スペインの憲法裁判所

このページでは、スペインの憲法裁判所の概要とインターネットで見ることができる参考情報を紹介します。

法規定

スペイン憲法は、第9編(第159条~第165条)で、憲法裁判所(Tribunal Constitucional)について規定しています。

構成員

憲法裁判所は、12名の構成員からなります。

構成員のうち4名は下院の5分の3の多数の議決により下院が指名し、4名は上院の同様の多数の議決により指名します。
また、2名は内閣が指名し、2名は司法総評議会(憲法第122条第2項に規定される司法管理機関)が指名します。

構成員の任期は9年であり、3年ごとにその3分の1を改選し、憲法裁判所の長官は国王が任命します(憲法第160条)。

憲法裁判所の権能

憲法裁判所は、抽象的規範統制、具体的規範統制および憲法訴願の主に3つの機能を有します。

抽象的規範統制は、「違憲異議(recurso de inconstitucionalidad:「違憲の訴え」とも訳される)」と呼ばれるもので、法律等が公示されたときから3か月以内に、その法律等が憲法に抵触していると判断されるときには、その合憲性審査を憲法裁判所に提起することを意味します(憲法第161条第1項a号)。
この場合の提訴資格者は、内閣総理大臣、護民官(オンブズマン)、50名の下院議員または上院議員、自治州の執行機関、および自治州の立法機関となります(憲法第162条第1項a号)。

具体的規範統制は、「違憲質疑(cuestión de inconstitucionalidad:「違憲の問題」とも訳される)」と呼ばれるもので、具体的事件に適用すべき法律等が憲法に違反すると判断される場合に、司法裁判所が憲法裁判所に対して合憲性審査を求めることを意味します(憲法第163条)。

憲法訴願は、「アンパーロ訴訟(recurso de amparo constitucional:アンパーロは「擁護」という意味)」と呼ばれるもので、国および自治州の機関が行う処分もしくは法律行為または事実行為により、権利または自由が侵害されたと判断される場合には、あらゆる人が憲法裁判所に対して救済を求める訴えを提起することを指します(憲法第53条第2項)。

このほか、憲法裁判所は、国と自治州または複数の自治州との間等の権限争議の審理、国際条約の違憲審査を行う権能を有しています。

なお、このスペインの憲法裁判所の機能は、その設計時にドイツ法およびイタリア法を参考にしたため、これらに類似しています。

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