代中期に大坂の商人たちが設立した学問所である懐徳堂についての事典で、関連する人物についても全562項目のうち102項目を用いて解説しています。姓・名・生没年・字・号・懐徳堂との関わり・略歴などを確認できます。
  • 横山俊一郎 著, 吾妻重二 監修『泊園書院の人びと:その七百二人』(清文堂出版 2022 【GK13-M574】)
    江戸時代後期に大阪で開かれた漢学塾・泊園書院の門人およびそれに準ずる人702名について、その事績をまとめたものです。名・通称・字・号に加え、職能や出身地、入塾年や著作も掲載されています。収録人物の肖像を多く掲載していることも特徴です。
  • 幕末維新期漢学塾研究会, 生馬寛信 編『幕末維新期漢学塾の研究』(溪水社 2003 【FB13-H5】)
    江戸末期から明治初期にかけて日本各地で開かれた漢学塾について、主に教育学の視点で広く研究した資料です。関連諸文献をもとに、江戸在住漢学者358名のリスト(氏名・名・字・通称・没年・生地・居所が確認できます)や、名の知れた各地の漢学塾の主宰者・門下生の略歴や動向がまとめられています。
  • 江藤茂博, 町泉寿郎 編『漢学と漢学塾 (講座近代日本と漢学 ; 第2巻)』(戎光祥出版 2020 【HA123-M2】)
    主に江戸時代から明治時代にかけて、日本各地で開かれた漢学塾の興隆をまとめた資料です。各私塾の主宰者や出身者について詳細に説明されており、また探している人物への言及がない場合でも、豊富な参考文献をもとにさらなる調査を進めることができます。
  • 中野範 編著『咸宜園出身八百名略伝集』(広瀬先賢顕彰会 1974 【HA75-9】)
    広瀬淡窓により現在の大分県日田に開かれた私塾・咸宜園出身者の略伝を掲載しています。最初に見出しとして出身者を五十音順に並べたのち、出身地ごとに分けて生没年や後年の功績を解説しています。続編として『咸宜園出身二百名略伝集』【HA75-10】があります。

5. データベース

  • 日本漢文文献目録データベースLeave the NDL website. (二松学舎大学)
    日本漢文についての文献目録データベースです。漢学者・漢詩人に関係する文献・資料、また彼らの著作・作品を探すことができます。関連論文の掲載誌や資料の所蔵機関も表示されます。
  • 日本の人名データベースLeave the NDL website. (上智大学)
    日本の歴代人物について、その伝記と人物同士の繋がりについて情報を掲載しており、漢学者・漢詩人についても生没年や経歴、親族関係等を確認できる場合があります。

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