戦前のレコード会社販売目録-「ビクター」-
更新
音楽・映像資料室 作成
音楽・映像資料室では、各レコード会社が刊行した販売目録を所蔵しています。
本項では、日本ビクターのレコード会社販売目録について、戦前期を中心に会社の歴史や関連資料と併せて紹介します。
1.日本ビクターについて
日本ビクター蓄音器(株)は昭和2(1927)年に米国ビクター・トーキングマシンカンパニーの全額出資により日本法人として設立され、蓄音器、レコードなどの製造を行っていました。
昭和13(1938)年に日本資本のみの会社となり、 昭和18(1943)年には戦争の影響により日本音響(株)に社名変更しましたが、 昭和20(1945)年12月に日本ビクター(株)に改称します。
創立当初から続く、犬が蓄音器に耳を傾けるロゴマークは現在のビクターエンタテインメントでも用いられています。
2.レコードレーベル
戦前期のレコードのレーベルは、内容や価格帯によって多種あり、時期による変遷もあります。ここでは主なものを紹介します。
<メインレーベル>
- VICTOR
邦楽・洋楽を含み、この中には、高級レーベルとして知られた「赤盤」や、標準的な価格帯の「黒盤」もありました。
<大衆盤のレーベル>
- ビクタージュニア
- ビクター大衆盤
- 浪花節大衆盤
- STAR
<児童向けのレーベル>
- 児童レコード
- ビクター童謡レコード
このほか、「ビクター長時間レコード」(1932(昭和7)年発売、33 1/3回転で録音された)、「国民学校芸能科音楽」などのレーベルもありました。
これらは概ね戦前期のビクター月報/総目録に収録されています。
3.国立国会図書館所蔵のレコード会社販売目録リスト
目録リストをご覧になる前に凡例・注記[PDF : 122KB]をご覧ください
※販売目録は名称から総目録や月報などに大別できます。
総目録や月報についての解説は「レコード会社販売目録」をご参照ください。
4.参考文献
【 】内は当館請求記号です。
4-1.社史関係資料
- 『日本ビクター50年史』(日本ビクター 1977 【DH22-841】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 『日本ビクターの60年』(日本ビクター 1987 【DH22-E64】)
- 『音・その歩み・その夢 : ビクター音の開発史』(ダイヤモンド社 1967 ポケット社史 【DH22-10】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 『音に生きる : ビクターの栄光』(ダイヤモンド社 1963 【769.067-N684o】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 岡庄五『最近に於けるレコード界の趨勢』(日本文化協会 昭11 談話叢書 ; 第2 【715-83】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
日本ビクター文藝部長を務めた岡庄五の講演録です。当時のレコード業界、レコード製造、流行歌の変遷と社会情勢などについて解説しています。 - 『ビクター』(日本ビクター蓄音器)【YM2-136ほか】
昭和5(1930)年に創刊されたビクターの広報誌です。当館では一部の号のみ所蔵しています。 - 『音』(日本ビクター 年2回刊 【Z547.2-O1】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
ビクターの教材レコード、教育におけるレコードについての紹介があります。 - ビクターエンタテインメントについて(ビクターエンタテインメント)
ビクターエンタテインメントのサイトです。会社について簡単に紹介されています。
4-2.レコード目録関係資料
[SP盤目録]
- 『日本の基礎音楽資料としてのSP盤の実態に関する調査研究 : 報告書』(日本伝統文化振興財団 2010 【YM2-J5】)
[資料編] 3 ビクター発売SP盤目録 排列はレコード番号順で、発売年月の記載もあります。
[文句集]
文句集(文句カード集、歌詞集)とはレコードの詞章(歌詞・言葉などレコードの内容)を活字化したものです。演目・演者・レコード番号等を確認することができます。
- 『ビクター文句集 日本曲』(声の写真社出版部 昭和5 【特274-372】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 『ビクターレコード : 新譜文句カード輯』(日本ビクター蓄音器)[昭和7年] 1月【YM2-L106】他
- 『新譜邦樂歌詞集』([日本ビクター])昭和27年3月【YM2-M2316】他
- 『ビクター邦楽新譜歌詞集』(日本ビクター)昭和28年4月【YM2-190】他
- 『ビクターレコード邦楽新譜歌詞集』(日本ビクター)昭和29年10月【YM2-M304】他
[レコード解説集]
- 『洋樂解説カード輯』(日本ビクター蓄音器/日本ビクター)昭和13年2月【YM2-L5】他
- 『洋楽解説集 : ビクターレコード』(日本ビクター蓄音器)昭和14年1月【YM2-110】他
- 堀内敬三『軍歌物語 : ビクターレコード「軍歌名盤集」解説書』(日本ビクター蓄音器 1937 【KD319-M8】)
ビクター「軍歌名盤集」の解説書。
収録曲は全22曲。全曲について歌詞及び詳細な解説があります。
<予約頒布形式のレコード解説集>
以下はSP盤クラシック全集のレコード解説集。当該レコードは予約会員を対象に頒布していたため原則としてレコード目録、新譜案内に掲載されていません。
- 『Victor record lover's society』([日本ビクター蓄音器])vol.1【KD355-E25】他
- 『ビクター家庭音楽名盤集』([日本ビクター蓄音器])vol.3【YM2-L4】他
- 『ビクター描寫音樂アルバム = Victor record album of descriptive music』([日本ビクター蓄音器] [1937] 【YM2-M258】)
4-3.その他の参考資料
鯨井正子「童謡レコードの教育的意義」 (2017)(国立国会図書館デジタルコレクション)
鯨井正子「昭和戦前期の西洋芸術音楽と童謡のレコード : 『ビクター』に見る家庭への戦略」(『音楽研究 : 大学院研究年報』25号 2013年3月 pp.77-92【Z11-1369】)
いずれも童謡レコードについてビクターの社史を中心として紹介しています。岡田則夫「続・蒐集奇談 26、27」(『レコード・コレクターズ = Record collectors' magazine』 114号 1993年2月 p.80, pp.90-94 , 115号 1993年3月 pp.92-97 【Z11-1283】)
ビクターの戦前、戦後のレコードレーベルについての特集です。
この記事で紹介したインターネット情報の最終アクセス日は2023年11月1日です。